懸念していたフラッシュ・クラッシュが現実になった!
明けましておめでとうございます。
本年の為替相場も昨年のようにダイナミックに動くことを期待したいですね。
さて、2023年のスタートからトリッキーな動きをしたのが、米ドル/円でした。
なんの材料もない中、1月3日にいきなり129.52円まで急落し、そして本稿執筆時点で132.72円まで急反発しています。
(出所:TradingView)
年末の作戦会議で懸念していたフラッシュ・クラッシュ(ミニですが)が現実に。
【※関連記事はこちら!】
⇒【2023年のFX予想】米ドル/円は120~145円程度のレンジか。先週の日銀はサプライズだったが、今後は一方的な動きになりにくい。正月クラッシュはあり得る?(2022年12月26日、西原宏一&大橋ひろこ)
流動性のない市場ではクラシカルな手法も通用する?
ミニフラッシュ・クラッシュが起きて、マーケットが円高方針に傾斜した局面で、米系短期勢が買い戻す。
結果として、米系短期筋がフェイクをかけてから米ドル買いをしたという展開になりました。
20年ほど前の金融機関、AIではなくトレーダーがメインでトレードしていた時代は、こういうフェイクはよくありましたが、こうしたクラシカルな手法が今どき行われるとは驚きです。
年初のような流動性のないマーケットではこうしたクラシカルな手法が通用するのでしょう。
僕は米銀時代、フェイクの塊のような米ドル/スイスフランという通貨ペアを担当していた時期がありました。
当時は、チューリッヒの小鬼(=スイスの市場参加者、投機的なヘッジファンドみたいなもの)とのフェイク合戦を避けられなかったため、トレードに関してはかなりタフになりました(まともにチューリッヒの小鬼とやりあうとメンタルをやられます)。
ともあれ、年初から米ドル/円もユーロ/米ドルも、そして豪ドル/米ドルも方向感なく乱高下しています。
新年早々いきなり「行って来い」を演じているだけのマーケットで、市場参加者はまだ明確な方向性を確かめられず、リスクも限定的な段階。
そんな中、少しトレンドになり得るかもしれない動きがあった通貨があります。
それは、豪ドル。
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中国、オーストラリア石炭の輸入規制見直し検討で、豪ドルが急騰
中国のコロナ感染者拡大懸念により、中国がらみの株や通貨は当面上値が重く、トレンドを明確に示せないだろうというのがマーケットのコンセンサスでしたが、1月4日、突如ハンセン指数が急騰。
それに呼応して豪ドルが一時、主要通貨の中で上昇率トップに躍り出ました。
その要因は中国に関する下記の報道です。
中国当局はオーストラリア産石炭の2年余りにわたる禁輸を解除し、輸入を一部再開する計画を検討している。2国関係の改善に向けた動きが背景にある。石炭輸入の部分再開検討が伝えられたことを受け、豪ドルの対米ドル相場は一時1.3%上昇し、1豪ドル=0.6817米ドルを付けた。ホワイトヘイブン・コールなど豪州の石炭関連銘柄の株価も値上がりした。
(出所:Bloomberg)
中国は2020年、豪州のモリソン首相(当時)が新型コロナウイルスの発生源について独立した調査を求めたことに反発し、豪州産石炭の輸入を規制しています。
大麦やワインなど豪州の農産品にも高関税を課しています。
豪州の外務貿易省によると、豪州産石炭の中国への輸出額は、2019年は137億豪ドル(約1兆2000億円)でしたが、中国の輸入規制により21年には2400万豪ドルと99.8%減に落ち込んでいます。
その後、豪州では22年5月の総選挙で政権が交代。
新しく首相に就いたアルバニージー氏は、11月に習近平国家主席と会談するなど中国との関係正常化を模索した結果、両国間の関係改善がみられるといったところ。
当然この報道は豪ドルにポジティブなので、豪ドル/米ドルがいきなり急騰しました。
(出所:TradingView)
ただ、米ドル/円に象徴されるように対主要国通貨で米ドルが強いため、豪ドルは対米ドルというより、対円や対ニュージーランドドルで底堅く推移しています。
下図は、まだ数日ですが年初来の対米ドルの主要通貨の騰落率。
主要通貨に対して、対カナダドルと対豪ドル以外は米ドル高に推移しています。
結果、トレンドになりつつある豪ドルですが、豪ドル/米ドルよりも豪ドル/円や、豪ドル/ニュージーランドドルに注目しています。
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豪ドル/円と豪ドル/ニュージーランドドルが上値を拡大できるか!?
2023年はスタートから米ドル/円がミニフラッシュ・クラッシュを演じ、波乱含みでスタート。
マーケットが乱高下する中、市場参加者はまだなにも確信をもってトレードしているとは言い難く、明確なトレンド発生を模索している状況です。
そんな中、中国発の報道で、豪ドル/円と豪ドル/ニュージーランドドルが上値を拡大できるかに注目しています。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
それでは、本年もこのコラムをよろしくお願いいたします。
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