実弾介入の規模は合計9兆1881億円だった
米ドル/円は10月21日(金)に151.95円付近まで上昇しましたが、WSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)のニック・ティミラオス記者が「12月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で利上げ幅を鈍化させるかを11月の会合で議論する」と報じたことや、実弾介入もあり、145.10円付近まで下がりました。
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(出所:TradingView)
その実弾介入の規模ですが、10月分(9月29日(木)から10月27日(木))は6兆3499億円と発表されました。
9月分(8月30日(火)から9月28日(水))は2兆8382億円だったため、合計で9兆1881億円介入したことになります。
日次ベースも気になるところですが、これはまだ発表されておらず、7~9月期は11月8日(火)、10~12月期は来年2月に発表される見通しです。
FRBメンバーも金融政策の方向性が定まっていないのかも。米ドルの方向性は目白押しの重要イベントによって変わる
ニック・ティミラオス記者は10月21日(金)にFOMCがハト派になるような内容を報じていましたが、ただ、先週末には「FRB(米連邦準備制度理事会)のターミナルレートは想定よりも高くなる可能性」とタカ派な内容を示唆しています。
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FOMCが11月2日(水)にあるため、現在はブラックアウト期間となり、FRB要人は発言できない状態ですが、ニック・ティミラオス記者を使って、FRBが市場に織り込ませにきている可能性もあります。
もしそうであれば、ティミラオス氏の記事がハト派からタカ派に変わっていることもあり、FRBメンバーも金融政策の方向性が定まっていない可能性があります。
12月のFOMCまで、まだ1か月半ほどあり、その間に経済指標も多数発表されることから、FRBメンバーもそれを見てから判断したいのではないかと思います。
目先の注目イベントとしては、11月2日(水)のFOMC、11月4日(金)の米雇用統計、11月8日(火)の米中間選挙、11月10日(木)の米CPI(消費者物価指数)になります。
非常に重要なイベントが続くことになります。
そのため、米ドルの方向性はその材料によって変わることになります。
パウエルFRB議長は、12月の利上げ幅へ言及しない可能性の方が高い
11月2日(火)のFOMCは重要ですが、政策金利は0.75%の利上げでほぼ確定だと思います。
ただ、12月の会合での利上げ幅が0.75%なのか、0.50%なのか、0.25%なのか、それを市場も確認したいと考えていると思います。
もし0.75%であれば、タカ派と捉えて米ドル高に。大幅利上げが鈍化するようであれば、ハト派と捉えて米ドル安に推移するものと思います。
それを知るために、パウエルFRB議長の会見では、12月の利上げ幅の質問も出てくると思います。
そこが注目ですが、ただ、12月会合はまだ1か月半も先になるため、パウエルFRB議長も利上げ幅への言及はしない可能性の方が高いように思います。
そのため、「データ次第」と回答すると思います。
パウエルFRB議長の会見では、12月の利上げ幅の質問も出てくるだろう。ただ、12月会合はまだ1か月半も先になるため、パウエルFRB議長も利上げ幅への言及はしない可能性の方が高く、「データ次第」と回答すると思われる (C)Bloomberg/Getty Images News
もし、会見前までタカ派思惑で米ドル高に推移しているようであれば、織り込まれていた分が、この発言で剝げ落ち、米ドル安になると思います。
米ドル/円の買い方向は変わらないが、日足のMACDがダイバージェンスしており、売り材料が出れば140円まで下がる可能性も
FRBの大幅利上げもかなり終盤に入ってきているため、米ドル高トレンドも終盤に近いように思います。
チャートからはすでに、米ドル高も止まったようにも見えます。
ただ、円売りトレンドはまだ継続しており、過去最高額の介入で円高に一時的に推移しますが、貿易収支も過去最大の赤字となっており、米ドル/円は下がれば実需の買いが出てきます。
米ドル/円のファンダメンタル面からは、金利差や、貿易赤字など、買い方向は変わらないと思います。
季節性からも、今の時期は米ドル/円は年末に向けて上昇しやすい時期になります。
ただ、テクニカル面からは下がる可能性が示唆され始めています。
日足のMACDがダイバージェンスをしており、140円がターゲットとなる売りシグナルが出ています。
(出所:TradingView)
まだ売る材料がないため、ジワジワと上昇してきますが、もし売り材料が出てくるようであれば、140円まで下がる可能性も考えておくべきかと思います。
ユーロ/米ドルは当面、0.9600~1.0100ドルのレンジ幅で考えている
ユーロ/米ドルは、今年(2022年)2月から続いていた下降トレンドラインを超え、1.0000ドルも超えたことで1.0095ドル付近まで上昇しました。
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⇒ユーロ/米ドルは、0.9940ドル前後や1.0000ドルへ上昇か。ECBの利上げ継続や、米国株上昇による米ドル安が支え。介入が続くなか、日銀会合で円安になりにくい政策が出る?(10月25日、バカラ村)
(出所:TradingView)
ただ、ファンダメンタル面からは上昇が継続するとは考えにくい状態です。
ユーロ圏の景況感は悪く、CPIも10.7%を超えてきており、商品市場もまだ高止まりのため、インフレが収まらず、ECB(欧州中央銀行)理事会は難しいかじ取りが続きます。
先週(10月24日~)のECB理事会では0.75%の利上げを行い、次回も0.75%の予想もある状態です。
通貨ユーロの下落がインフレにも影響しているとラガルド総裁も発言しているため、そして米ドル高トレンドも止まりつつあるため、ユーロ/米ドルの下げは止まったと思いますが、ただ、下降トレンドラインを超えたことで、上昇トレンドに変わったと考えるのは時期尚早だと思います。
ファンダメンタルが弱いため、上昇するのは売りのポジション調整での上昇程度ではないかと思います。
そのため、ユーロ/米ドルは当面、0.9600~1.0100ドルのレンジ幅で考えています。
(出所:TradingView)
目先はFOMC、そして米雇用統計、米CPIが米ドルの行方を決めることになりそうです。
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