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西原宏一・大橋ひろこの「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」

英ポンド/米ドルは、減税を引っ込めないかぎり、パリティ
(1.00ドル)がターゲットにされ続ける! 「トラスショック」で
暴落した英ポンドを、対米ドルか対円で戻り売り

2022年09月26日(月)16:32公開 (2022年09月26日(月)16:32更新)
西原宏一&大橋ひろこ

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「トラスショック」で英ポンド暴落

先週(9月19日~)一番の話題は政府・日銀の為替介入かと思いきや、英ポンドがさらいましたね。

週初の英ポンド/米ドルは1.14ドルだったのが、週末時点で1.08ドル台へ下落。


有料メルマガ「トレード戦略指令!」で配信したように、今朝(9月26日朝)売りましたが、直後に1.03ドル台へと一瞬で500pipsの暴落です。

英ポンド/米ドル 4時間足
英ポンド/米ドル 4時間足チャート

(出所:TradingView

きっかけは、先週トラス英首相が発表した「成長プラン」ですね。


過去50年で最大規模となる減税が含まれていますが、英国のCPI(消費者物価指数)は10%(前年比)と40年ぶりの高水準。


中央銀行が引き締め=利上げに動いている中での大減税は、常識では計りがたい政策です。

減税は需要を拡大させ、インフレ圧力を強めることになります。


いくら利上げしてもインフレは収まらず、金利だけが上昇して財政赤字は拡大、結果として英国債、英ポンド、英国株が総じて売られるトリプル安を招くだけです。


「愚策」としか言いようがありません

英財務相はさらなる減税も示唆

「通貨防衛のために緊急利上げを」との声も出ていますが、問題は金利ではない、ということですね。

減税を引っ込めないかぎり、英ポンド/米ドルはパリティ(1英ポンド=1.00ドル)がターゲットにされ続けるでしょう。


また、英金利が上昇したことで、米金利の上昇も加速し、週末のNYダウは3万ドルを割りこんで年初来安値を更新しました。


今朝の日経平均も大幅安で2万7000円割れです。

英ポンド/米ドル 週足
英ポンド/米ドル 週足チャート

(出所:TradingView

NYダウ 日足
NYダウ 日足チャート

(出所:TradingView

日経平均 日足
日経平均 日足チャート

(出所:TradingView

まさに「トラスショック」ですね。


それでもクワーテング英財務相は「市場の動きより成長重視」と従来の姿勢を崩さないばかりか、「まだ追加の措置がある」とさらなる減税を示唆しています。

エリザベス女王の逝去で、英連邦王国(※)の結束がゆるむとの観測も出ています。


豪州などからは英連邦王国脱退との声も聞こえ始めていますし、スコットランド独立の気運も高まるでしょう。踏んだり蹴ったりですね。

(※編集部注:英連邦王国とは、1つの王国や連邦、国家、国家連合といった存在ではなく、英国の君主を自国の君主として戴く、個々の独立した主権国家を指す)

145円台では介入を警戒

通貨単体の強弱を見ると、円が最弱レースを独走していたのですが、英ポンドが一気にまくって今年(2022年)の最弱通貨に。


一方、日本では24年ぶりとなる円買い介入が行われました。

レートチェックまで行っていましたから驚きはありませんが、びっくりしたのは142円台まで売っていたフシがあること


今回の介入は、米ドル/円の水準を押し下げるのではなく、急すぎるスピードを調整させる「スムージングオペレーション」だと説明されていますが、142円台まで売ると、水準そのものも押し下げることになります。

9月22日(木)の17時台に入りましたが、介入はその1回だけですか?

そのようです。そのあとはいずれもフェイクでしょう。

次に入るとすれば?

145円台に乗せると要警戒ですね。


基本的に介入が効くと思っている市場参加者は少ないですが、前回の円買い介入があった1998年は、LTCMショックなどもあり140円台から暴落しています。

米ドル/円 週足(1998年~1999年)
米ドル/円 週足チャート(1998年~1999年)

(出所:TradingView

各国でくすぶる○○ショックへの懸念

今回も介入自体の効果というより、英国や欧州、ロシア、中国など別の要因での○○ショックにより、円のレパトリ(本国への資金還流)が起きて、円高が加速するのかもしれませんね。

同感です。その意味でおもしろいのがクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の売り。


今の為替市場は米ドル一強。英ポンドを売るなら対米ドルでいいのですが、ショックに備えるという意味では、英ポンド/円でもよさそうです。

週末のイタリア総選挙では、EU(欧州連合)に批判的な右派が勝利しました。これもリスク要因ですね。


具体的な政策が発表されると、イタリア国債が売られユーロ暴落といったリスクもありえない話ではありません。

信憑性のない話ですが、週末のSNSでは中国でクーデターが起きたとの噂も出回りましたね。

中国が行っているゼロコロナ政策についても、「クーデターを封じ込めるため」との観測が聞かれます。


10月16日(日)には、5年に一度の大イベントである中国共産党大会が開かれますし、中国人民元は2年ぶりの安値水準ですから、中国の動向にも注目です。

今週の戦略は英ポンド売り

ゴールドも、重要なサポートだった1680ドルを割り込みましたね。

NY金先物 日足
NY金先物 日足チャート

(出所:TradingView

世界的な金利上昇と米ドル高ですから、ゴールドが弱いのはたしかですが、リスクオフへの懸念も高まっているため、意外と値持ちはいいかもしれません。


今週の戦略はどう考えますか?

トラスショックがまだ続くでしょうから、英ポンド/米ドル、あるいは英ポンド/円の戻り売りでいいでしょう。


個人的には、米ドルに次いで強いスイスフランとの組み合わせで、英ポンド/スイスフランのショートにも期待しています。

英ポンド/米ドル 日足
英ポンド/米ドル 日足チャート

(出所:TradingView

英ポンド/円 日足
英ポンド/円 日足チャート

(出所:TradingView

英ポンド/スイスフラン 日足
英ポンド/スイスフラン 日足チャート

(出所:TradingView

(構成/ミドルマン・高城泰)

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