パウエルFRB議長は来年の利下げを否定したが、市場が利下げにフォーカスすれば、米ドル安がテーマとなりそう
先週(12月12日~)のFOMC(米連邦公開市場委員会)はどう見ましたか?
予想どおりの0.5%利上げで、大きなサプライズはなかったのではないかと思います。
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先週は英国やスイスなどの金融政策発表もありましたが、いずれもサプライズはありませんでした。
ただ、FOMCやECB(欧州中央銀行)の政策をタカ派的と解釈したのか、株式市場は下げています。
S&P500は、史上最高値から引いたレジスタンスラインできれいに反落。
上値も下値も拡大して下げるトランペット型の下落ですから、次の下値は深くなるのかもしれません。
(出所:TradingView)
注目したいのは、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長が2023年中の利下げを否定したこと。
一方で、金利先物市場は来年(2023年)の利下げをまだ織り込んだままで、対立した構図となりました。
FRBだけでなく、RBNZ(ニュージーランド準備銀行[ニュージーランドの中央銀行])も来年の利下げがないことを示唆しています。
米国にせよニュージーランドにせよ、来年の利下げを予想していた銀行は少なくなかっただけに、肩透かしを食らった格好です。
利下げがいつになるにせよ、今のターミナルレートだとFRBの利上げは、あと0.75%。
2月に0.5%、3月に0.25%なのか、0.25%をあと3回やるのかはともかく、終わりは見えています。
市場のフォーカスが利下げに移行すれば、米ドル安がテーマとなってきますね。
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「岸田政権が2%物価目標柔軟化」報道で、米ドル/円や日経平均は下窓を開けてスタート
米ドル/円の上値は重いですし、そこへきて週末には、岸田政権が政府・日銀の共同声明、政策協定を見直す、という話が報じられ、今朝(12月19日朝)の米ドル/円や日経平均は下窓を開けて始まりました。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
「2%物価目標の柔軟化」と報じられています。
まだ詳細はわかりませんが、「アベノミクスの終わり」であり、株安・円高材料であることは確かですね。
火曜日(12月20日)には日銀の政策決定会合が控えています。
政策協定を見直すといっても、来年4月に次期日銀総裁が就任してからの話であって、黒田さんは当然否定するでしょうが、市場は先行して織り込んでいく可能性もあります。
今週の市場はクリスマスでお休みモード。来週火曜日から実質的な2023年相場の始まり
とはいえ、今週はクリスマス週。市場はお休みモードですね。
日銀会合が年内最期のイベントとなり、欧米勢が帰ってくる来週(12月26日~)から実質的に2023年が始まる、というイメージですね。
ただ来週、12月26日(月)は米国や英国、ドイツが休場。12月27日(火)からが本格的なスタートとなりそうです。
原油市場では、米エネルギー省がこれまで放出していた戦略備蓄を補充するため、まずは300万バレル購入すると発表しました。
これまでも、72ドル以下では購入するとしていましたが、前倒しで購入を始めることになります。原油価格を下支えする材料となるかもしれません。
中国、「ウィンター・ウェーブ」で100万人が死亡!?
気になるのは中国。
抗議活動もあり、ゼロコロナ政策を想定よりも早く解除しましたが、フィナンシャル・タイムズは、中国で人の移動が活発化する旧正月の「ウィンター・ウェーブ」により、100万人が死亡するとの予測モデルを記事にしています。懸念が高まるかもしれません。
中国在住の友人に話を聞くと、コロナを恐れて外出を控える人も多いと聞きます。来年に向けての不安材料のひとつですね。
今週の戦略はどう考えますか?
ムリしてトレードする時期ではありません。
政府・日銀の政策協定の話で、市場が動くようなら短期でトレードするかもしれませんが、来週まで持ち越すようなポジションは今のところ想定していません。
(出所:TradingView)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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