1月18日の日銀会合、YCCの再修正はあるか
先週(1月9日~)から円買いが進んでいます。米ドル/円は今朝(1月16日朝)も安値を更新し、127円台前半です。
(出所:TradingView)
背景にあるのが、日銀の政策修正への期待ですね。
日銀は1月12日(木)に4.6兆円、1月13日(金)には、5兆円の国債を購入しました。
2日連続で過去最大を更新し、合計10兆円を購入しても、10年債利回りはYCC(イールドカーブコントロール)上限の5%を超えています。
このペースで買い支え続けるのは難しいですよね。
(出所:TradingView)
先週注目されたのが読売新聞の記事。
「日銀、大規模緩和の副作用点検へ」との見出しで、1月18日(水)の日銀会合(日銀金融政策決定会合)で、政策を再修正する可能性を示唆しています。
日銀はここまで金利をうまくコントロールしてきましたが、ついに支えきれなくなり、「YCC崩壊」との声すら出ています。
今回は動かなくとも、4月の新総裁のもとで修正するかもしれませんし、YCCを撤廃することも考えられます。
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外資系を中心に、1月18日(水)の修正を予想する声も増えていますね。
次回の日銀会合は3月10日(金)。だいぶ先になります。緊急会合という手もありますが、よほどのことがないと考えにくい。
2カ月の間、買い支えるのは難しいし、3月となると日本企業の本決算が間近です。その時期に為替のボラティリティが出るのを企業は嫌がります。
企業に配慮するなら、今回のほうがタイミングとしては動きやすい。
今週か3月以降か、YCC修正は時間の問題に
3月は黒田さん最後の会合になりますね。
2022年12月のYCC修正は、多くの市場関係者にとってもサプライズでした。
黒田総裁は「さらなる変動幅の拡大は必要ないし、今のところ考えていない」と話していましたが、市場はまったく信じていないようです。
「次期総裁へのバトンタッチに向けて金融政策転換の道を開く」と見る関係者も増えていますね。
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いずれにせよ、YCCは「修正する・しない」ではなくて「いつ修正するか」という時間の問題になりつつありますね。
「アベノミクス高値125.86円」が再注目
YCCが撤廃され、いずれマイナス金利解除という方向に向かえば「アベノミクスの終焉」です。インパクトは大きいですね。
ただ、日銀が動くといっても1%以下の話ですから、絶対水準としては小さな話ですが……。
相場は絶対水準よりも「今後どちらへ向かうのか」。
FRB(米連邦準備制度理事会)の動きを見ても、市場は4.75%をターミナルレート(利上げの最終地点)に、年央以降の利下げを織り込み始めています。
米国は利下げ、日本は利上げへ向かうのならば米ドル/円は下がらざるを得ない。ダウンサイドリスクが高まります。
昨年(2022年)のポイントだった、アベノミクス高値125.86円が再びクローズアップされますね。
僕は125円を割っても120円程度と思っていますが、それ以上に下がると思っている人も多い。
今回は特に海外勢の弱気が目立ちますね。147円から111円へと一気に暴落した「1998年の再来」も頭をよぎっているのでしょう。
(出所:TradingView)
米ドル/円を慎重に戻り売り。ユーロ/米ドルや豪ドル/米ドルの買いでもいい
明日、1月17日(火)には中国の経済指標がいくつか発表されます。
足もとでは「リオープン(ゼロコロナ政策の転換、経済活動の再開)」で、リスク資産が買われていましたが、今回発表される数字はリオープン前の時期を含むので悪くて当然。
それも織り込まれてはいますが、指標を気にして売られたところは買い場なのかもしれません。
米ドル/円は売りでいいと思いますが、ボラが高く1円、2円程度は簡単に戻してしまう。慎重に戻りを売っていきたいですね。
また、円高だけでなく米ドル安でもありますから、ユーロ/米ドルや豪ドル/米ドルの押し目買いもいいと思います。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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