トルコCPIは24年ぶりの高水準。PPIとの乖離は過去最高を更新
TUIK(トルコ統計局)は6月のCPI(消費者物価指数)を発表しました。6月のCPIの上昇率は前年同月比で78.62%になりました。前月比での上昇率は4.95%でした。
(出所:TUIK)
PPI(生産者物価指数)も上昇を続け、前年同月比で上昇率は138.31%となりました。
(出所:TUIK)
この結果を受け、トルコのCPIは24年ぶり、PPIは1995年以来の高水準に達しました。また、CPIとPPIの乖離は59.7ポイントに上昇し、過去最高を更新しました。
CPIの内訳を見ると、物価がもっとも上昇した項目は123.37%の交通・運輸、次いで93.93%の食料・ノンアルコール飲料、82.08%の家電・家具となりました。
(出所:TUIK)
また、6月に価格がもっとも上がったのは、24.
CPIとPPIの乖離が広がっていることについては、やはりTUIKがCPIを低く見せているという疑惑が浮上しています。独立調査機関であるENAG(インフレ調査グループ)の発表によると、6月のCPIの上昇率は前年同月比で175.55%、前月比では8.31%です。ENAGは今年(2022年)前半(1~6月期)のCPIの上昇率を71.43%と計算しています。
【参考記事】
●【トルコリラ見通し】エルドアン大統領の利下げ継続発言で米ドル買い・リラ売り加速。CPIとPPIの大幅乖離はなぜ起きているのか?(6月8日、エミン・ユルマズ)
6月製造業PMIは48.1に低下。原材料価格高騰と購買力低下で4-6月期の受注が振るわず…
今週(7月4日~)発表されたもうひとつの重要な経済指標は製造業PMIでした。6月の製造業PMIは前年同月比で5月の49.2から48.1に低下しました。
トルコの製造業は通貨安(トルコリラ安)の恩恵もあって直近まで好調でしたが、原材料価格の高騰と購買力低下によって受注が4-6月期を通して弱くなる一方でした。
(出所:TradingView)
パンデミックによるサプライチェーンの乱れが改善しつつあるものの、やはりまだ2019年レベルには戻っていません。
トルコリラは下落。エルドアン大統領の利下げ継続発言が売り材料に
今週(7月4日~)のトルコリラは対米ドル・対円でともに下落に転じています。米ドル/トルコリラは17.00リラ水準まで上昇し、トルコリラ/円は8.00円を割り込みました。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
トルコリラはトルコ中銀が6回連続で政策金利を14.00%に据え置いたことにあまり反応しませんでしたが、エルドアン大統領が先日行った演説で「私たち(政府)に利上げを期待するのは無駄だ。利下げを続ける」と発言したことが売り要因になりました。
エルドアン大統領は演説で「私たちに利上げを期待するのは無駄だ、利下げを続ける」と発言。これがトルコリラ売り要因となった (C)Anadolu Agency/Getty Images
現地メディアでは、エルドアン大統領が10月に解散総選挙に踏み切るのではないかというシナリオが大々的に取り上げられています。
エルドアン大統領はスウェーデンとフィンランドのNATO(北大西洋条約機構)加盟を予想より早く容認したことも選挙前に米国との関係改善を図ろうという狙いかもしれません。
【参考記事】
●【トルコリラ見通し】トルコリラは、外貨保有の新たな規制導入で上昇! しかし、事実上の資本規制に現地では懸念が増加(6月29日、エミン・ユルマズ)
エルドアン大統領とバイデン米大統領の首脳会談は、エルドアン寄りのメディアで外交勝利と報道されたのがその証拠です。
エミン・ユルマズ
<内容紹介>
今後の世界経済はどのように展開していくのか?すべてがバブルと思われるほど価格が上昇したいま(2022年春)、リーマンショック以上の世界経済の崩壊(!)が近づいていることを、著者は深く懸念している。さらにサイバーセキュリティへの懸念や暗号通貨の広がりなど、グローバル化、デジタル化した世界経済ならではの、新しい問題についても警鐘を鳴らしている。
著者は、こんなときだからこそ、日本に世界の資金が集まるチャンスとも言う。投資をする人も、そうでない人も、世界経済の大転換期に入った今、是非読んでおきたい一冊である。
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