今年の米ドル/円は年間値幅が38.48円と非常によく動いた
今年(2022年)の米ドル/円は非常によく動きました。
今年の安値は113.47円、高値は151.95円になるため、38.48円も動いたことになります。
2021年は安値102.59円から高値115.52円まで、年間で12.93円の動き。
2020年は安値101.18円から高値112.22円まで、年間で11.04円の動きとなり、小動きの年が続いていましたが、今年はそれを大きく超える値幅です。
(出所:TradingView)
動いた理由は、ウクライナ情勢、それによるエネルギー価格の上昇、米国の大幅連続利上げなどになります。
(出所:TradingView)
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来年の米ドル/円の予想の多くが下落方向。相場予想がよく当たると有名な似鳥昭雄社長は、110円を切る可能性も予想
来年(2023年)の米ドル/円の動きも気になるところですが、すでにメルマガでも記載しましたが、ブルームバーグが報じた金融機関の来年の米ドル/円の予想の多くが下落方向です。
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160円を予想する金融機関もありますが、下方向の予想が多く、12月前半時点の金融機関の予想は120円や130円など予想されており、ただ、12月20日(火)の日銀会合(日銀金融政策決定会合)のサプライズで130円はすでに到達しています。
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相場予想がよく当たると有名な似鳥昭雄社長は、今年の予想は難しかったようですが、12月23日(金)の決算会見で110円を切る可能性も予想しています。
金融政策面から考えると、米ドル/円は下がることになるが、一方的に下がることも考えにくい
今年、米ドル/円の上昇要因となったFRB(米連邦準備制度理事会)の利上げですが、来年もまだ0.25%の利上げが2~3回程度は続くと思いますが、年後半は利下げの可能性も出ています。
それに対して、日銀はYCC(イールドカーブコントロール)の変動許容幅を拡大し、大規模金融緩和を修正し始めています。
金融政策面から考えると、米ドル/円は下がることになります。
それでも金利差はまだ残り続けるため、ゴルディロックス相場になれば米ドル/円が買われる展開もあると思いますが、今年のような強い上昇相場はもう期待できないと思います。
ただ、実需としては、日本は資源がないため輸入にたよることで円売りになりやすく、ウクライナ情勢もまだ終わりが見えないため、エネルギー価格の下落も期待できないと思います。
そのため、米ドル/円が一方的に下がることも考えにくいように思います。
米ドル/円は利上げサイクルの間、上昇したり、下落したり、動ていない時もある
1990年代以降のFRBの利上げサイクル局面と利下げサイクル局面、そして米ドル/円の動きを確認してみると、利上げサイクルは4回あり、今回で5回目になります。
1994年1月(3.00%)から1995年2月(6.00%)まで、3.00%の利上げ。
1999年5月(4.75%)から2000年5月(6.50%)まで、1.75%の利上げ。
2004年5月(1.00%)から2006年6月(5.25%)まで、4.25%の利上げ。
2016年11月(0.50%)から2018年12月(2.50%)まで、2.00%の利上げ。
米ドル/円はその間、上昇している局面もあれば、下落している局面もあり、市場が利上げをテーマとして動いていないときもあることが分かります。
(出所:TradingView)
利下げ局面では、米ドル/円は売りを考えたほうがいい。来年後半の米ドル/円は下がる可能性が高い
利下げサイクルは4か所あり、
1990年9月(8.00%)から1992年9月(3.00%)まで、5.00%の利下げ
2000年12月(6.50%)から2001年12月(1.75%)まで、4.75%の利下げ
2007年8月(5.25%)から2008年12月(0.25%)まで、5.00%の利下げ
2019年6月(2.50%)から2020年3月(0.25%)まで、2.25%の利下げ
2000年から2001年の局面以外は米ドル/円は下がっています。
(出所:TradingView)
FRBの利下げで、金利差が小さくなり、米ドル/円が売られる、という理由もあると思いますが、利下げ局面は金融市場がリスク回避になっている場面も多く、それが原因で米ドル/円が売られているときもあると思います。
利下げ局面では、米ドル/円は売りを考える方がいいことになります。
来年後半はFRBの利下げが予想されているため、来年後半の米ドル/円は下がる可能性が高いことになります。
米ドル/円は145円がレジスタンスとして機能しやすい
来年の米ドル/円の予想値幅に関しては、今年の38円は極端に動いたため、これよりも小さくなると思いますが、昨年の13円や一昨年の11円よりも大きくなると思います。
今もまだボラティリティが高い状態で、12月20日(火)の日銀会合の1日の動きだけでも約7円動いているため、例年の11~13円幅で収まるとは考えにくく、20~25円程度の値幅は動いてもいいのではないかと思います。
今年151円まで上昇し、145円~150円付近で約1カ月もみ合いをしていましたが、FX業者の個人のポジションの推計を見ると、そのときに買いが多くなっていました。
その後に130円まで下がったため、買っている人のポジションの多くが切らされたと思いますが、まだ完全に切れていないものもあると思います。
そのため、145円はレジスタンスとして機能しやすいと思います。
(出所:TradingView)
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米ドル/円の最安値と今年の最高値の38.2%戻しは122.76円。心理的節目の120円もサポートとなり、来年のレンジは120~145円か
米ドル/円の最安値は75.54円、今年の最高値が151.95円となり、38.2%戻しは122.76円となります。
心理的節目としての120円もサポートとなりやすいことを考えると、来年の米ドル/円のレンジは120~145円になるように考えています。
(出所:TradingView)
市場のテーマが何もない間は円キャリーで、米ドル/円は底堅くなる場面もあると思いますが、FRBが利下げを始めると思われる年後半は米ドル/円は下がりやすいように思います。
今年はこれが最後のコラムになります。今年もありがとうございました。
来年もよろしくお願いいたします。良いお年をお過ごしください。
※次回の配信は2023年1月10日の予定です。
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