驚くほどハト派だったRBAロウ総裁の声明
みなさん、こんにちは。
今週の注目イベントのひとつであったRBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])の金融政策決定会合では、政策金利のオフィシャル・キャッシュレート(OCR)の誘導目標を3.35%から3.6%に引き上げることが決定されました。
これは2022年5月以降、10会合連続の利上げとなります。
利上げ幅に関してはブルームバーグが調査したエコノミスト全員が0.25%の利上げを予想していたこともあり、コンセンサスどおり。
しかしロウ総裁の声明が驚くほどハト派だったため、会合後、豪ドルは急落しています。
ロウ総裁は声明で、「いつ、どの程度の追加利上げが必要かの判断で、労働市場とインフレの見通し、家計支出のトレンド、グローバル経済の動向を注視していく」とした上で、「月間の消費者物価指数(CPI)はインフレがすでにピークに達したことを示唆する。物価と賃金が互いに追いかけ合うサイクルのリスク低下が最近のデータからうかがえる」と指摘した。
出所:Bloomberg
まず、月間の消費者物価指数はインフレがすでにピークに達したことを示唆したことで、今後の引き締めサイクルの停止を連想させています。
講演後の質疑応答で、ロウ総裁自身が今後の月次経済指標次第で4月にも利上げ停止を選択する可能性があるともコメントしています。
RBAの発表後、豪ドルは急落した
市場では今回のRBAの利上げをDovish Hike(=ハト派的利上げ)と称しています。
AMPキャピタル・マーケッツのシニアエコノミスト、ダイアナ・マウジナ氏は「ハト派的利上げと呼びたいと思う。引き締めバイアスは残るが、4月に停止するというのが私の見方だ。5月に入るまでには追加利上げの理由がないほど景気減速を示す十分なデータが得られるだろう」との見方を示した。
出所:Bloomberg
友人の豪州のトレーダーは「RBAが世界的なインフレ圧力の高まりを認識できなかった。そして、豪州は特別なケースであり、同じようなインフレが豪州でも起こる可能性は低いと示唆した」ことなどを痛烈に批判しています。
驚くほどハト派だったRBAの発表後、マーケットは即座に反応。
豪ドル/米ドルはサポートであった0.66ドル台後半をブレイクし急落。
豪ドル/円も90円台前半まで反落しました。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
では、次に今週最大のイベントといえるFRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長の講演をチェックしてみましょう。
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パウエル議長はさらにタカ派の発言で2年債利回りは5%超え
3月8日日本時間未明のパウエル議長のコメントを確認すると、「金融当局として政策金利を従来の想定より高い水準に引き上げる公算が大きいとしたほか、必要であれば利上げペースを加速させる用意がある」としています。
加えてインフレについては、「ここ数カ月で減速してきたものの、2%に戻すための道のりは長く、起伏の激しいものになる公算が大きい」と指摘。労働市場に関しては「成長減速にもかかわらず、労働市場は依然として極めてタイトだ」としています。
このFRB議長のタカ派なコメントに呼応して米2年債利回りは2007年7月以来の5%超えとなり、相関性の高い米ドル/円は137円台を回復。
(出所:TradingView)
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ハト派対タカ派で豪ドル/米ドルの下値余地が急拡大
ただこの米2年債のレベルから考えれば米ドル/円は140円台どころか150円台でもおかしくないのですが、マーケットが懸念しているのが今週(3月9日~10日)開催予定の日銀金融政策決定会合です。
この日銀金融政策決定会合で金融政策に関してサプライズが出ると、米ドル/円があっさり反落してしまう可能性もあるため米ドル/円はあくまでも押し目買い。
(出所:TradingView)
米2年債利回りの反発により米ドル/円は上昇トレンドに回帰したといえますが、懸念は日銀。
7日のRBA理事会が驚くほどハト派で、FRBがさらにタカ派ですので、豪ドル/米ドルの下値余地が拡大しています。
豪ドル/米ドルの戻り売りとします。
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