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西原宏一・大橋ひろこの「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」

豪ドル高に注目! FRBのスタンスが中立になり、株が
買われ、リスクオンで買われる通貨は豪ドル。明日は
豪中銀のサプライズに警戒! 0.5%利上げもあり得る

2022年10月31日(月)15:24公開 (2022年10月31日(月)15:24更新)
西原宏一&大橋ひろこ

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「ニック砲」で右往左往

「FEDウォッチャー」ニック・ティミラオス記者のツイートが話題ですね。


「FRB(米連邦準備制度理事会)のターミナルレート(利上げの最終地点)が、想定より高くなる可能性がある」と


ターミナルレートは、4%台後半から5%程度で落ち着くかと思われましたが、5%を超えてくる可能性が出てきました。

ニックは先々週(10月17日~)、「利上げ幅縮小の議論を開始するのでは」と正反対の記事を出したばかりです。


11月2日(水)にFOMC(米連邦公開市場委員会)を控え、FRB高官はブラックアウト期間に入り発言できませんから、ニックを使って反応を見ているのでしょう。

【※関連記事はこちら!】
米ドル高は、大きなターニングポイントに来ている。米国の利上げ幅のテーパリング(縮小)が始まれば、米金利は下がり、米ドル高はピークをつけて、豪ドルが買われやすくなる(10月24日、西原宏一&大橋ひろこ)

そもそも、FRBもまだ腹が固まっていないんでしょうね。


市場があまりに早く利上げ幅の縮小を織り込んでしまったので、熱気を冷ましているだけなのかもしれません。

■iPhoneが売れないのは米ドル高のせい?

モルガン・スタンレーのストラテジストは「米CPI(消費者物価指数)は来年(2023年)、急落する種がまかれている」としています。


マネーサプライをもとにした議論なので、今の流行りではないですが、個人的には同感


インフレのピークアウトが近いなら、ターミナルレートが5.25%や5.5%になる可能性は薄いのではないでしょうか。

今週(10月31日~)のFOMCでパウエル議長がどんなメッセージを発するのか、そして金曜日(11月4日)の米雇用統計、来週、11月10日(木)の米CPIも注目ですね。

先週(10月24日~)発表されたGAFA(※)系の決算はズタボロ。


アップルのCEOも「売上が増えていないのは米ドル高のせいだ」と不満を漏らしています。


米ドル高・円安でiPhoneが割高になっていますが、これは他国も同じ。


アップルの売上は3分の2が海外ですから、米ドル高に文句を言いたくなる気持ちはわかります。

(※「GAFA」とは、米国の主要IT企業であるアルファベット(旧グーグル)、アップル、フェイスブック、アマゾンの4社を指す言葉。4社の頭文字をつないだ造語)

米ドル/円、米2年債利回り以外はノイズ

10月のG7(先進7カ国)財務相・中央銀行総裁会議の共同声明では、「国を超えた波及を抑制することに留意しつつ、金融政策の引き締めのペースを適切に調整」との文言が盛り込まれました。


日本側が米ドル高に対して強い不満を表明した成果との話もあるようです。

日本だけでなく、各国から不満は出ているのは確かなのでしょう。

米ドル/円についてはどう見ますか?

米2年債利回り以外はノイズでしょう。


利上げ幅の縮小が始まるにせよ、米2年債利回りが急落するわけではないですから、米ドル/円が急落する可能性も低い。


ターミナルレート5.5%といった話が出て、米債利回りが再上昇しても、遠からず利上げ幅は縮小されるし、米ドル高の終焉も近い。


151.95円で天井をつけた可能性がありますが、当面は140円から150円程度のレンジなのかもしれません。


今注目しているのは豪ドル高です。

米ドル/円&米2年債利回り 日足
米ドル/円&米2年債利回り 日足

(出所:TradingView

大きな豪ドル高トレンドが始まるか

豪ドルと相関性の高い鉄鉱石は、需給がゆるむ懸念から2020年5月以来の安値にあります。


それでも豪ドルが買われる理由は?

FRBのスタンスが中立となっても、米2年債利回りは急落しませんが、株は買われ、リスクオンで買われる通貨は豪ドルでしょう。


足もとでは、中国懸念から豪ドルのショートポジションが積み上がってきていますから、踏み上げが始まる可能性もあります。


超長期のテクニカルでも上昇を示唆しているのですが、このあたりは整理しきれていない部分もあるので、いずれまとめてお伝えします。

【※関連記事はこちら!】
米ドル高は、大きなターニングポイントに来ている。米国の利上げ幅のテーパリング(縮小)が始まれば、米金利は下がり、米ドル高はピークをつけて、豪ドルが買われやすくなる(10月24日、西原宏一&大橋ひろこ)

豪ドル/米ドル 日足
豪ドル/米ドル 日足チャート

(出所:TradingView

英ポンドも、ファンダメンタルズはともかくとして、チャート的には上がりそうな形をしています。


スナク英首相は、国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)への不参加を発表しました。


やっぱり参加するとの報道もありますが、いずれにしても気候変動や脱炭素よりも、国内問題に軸足を置くようです。


もし、脱炭素の方針にこだわらなければ、エネルギー問題やインフレも解消しやすい


そうなったら、英ポンドは買われるかもしれません。

英ポンド/米ドル 日足
英ポンド/米ドル 日足チャート

(出所:TradingView

英国は伝統的に方針をコロッと転換することがありますからね。

明日の豪中銀はサプライズに警戒。0.5%利上げもあり得る

11月2日(水)のFOMCの翌日には、英中銀の政策が発表され、予想は0.75%利上げです。

サプライズがあるかもしれないのは、明日、11月1日(火)のRBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])の政策発表


予想では0.25%利上げですが、インフレも進んでおり、0.5%利上げのサプライズもありえます

今週の戦略はどう考えますか?

豪ドルの押し目買いですね。


先月(9月)の0.6170ドルでボトムアウトしたと見ている、豪ドル/米ドルの押し目買いでもいいですが、米金利が上がらずに株が買われるようなら、豪ドル/円を押し目買いしていきたいと思います。

豪ドル/米ドル 日足
豪ドル/米ドル 日足チャート

(出所:TradingView

豪ドル/円 日足
豪ドル/円 日足チャート

(出所:TradingView

(構成/ミドルマン・高城泰)

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