米ドル/円は上も下もやりすぎた
先週(11月14日~)は、米PPI(卸売物価指数)が予想よりも下ブレし、1米ドル=137円台まで下落しましたが、直後に買い戻される展開に。結局は140円を挟んだレンジでしたね。
(出所:TradingView)
先々週(11月7日~)の米CPI(消費者物価指数)の二番煎じですね。
投機筋が「米CPIが悪かったから米PPIも悪いだろう」とショートにして待ち構え、下がったところで利食われたため、行って来いとなりました。
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FRB(米連邦準備制度理事会)高官がタカ派発言を繰り返したこともあって、米金利などは米CPIショックから持ち直しています。
ところが、米金利と米ドル/円の相関がまだ切れたまま。
1998年高値の147.66円より上は買われ過ぎましたし、その反動もあって米CPIショックでは売られ過ぎた。
上も下もやってしまい、ひと段落というところなのでしょう。
(出所:TradingView)
為替市場は年20%も動けば十分。今年の米ドル/円は約30%も上昇して異常だった
日米金利差からすれば、米ドル/円は上がりそうですが、ただ上昇トレンドが再開するほどかという、そんな感じはありません。
ターミナルレート(利上げの最終地点)は5%程度ですから、米CPIショック前の水準まで戻ってきています。
大手金融機関のターミナルレート予想は、おおむね5%から5.25%程度ですね。
為替市場は年20%も動けば充分ですが、今年(2022年)の米ドル/円は約30%も上昇しました。150円台への上昇は異常でしたね。
(出所:TradingView)
ロシア産原油への価格上限、11月23日にも発表か
11月23日(水)にはニュージーランドの政策金利が発表されます。
0.5%利上げとの予想が多かったのですが、金利先物市場では0.75%の利上げが織り込まれつつあります。
0.5%であれば、失望で売られる展開でしょうか。
11月23日(水)には11月開催分のFOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨も発表されますが、気になるのはG7(先進7カ国)によるロシアへの経済制裁の一環として導入される、ロシア産原油への「プライスキャップ(価格上限)」。
どんな価格になるのかが11月23日(水)に発表され、12月5日(月)から導入される予定。
プライスキャップより高い値段での取引に対しては、輸送に対する保険などのサービスが禁止されることとなっています。
ただ、11月23日(水)の発表自体、まだ流動的との声もあります。
中国のコロナ死者でWTI原油は80ドル割れ
そもそもの発端は、12月5日(月)からEU(欧州連合)がロシア産原油の輸入を90%削減することですね。
いきなり90%削減すれば、産業や生活への影響が大きいですから、ロシア産原油の価格に上限を設定し、国民や企業を守りながら、ロシアに経済的な打撃を与えようという意図です。
前代未聞ですからどのような影響が出るのか、予想が難しい。
普通に考えると、ロシア産原油が市場から消えれば、WTIや北海ブレントといった他の油種の価格は上がるはず。
でも、G7合意を厳格に遵守できるとは思えませんし、そもそも中国やインドは枠組みの対象外。先行きは不透明です。
石油タンカーへの襲撃や、テロなどのリスクも高まりそうですね。
足もとのWTI原油は、中国で半年ぶりに新型コロナウイルスによる死亡者が出たとの報道により、80ドルを割り込んでいます。
不確実性が高まっているため、要注意ですね。
(出所:TradingView)
米感謝祭前でムリする必要はないが、米ドル/円の押し目買いでもよさそう
来年(2023年)はコモディティの年になるだろうと、現段階では見ていますが、原油市場では早くも動きが出てくるかもしれませんね。
今週(11月21日~)の話に戻ると、11月24日(木)が米国の感謝祭。11月23日(水)、11月24日(木)は動きが出にくいでしょう。
今週の戦略はどう考えますか?
米感謝祭前ですから、ムリにポジションを取る必要はありませんが、米ドル/円の押し目買いでもいいかと思います。
米ドル/円は、米2年債利回りの上昇にまだついてきていないため、短期的には上昇余地があるのではないでしょうか。
(出所:TradingView)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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