ドットチャートから年内残り2回のFOMCで1.25%利上げの見通し。利上げサイクル終了はロシアとウクライナの戦争の行方も影響しそう
先週(9月19日~)の注目イベントはFOMC(米連邦公開市場委員会)と日銀金融政策決定会合でしたが、それ以外にも多くの材料が出てきました。
9月21日(水)はロシアのプーチン大統領が部分動員令に署名をしたとの報道でリスク回避となり、ユーロは軟調に、円や米ドルが強くなり、ユーロ/円が急落。
FOMCでは、0.75%の利上げは市場の予想通りでしたが、ドットチャートでは2022年末4.4%(前回3.4%)、2023年末4.6%(前回3.8%)、2024年末3.9%(前回3.4%)となりました。
前回よりも上方修正されていることから米ドル高へ。
(出所:FRB)
現在の米国のFF金利(※)が3.00~3.25%のため、年内はあと1.25%の利上げを行う見通しとなります。
(※編集部注:「FF金利」とは、フェデラルファンド金利のことで、FFレートとも呼ばれる。米国の政策金利)
今年(2022年)開催されるFOMCは、残り11月2日(水)と12月14日(水)の2回になるため、11月に0.75%、12月に0.50%の利上げを行う可能性が高いことになります。
2023年は0.25%の利上げを1回行い、それで利上げサイクルもいったん終了というのがドットチャートから言えると思います。
ただロシアとウクライナが戦争を行っていることもインフレに影響しているため、それが停戦となるか否かでも状況は変わってくると思います。
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日銀の金融政策は現状維持。米ドル/円は145.90円まで上昇後、24年ぶりの実弾介入で急落
9月22日(木)の日銀金融政策決定会合は、市場予想通りの現状維持となり、市場ではまだマイナス金利が続くとの見通しから円が売られ、米ドル/円は145.90円まで上昇しました。
その上昇したところで24年ぶりの円買いの実弾介入が入り、米ドル/円を買っていた人の損切りも巻き込んで140.35円付近まで急落。
今年(2022年)は米ドル/円が急激に上昇していたことにより、スピード調整のための介入を行ったわけですが、急激な上昇で米ドル/円を買い遅れていた輸入勢の140円台前半にあった買いオーダーを付けてあげるためだけに下げたような動きで終わりました。
(出所:TradingView)
そして、9月23日(金)には英国のトラス首相が1972年以来の大型減税を行うと発表したことで英ポンドが急落しました。
英国は8月のCPI(消費者物価指数)が前年同月比プラス9.9%と高く、景気も悪い状態ですが、景気回復を狙った減税策になります。
ただ減税となるとさらにインフレが進み、高インフレ率が続けば、景気回復は遅れてくることになります。
それを受けて、英ポンド/米ドルは史上最安値の1.0350ドルまで急落しました。
(出所:TradingView)
1970年代の米国もインフレが進んでいましたが、インフレ退治よりも景気回復を狙う財政政策を行い、そのためさらに高インフレとなっていました。
その高インフレを退治するため、ボルカー元FRB議長が大幅利上げを行い、景気には悪影響でしたが、インフレを収めました。
今の英国も、さらなる高インフレになる可能性を秘めているため、英ポンド/米ドルは基本的に売り方向でいいのではないかと考えています。
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今週はインフレ指標の発表に注目。月末フローでは、米ドル売りが出る可能性があるか
今週(9月26日~)はインフレ指標が多く発表されます。
市場のテーマはインフレのため、この指標では反応が大きくなります。
9月29日(木)は豪州やドイツなどのCPIが発表され、30日はユーロ圏のHICP(※)と米国のPCEデフレーターも発表されます。
(※編集部注:「HICP」とは、EU基準による消費者物価指数のこと)
さらに、30日(金)は週末・月末・期末が重なります。
そのため、月末フローで為替相場は大きく動く可能性があります。
今月(9月)は米ドル高の動きが強かったこともあり、リバランスからの米ドル売りが出る可能性があることになります。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 日足)
ユーロ/米ドルは下降トレンド継続。大きな流れとしての米ドル高を変えるような材料は出てきていない
ユーロ/米ドルは、9月12日(月)に下降チャネルの上限の1.02ドルで上昇が止まり、下降トレンドが継続しています。
(出所:TradingView)
現在の下降チャネルの下限は0.9500ドル付近ですが、昨日(9月26日)は0.9550ドルまで下がっており、ほぼ到達している状態です。
そのため、米ドル高相場もいったん調整する可能性はありますが、まだ大きな流れとしての米ドル高を変えるような材料は出てきていない状態です。
そのため、下降チャネルは継続するのではないかと考えています。
豪ドル/米ドルも0.6500ドルの節目も下抜けて、米ドル高相場が継続しています。
(出所:TradingView)
月末は米ドル安になる可能性がありますが、まだ米ドル高相場は継続するものと考えています。
米ドル/円は介入警戒感が出てきますが、豪ドル/米ドルや英ポンド/米ドルなど、米ドル買いのトレードのままでいいのではないかと思います。
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