米欧英、金融政策の発表が相次ぐ
今週(1月30日~)は、2月1日(水)にFOMC(米連邦公開市場委員会)、2月2日(木)にはBOE(イングランド銀行[英国の中央銀行])、ECB(欧州中央銀行)と金融政策の発表が続きます。
FOMCは0.25%利上げでしょう。3月も0.25%上げて利上げ終了、というのが市場のコンセンサスですね。
金利先物市場を見ると、年末にはピボット(利下げ開始)が織り込まれています。
3月は据え置きとの見通しも出てきましたし、株価も強い。
S&P500やナスダック総合指数は、昨年(2022年)12月高値を意識した動きになっています。
市場の楽観に釘をさす意味で、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の会見では、タカ派的なコメントが出るかもしれませんね。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
春節明けの中国株は堅調なスタート
株高の背景には、ゼロコロナ政策から転換した中国のリオープン(経済再開)期待もあります。
その意味で、春節明けとなる今日(1月30日)の中国株市場は注目。
お昼の時点では、上海総合指数が6カ月ぶりに3300ポイント台をつけて上がっていますね。
株式市場では、テスラの個別株オプションの出来高急増が話題です。
投機的な仕掛けでテスラ株が急騰し、ひいてはナスダック総合など指数の上昇につながっているのかもしれません。
だとすれば、この株価は実態に即していないことになりますが、今週はアマゾン、アルファベット、メタなどの決算発表も控えています。
FOMC、そして決算を受けて、昨年12月高値を超えてくるようだと、「セル・イン・メイ」が意識される春先まで強いのかもしれません。株価の動向には気をつけたいですね。
ECBは「0.5%利上げ×2回」がコンセンサス
ECBは2月、3月と0.5%ずつ、あと2回の利上げが織り込まれています。
市場はすぐにピボットを期待するので、今回もタカ派的なコメントでけん制するのではないでしょうか。
金利先物市場が織り込む、BOEのターミナルレート(利上げの最終地点)が4.5%、ECBが3.5%くらいですよね。
それと比べると、米国がいちばん高い。
ただ先週(1月23日~)、BOC(カナダ銀行[カナダの中央銀行])が利上げ停止を示唆しました。
「FRBも利上げ停止か」という連想が働きやすくなっているのは事実ですよね。
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雨宮さんなら1円上昇!? 「令和臨調」で円高!
日銀の次期総裁人事も最終盤となってきました。
2月10日(金)には、人事案を国会に提示するとされていますから、今週、来週(2月6日~)あたりに報道が出てもおかしくないタイミングです。
退任を発表したばかりのトヨタ自動車・豊田章男社長を、次期総裁の大穴とするレポートも話題となりましたね。
有力候補としては、いずれも副総裁を務めた雨宮さん、中曽さん、山口さんと名前があがっていますが、本命は雨宮さんでしょう。
もっとも、タカ派色が強いのは白川総裁時代に副総裁だった山口さんですし、反対に、もっともタカ派色が薄いのは雨宮さん。
雨宮さんなら、米ドル/円は1円程度上がるイメージです。
ただ、1月18日(水)の日銀会合(日銀金融政策決定会合)直後にそうだったように、上がったところでは売りが待っているのでしょう。
今日13時、財界や学界の有識者による「令和臨調」が、政府日銀のアコード(共同声明)見直しを提言したとのニュースで、米ドル/円は1円近く下げました。
令和臨調の共同代表には、日銀副総裁候補としても取りざたされている翁百合さんの名前があります。
翁氏が副総裁となれば、円高リスクが高まりそうですね。
(出所:TradingView)
FOMCをきっかけに、米ドル安が調整する可能性にも注意しながら、豪ドル/米ドルを慎重に買っていきたい
コモディティ市場で注目されるのが、2月5日(日)から始まるEU(欧州連合)へのロシア産石油製品の輸入禁止。
昨年12月、EUはロシア産原油の輸入を禁じましたが、今度はガソリンやディーゼルなどの石油製品で、インパクトはより大きいと見る専門家もいます。
原油価格への影響はまだ不透明ですが、原油とガソリンやディーゼルなど、石油製品とのサヤに注目する「クラック・スプレッド」取引が面白いかもしれません。
今週はFOMCの動きを見たいところですが、昨年11月からの米ドル安は大きな調整がないままに続いています。
FOMCをきっかけに、米ドル安が調整する可能性にも注意しながら、豪ドル/米ドルを慎重に買っていきたいと思います。
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(出所:TradingView)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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