パウエル議長が発言!ターミナルレートは従来想定より高くなる?
みなさん、こんにちは。
今週(10月31日~)の注目は、なんといっても日本時間11月3日(木)未明に発表されたFOMC(米連邦公開市場委員会)です。
まず、FOMCは4会合連続で0.75%の利上げを発表しました。
加えて、FOMCはインフレ抑制を目指した積極的な利上げが最終段階に近づいている可能性があることも示唆したため、米ドル/円は一時145円台まで急落。
しかし、その後の会見でマーケットは一変します。
利上げ発表後のパウエル議長の会見では、利上げ停止を考えるのはあまりにも時期尚早だと指摘。
パウエルFRB議長は会見で「利上げ停止を考えるのはあまりにも時期尚早」と指摘し、米10年債利回りは一時4.22%に反発した (C)Bloomberg/Getty Images News
そして最終的な金利水準は従来想定より高くなったと述べたため、米10年債利回りは一時4.22%に反発。
米ドル/円と相関性の高い米2年債利回りも一時4.7431%まで急伸したため、米ドル/円も再び148円台まで反発しています。
しかし、米2年債利回りが前回の高値を超えて急伸しているにも関わらず、米ドル/円の反発は148円台止まり。前回の米ドル/円の高値である151.95円どころか、150.00円も回復できない状態です。
(出所:TradingView)
これは、米ドル/円が多くのマーケット参加者のターゲットである150.00円にすでに到達してしまったというのが原因だと考えています。
米ドル/円は積極的に買い進めづらい通貨ペアに
下図は米ドル/円の月足チャートです。
(出所:TradingView)
米ドル/円の最安値は2011年10月の75.35円。このレートの2倍が150.70円。
そして、今年(2022年)の米ドル/円の高値が先月(10月)到達した151.95円であり、今年(2022年)の米ドル急騰により、米ドルは日本円に対して約2倍に急伸したわけです。
視点を変えれば、日本円は米ドルに対してその価値をすでに半分に劣化させたということになります。
これが、今回米2年債利回りの急騰を受けても米ドル/円の上昇が限定的になっている要因だと考えています。
昨年(2021年)から、米ドル/円に対しては徹底的に強気であった自分の友人のヘッジファンドも150円レベルでは、長期に持っていた米ドルロング(買い)を順次利益確定し始めています。
その理由は、彼の米ドル/円のターゲットも150.00円レべルだからです。
今回のFOMCでのパウエル議長のコメントがややタカ派的であったため、米金利と米ドル/円は反発しています。しかし、パウエル議長自身が冒頭述べていたように、インフレ抑制を目指した積極的な利上げが最終段階に近づいていることもあり、早晩、米金利がそのステージに入れば、米ドルも反落します。
米国の利上げが最終段階に近づいていること、加えて、円はその価値をすでに半分にまで劣化させていることから米ドル高局面であっても、米ドル/円はすでに積極的に買い進めづらい通貨ペアになっていると想定しています。
【※関連記事はこちら!】
⇒米ドル/円は151.95円で天井を付け、急落する可能性に警戒! 当面は戻り売りの展開か。米利上げ最終地点の見通しに変化、米ドルは大きなターニングポイントに!(2022年10月27日、西原宏一)
では、米金利が再び反発するのであれば、どの通貨ペアを買っていけばいいのかを確認してみましょう。
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ユーロ/米ドルは再び0.9500ドル割れを目指す
10月の米金利の反落は、主要通貨に対し米ドルの価値を下げましたが、その下げが極めて限定的だったのがユーロ/米ドル。
ユーロ/米ドルはパリティ(1.0000ドル)をブレイクし、一時1.0094ドルまで高騰するも、その後あっさりパリティを割り込んで上値の重さを確認した形です。
(出所:TradingView)
第4四半期の欧州経済も、エネルギー不足、そしてロシアとウクライナの戦争が新たな局面を迎えるリスク、さらにはイタリアの債務破綻の可能性など、より深い問題が脅威として潜んでいます。
中央銀行であるECB(欧州中央銀行)にはこれらの脅威に対処する手段がほとんどなく、多くのエコノミストは、ユーロ/米ドルが再び0.9500ドルのブレイクを試すだろうという見方が目立ちます。
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150円台到達という大相場を終えた米ドル/円は当面145~150円のレンジでの推移
FRBの利上げが最終段階に入ってくれば、下値余地が拡大するリスクもある米ドル/円。
一方、多くの問題をECBでも解決できず、米金利が反落した局面ですら上値が重かったユーロ/米ドル。
結果、今月(11月)は下値余地が拡大しているユーロ/円の動向に注目です。
(出所:TradingView)
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