「雇用統計ショック」から「雨宮氏へ打診」
先週(1月30日~)からFOMC(米連邦公開市場委員会)、米雇用統計、日銀総裁報道と大きな動きが続きましたね。
まずFOMCですが、印象的だったのは、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長が「ディスインフレ」と10回以上も繰り返したこと。
パウエルFRB議長が「ディスインフレ」と10回以上も繰り返したのが印象的だった (C)Bloomberg/Getty Images News
ディスインフレ、つまり、インフレ状態ではあるものの、ペースは鈍化した状態ですね。
金利先物市場は年内の利下げを織り込んでいますが、ディスインフレ状態での利下げはとても正当化できません。
さらに、米雇用統計では、雇用者数18万人増の予想に対して、51.7万人増と大きな上ブレ。
年内利下げのストーリーが崩されつつあります。
昨年からの米ドル売りは反転へ
パウエルさんは、米雇用統計の数字を知った上でFOMCに臨んでいると思うのですが、1月分の米雇用統計では、人口統計の年次更新が反映されるため単純比較できない、との指摘が出ています。
だとすれば、平均賃金は前月比0.3%増と前回の0.4%増から低下していますから、インフレ率はそれほど伸びないということになります。
だからこそ、「ディスインフレ」と繰り返したのかもしれませんね。
こうした米ドル側の要因に加えて、日曜日(2月5日)深夜に日経新聞が「日銀次期総裁、雨宮副総裁に打診」と報じたことで、今朝(2月6日朝)の米ドル/円は、1円30銭ほどの上窓を開けて始まりました。
(出所:TradingView)
ちょうど先週、この対談で「米ドル/円は、日銀次期総裁が雨宮氏となれば、1円程度上がるイメージ」と話したとおりの展開ですね。
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いずれにせよ、昨年(2022年)10月から続いた米ドル売りは、チャート的にも反転の兆しを見せています。
米ドル/円も中期的にボトムアウトではと見ています。
(出所:TradingView)
米ドル/円は、ボラティリティの高い展開が数カ月続くなら、140円台回復も
米ドル/円の戻りメドはどのくらいでしょうか。
昨年10月からの下落に対する38.2%戻しが136円台半ば。
ここには、200日移動平均線も重なっていますから、目安となりそうですね。
(出所:TradingView)
まずは1月高値の134.77円でしょうか。
ボラティリティの高い展開が数カ月続くなら、61.8%戻しとなる142円台もありそうです。
(出所:TradingView)
ただ、「雇用統計ショック」と言われるほどの強い数字にもかかわらず、米国株はそこまで落ちていないですし、VIX指数も上がっていません。
意外と株がするする上がっていく可能性もありますし、米ドル高が進まないリスクはあるかもしれませんね。
ここからは再び、米金利にも注目です。
米ドル/円と米金利の相関は、半年ほど前から切れているのですが、その理由のひとつが日銀のピボット(政策転換)。
日銀ピボットに期待したショートが踏まれる展開となり、FRBの動向次第となるのであれば、米2年債利回りにも再注目でしょうか。
(出所:TradingView)
対ニュージーランドドルで米ドル買い。米ドル/円はボラティリティが非常に高く、資金管理に注意が必要
明日、2月7日(火)には豪州の政策金利が発表されますね。
0.5%利上げが織り込まれており、サプライズは特にないでしょう。
米ドル買いがトレンドになるとしても、豪ドルに対しては中長期で強気のため、豪ドル/米ドルは売りたくはない。
豪ドル/ニュージーランドドルが上がっていることもあり、ニュージーランドドル/米ドルを売っています。
(出所:TradingView)
原油市場では、ゴールドマン・サックスが「WTI原油は年内100ドルへ」との予想を発表したことが話題となりました。
IEA(国際エネルギー機関)も、石油需要が過去最高になるとの見通しを発表していますし、原油が買われる年になるかどうかが見どころですね。
今週の戦略としては、先週からメルマガでお伝えしているとおり、対ニュージーランドドルなどでの米ドル買いでいいでしょう。
ただ、米ドル/円はボラティリティが非常に高く、今朝のように窓をあけられてしまうと、ストップの置き場が難しい。少額ずつ買っていくなど、資金管理に注意が必要です。
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⇒西原宏一「トレード戦略指令!」
(出所:TradingView)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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