日銀会合で上へ下への乱高下!
先週(1月16日~)の日銀会合(日銀金融政策決定会合)は、ボラティリティが高まりましたね。
発表直後に3円急騰してからの全戻しでした。
(出所:TradingView)
海外勢を中心に、何らかの政策変更があるのではと期待が高まっていましたが、結果は現状維持。
ところが、共通担保資金供給オペの拡充を決めたことが「金融緩和の強化」と受け止められて急騰したものの、「YCC(イールドカーブコントロール)の修正・撤廃に動くのは時間の問題」と見た海外勢の戻り売りに押されて急落した、というところでしょうか。
政策変更を期待していた海外勢からの恨み節が、あちこちから聞こえてきます……。
サプライズ好きな黒田さんの性格を考えれば、市場の期待が高いときは動かないと予想できたのでしょうが、今回は前のめりになりすぎましたね。
日銀が動くのは4月以降か
先週のコラムでも話したとおり、次回の日銀会合は3月10日(金)。
本決算の直前に、為替や金利が急変することは避けたいでしょうから、政策変更や政府とのアコード(共同声明)見直しは、4月以降に先送りとなりそうですね。
とはいえ、共通担保オペは今日(1月23日)からです。その結果や効果も見極めたいですね。
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米ドル/円はチャート的に、いったん底をつけた可能性があることもたしか。
僕の見ているTDシーケンシャルでも、日銀会合の1月18日(水)に底打ちのシグナルを出しています。
先週安値127.22円は昨年来高値・安値で引いたフィボナッチ・リトレースメントの50%とほぼ一致しています。止まるべきところで止まっています。
米ドル/円はいったん戻りを試す可能性もありますね。
(出所:TradingView)
「ブレトンウッズ3.0」で米ドル安が進む
今年(2023年)のトレンドが米ドル安であるとの見通しは変わりませんが、当面は米ドル/円よりも、ユーロや豪ドルなどのドルストレート(米ドルが絡んだ通貨ペア)が注目となりそうです。
先週のダボス会議では「米ドル以外の通貨での石油貿易決済、サウジはオープン」との記事が出ました。
中国人民元やユーロを想定した発言でしょうが、以前から話している「ブレトンウッズ3.0」への移行が連想され、米ドルは値を下げやすくなると想定しています。
ゴールドも代替手段のひとつですね。
決済通貨の再構築といった動きが強まると、ゴールドの価値が高まりやすくなります。
コモディティ高を為替で表現するなら、豪ドル高でもある。
IEA(国際エネルギー機関)は、今年の石油需要が過去最高を更新するとの予想を出しました。
中国のリオープニング(経済再開)によるところが大きいかと思われますが、景気減速の予想も多い一方で、原油需要が高まるということは、景気が悪くないということ。
悲観的になりすぎないほうがいいかもしれません。
「バッドニュース・イズ・グッドニュース」から「バッドニュース・イズ・バッドニュース」へ
株式市場でも、今年は米利上げが効いてきて、企業収益が悪化し株価は低迷するという予想が多かったのですが、中国のリオープニングが効いてきて、意外と落ちないという意見も出てきました。
ここまでの値動きは、そのとおりになってきています。
去年(2022年)までは、米経済指標が悪化すると、利上げ打ち止め期待が高まって「バッドニュース・イズ・グッドニュース」で株が買われました。
ところが、先週は素直に「バッドニュース・イズ・バッドニュース」で反応する場面がありました。
今週から米企業の決算発表が本格化し、1月24日(火)にマイクロソフト、1月25日(水)にテスラ、来週、2月2日(木)にはアップル、グーグルやアマゾンなど、金利上昇局面で売り込まれたテック企業の決算が発表されます。
金利上昇が影響し、決算期待値に届かずに売られる「逆業績相場」の様相となると厳しい。
中国リオープン期待と決算、どちらに軍配が上がるかに注目ですね。
米ドル安が調整なく進むか、見極めを
いずれにせよ、米ドル/円は2年前とは比べものにならないほど、ボラティリティが高まっています。
当面は、130円を挟んで上下2、3円ほどのレンジを見込んでいますが、値が飛びやすくスウィングトレードには向かないかもしれない。
デイトレードくらいに時間軸を下げたほうがやりやすそうです。
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⇒今の米ドル/円は、短期トレードに徹したほうが良い! 株高や米ドル安はいったんピークアウト、豪ドルやNZドルは、下がったところで中期の買い場を探したい(1月19日、西原宏一)
(出所:TradingView)
今週の戦略はどう考えますか?
英ポンド/米ドルは昨年9月以降、大きな調整もなく2000ポイントほど上げています。
ユーロ/米ドルも1000ポイントほど上げており、このまま調整なく米ドル安が進むのかどうか、見極める週でしょうか。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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