昨日は労働コストが発表されたが、労賃は上がっていた。労賃が上がるということは、生産性が下がるということである。生産性が目に付くように下がったと意識されるには、かなりの時間を要する。よほどの慧眼を持った経営者でもない限り、生産性の低下を商品価格の値上げで対応しようとする。それゆえ今しばらくはインフレの芽が根絶やしにはならないということを意味する。
そして今日は注目されているCPIなのだが、前年比で見ている分には劇的な低下は見られないだろう。前年からは明らかに状況が違ってきているのだから。もう1年間くらいは8%から10%のプラスが続くものと覚悟しないといけない。最近の原油価格の低下などを反映するのは前月比だが、こちらの方は残念ながらあまり関心を集めていない。
ともかくもCPIの発表は、次回の利上げ75ベーシスポイントへの最初のステップだという位置づけだ。これでようやく政策金利が3.0%になる。10年債の利回りが2.75%とか2,80%なのに短期金利の逆転が現実のものとなってきて、市場も熟考を迫られることになる。
逆イールドがそのまま継続して、それが景気後退を表しているのか。それともインフレ下の長期金利なのだから短期金利よりも安いはずがないといって、長期金利が上昇余地を見せるのか。
私は後者だと思っているが、市場は前者だと思い込んでいる節がある。だからドル相場にもまだ上昇余地があると考えている。9月FOMCまでには回答を得られないかもしれないが、秋口にはドル円で140円台、ユーロドルのパリティ割れはありうるものと思っている。
日本時間 15時30分
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)