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西原宏一・大橋ひろこの「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」

米ドル高は、大きなターニングポイントに来ている。米国の
利上げ幅のテーパリング(縮小)が始まれば、米金利は
下がり、米ドル高はピークをつけて、豪ドルが買われやすくなる

2022年10月24日(月)16:07公開 (2022年10月24日(月)16:07更新)
西原宏一&大橋ひろこ

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150円台を嫌がっての為替介入?

今朝(10月24日朝)8時30分すぎ、米ドル/円が急落しました。為替介入だったのでしょうか?

米ドル/円 15分足
米ドル/円 15分足チャート

(出所:TradingView

確認は取れていないですが、介入だったのではと思います。


金曜日(10月21日)の介入では151円台から146円台まで落とし、最終的に147円半ばで引けました。


今朝は本邦勢が買う気満々だったので、150円近辺まで跳ねたら介入が入るかもしれないと警戒していましたが、やはり入ったな、と

当局は、スピード調整のためのスムージングオペだとしていますが、今朝の高値は149.71円。


今朝の急落が介入だったなら、通貨当局は150円台を嫌がっているのかもしれませんね。

米ドル/円 15分足
米ドル/円 15分足チャート

(出所:TradingView

レベルを示せば、かつてのSNB(スイス国立銀行[スイスの中央銀行])の1ユーロ=1.20スイスフランフロアーのように、投機筋に狙われてしまう。


決して水準を示すことはないでしょうが、150円台を嫌がっている印象はありますね。

米ドル高はピークをつけたか

金曜日の介入は、タイミングもよかったですね。


著名FRB(米連邦準備制度理事会)ウォッチャーのニック・ティミラオスが、利上げペースの減速を示唆した直後です。

ニックの記事は、米当局の意を受けて書かれたものでしょう。


邪推ではありますが、政府・日銀は米ドル安材料が出るのを知っていて、介入をかぶせてきたのかもしれません。

来週、11月2日(水)のFOMC(米連邦公開市場委員会)は0.75%利上げでしょうが、12月は0.5%、あるいは0.25%までペースが鈍化するようです。


ターミナルレート(利上げの最終地点)は5%との声も出ていたのですが、4.5%となる可能性も出てきました。

ターミナルレートが5%に達しないということであれば、米ドル高はピークをつけて、株は買われることになります。

徹底したインフレ退治で名声を博した、ボルカー元FRB議長を引き合いに出して、景気後退も辞さずにインフレを退治する、と宣言したのが2か月前。


米CPI(消費者物価指数)はまだ8%台ですが、もう腰がくだけてしまうんですね。

【※関連記事はこちら!】
米ドル/円は140円まであとわずか! ユーロ/米ドルの、0.9700ドルのターゲットに向けた戻り売りが安心か。9月は、株式市場がクラッシュする可能性にも警戒!(8月29日、西原宏一&大橋ひろこ)

米国は「利上げ幅のテーパリング」へ。米ドル/円はトップアウトした可能性も

米中間選挙が11月8日(火)と近いですから、株価を落としたくないのかもしれません。


今年(2022年)のテーマだった米ドル高は、大きなターニングポイントに来ているようです。


RBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])が、0.5%利上げ予想に対して、0.25%利上げにとどめたのが10月4日(火)。


先駆的な動きをすることが多いRBAなので、「今後は世界的に利上げ幅のテーパリング(縮小)」が始まるだろうとイメージしていたところへ、ニックの記事が出ました。

判断するのはまだ早いですが、米ドル/円はトップアウトした可能性があるでしょうか。


意表をついて入ってくる円買い介入で、本腰を入れた米ドル買いはしにくくなりました。


あとは米金利次第ですが、米金利の上昇にピークアウト感が出れば、今回の米ドル/円の高値151円台をバックにして売りで入る、という戦略もありそうです。

同感です。


当局のイメージとして150円は高く、135円から140円程度が許容範囲なのかもしれません。


ドルインデックスのチャートを見ても、トップアウトの気配が見えます。


ただ、そのわりには米金利はまだ高い。米2年債利回りは4.4%台です。ターミナルレートが4.5%程度に落ち着くなら、もっと下がってもいい。


米2年債利回りが4.2%程度だと、米ドル/円もさほど落ちず、横ばいになりそう

ドルインデックス 日足
ドルインデックス 日足チャート

(出所:TradingView

米2年債利回り 日足
米2年債利回り 日足チャート

(出所:TradingView

10月28日の日銀会合、黒田総裁は何を語るか

今週、10月27日(木)はECB(欧州中央銀行)理事会、10月28日(金)は日銀金融政策決定会合です。


9月の日本CPIは、コアコア(食料やネルギーを除いた指数)が1.8%。


ターゲットの2%に近づいており、記者会見ではインフレや政策転換の時期について質問が出そう

中国では、共産党大会が話題です。


胡錦濤前国家主席が腕を掴まれながら退席を迫られるシーンが象徴するように、最高指導部は習近平国家主席の側近で固められ、「習近平一強体制」が強化されました。

イデオロギー型の政治が強まっていきそうですね。


台湾有事が1、2年以内に迫ってきたとの分析が、米シンクタンクなどから出ています。

英国では今夜、保守党党首選挙への立候補が締め切られます。


ボリス・ジョンソン前首相が不出馬を表明し、スナク元財務相の当選が濃厚になってきました。


チャート的にはボトムアウトしたように見える英ポンドですが、英ポンド/米ドルの1.05ドルなど、大手米銀はまだ英ポンドの下落見通しを変えていません

英ポンド/米ドル 日足
英ポンド/米ドル 日足チャート

(出所:TradingView

米金利トップアウトなら株高・豪ドル高か

今週の戦略はどう考えますか?

注目は、米金利がピークアウトするか


利上げ幅のテーパリングが始まれば、米金利は下がり、株が買われ、為替市場では豪ドルが買われやすくなる。


豪ドル/米ドルを押し目買いしていきたいと思います。

豪ドル/米ドル 日足
豪ドル/米ドル 日足チャート

(出所:TradingView

(構成/ミドルマン・高城泰)

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