西原宏一さんのメルマガ「トレード戦略指令!」の有料会員向けに配信している動画コンテンツ「今月のFX・投資作戦会議」の中で、西原さんが為替相場で特に注目しているテーマを解説する「にっしートピック!」を無料公開しています。当コラム「FX&コモディティ今週の作戦会議」の内容とも連動しているので、ぜひ、ご視聴ください。
米ドル/円急落も、38.2%押しで踏みとどまる
先週(11月28日~)の米ドル/円は、139円から133円台まで下げました。
151.95円の高値をつけた10月21日(金)から、1カ月半で約18円の下落です。
特に、金曜日(12月2日)は市場が壊れたかのような急落でしたね。
先週の安値は133.63円でしたが、2021年1月の安値からフィボナッチ・リトレースメントを引くと、38.2%押しが133.09円。この水準にあと一歩まで下げました。
(出所:TradingView)
それだけマーケットがロングに傾いていた、ということでしょうか?
高値で買ってしまった人も多かったのでしょう。
今年(2022年)の為替市場は熱狂しやすい。英ポンド/米ドルが1.0350ドルまで下げた場面もそうでしたが、戻りも早いですね。
(出所:TradingView)
下げ過ぎた米ドル/円、調整に要注意
133円台をつけた夜には、米雇用統計が予想を上回ったことで136円目前まで買い戻されました。
ただ、数字がよかったわりに米金利はそこまで上がらず、米株も強かった。
ターミナルレート(利上げの最終地点)が5%でほぼ固まったのでしょう。
米ドル/円については、米2年債利回りに対して下げ過ぎているため、調整に気をつけたいですね。
(出所:TradingView)
来週(12月12日~)にはFOMC(米連邦公開市場委員会)を控えていますが、0.5%利上げの織り込みが78%。利上げサイクルも終わりに近づいていますね。
米金利上昇をテーマにした上昇相場が1米ドル=151.95円で終わり、最初の反転は取りやすかったですが、ここからはテーマなくフラフラと乱高下する、やりにくい相場になっていきそうです。
ロシア産原油のプライスキャップ、反応は?
今週(12月5日~)は12月6日(火)に豪州、12月7日(水)にカナダの政策金利発表です。
いずれも0.25%の利上げ予想ですね。
カナダは、一部で0.5%利上げとの予想も出ています。
去年(2021年)の今ごろは、原油高を背景にしたカナダドルへの強気な見通しが多かったのですが、足もとでは原油とともに見通しが割れています。
原油市場では、ロシア産原油へのプライスキャップ(価格上限)が60ドルで決まりました。
ロシア大統領府の報道官は「上限は受け入れない」とする一方、外相は態度を軟化させる気配も。
市場も判断がつきかねるのか、原油価格に大きな動きはありませんでした。
(出所:TradingView)
翌日(12月4日)のOPECプラス(※)の会合も、従来どおりに日量200万バレルの減産となりましたね。
(※編集部注:「OPECプラス」とは、OPEC(石油輸出国機構)にOPEC非加盟の主要産油国を加えた枠組みのこと)
プライスキャップ導入でロシア産原油の供給が減少するため、OPECプラスが増産に踏み切る、とのシナリオもありましたが、原油の上値が重い。
減産しないと価格を維持できないのでしょう。
ニュージーランドドル/円の押し目買い方針
ゴールドは1800ドルへのせてきました。強いですね。
(出所:TradingView)
ゴールドの先物市場は、11月にネットショートになっていました。過去20年で3回しかない珍しい現象です。
そこへきて、FRB(米連邦準備制度理事会)のピボット(政策転換)が始まったのでショートカバーが始まり、さらに中国からはゼロコロナ政策の一部緩和といった観測も出てきました。
下げていた中国人民元やハンセン指数が切り返して、ドルインデックスが下落するとともに、逆相関となるゴールドが買われる、といった動きがきれいに出ています。
中国のデモについては、話題がふくらんだ先々週末がピークだったのかもしれませんね。
今週の戦略はどう考えますか?
後ほど公開されるYouTube版で詳しく話していますが、ニュージーランドドル/円は95円を来年(2023年)のターゲットとしています。
今週もニュージーランドドル/円の押し目買いでいいのではないでしょうか。
(出所:TradingView)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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