はっきりとした上昇トレンドが出来ているメキシコペソ/円。米国のインフレが収まらず、メキシコもさらなる利上げ期待が高まっている
今週もまず、メキシコペソ/円から始めます。
今の為替市場で唯一と言っていいぐらい、はっきりとしたトレンドが出来ているのがメキシコペソ/円です。
(出所:TradingView)
上昇の背景は、このコラムで何度も説明してきました。
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⇒米ドル/円は近いうちに137円台へ上昇か。米国とユーロ圏の長期金利が上昇して、ユーロ/米ドルはもみ合いとなり、合成したユーロ/円の買いが有効。メキシコペソ買いも維持(3月2日、今井雅人)
⇒メキシコペソ/円のロングを継続! 米国が急激な利上げでも、比較的堅調な景気を保っていることで買い安心感。米ドルは押し目買いで回転を効かせ、次のトレンドを待つ(2月24日、今井雅人)
⇒米ドル/円は133~135円、ユーロ/米ドルは1.0550~1.0750ドル程度を予想。米ドルの押し目買いを当面の基本に。順調に上がるメキシコペソ/円の買いはキープ!(2月17日、今井雅人)
一方的に上がってきているので、当然警戒感も出てくると思いますが、今の時点では、ポジション調整が起きるような要因が見当たらないので、もう少し引っ張ってもいいかと思います。
これから詳しく説明しますが、米国の景気状況が堅調で、予想以上の利上げが行われる可能性が高くなってきたことも、メキシコペソの買いを誘っています。
メキシコの経済は大きく米国に依存しているため、米国のインフレが収まらなければ、メキシコのインフレも収まらないということで、メキシコもさらなる利上げ期待が高まっているということです。
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パウエルFRB議長が、これまでの想定以上に利上げをしていく可能性を示唆
次に各国の金融政策に変化が見られますので、見ていきます。まず米国です。
パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長が非常に重要な発言をしました。
「利上げのペースについてはまだ決定していない」としながらも、「FRBは求人件数とCPI(消費者物価指数)、PPI(卸売物価指数)、雇用統計に注目している」とこれらの経済指標の結果を見て、利上げのペースを決めていくことを明らかにしました。
また、「コアインフレが期待ほど減速していない」として、「ターミナルレートは予想以上に高くなる可能性」に言及。これまでの想定以上に利上げをしていく可能性について示唆しました。
今月(3月)のFOMC(米連邦公開市場委員会)で、年末のFFレート(※)の予想が引き上げられることは確実になってきています。
(※編集部注:「FFレート」とは、フェデラルファンド金利のことで、FF金利とも呼ばれる。米国の政策金利)
パウエルFRB議長が、これまでの想定以上に利上げをしていく可能性について示唆。今月のFOMCで、年末のFFレートの予想が引き上げられることは確実に (C)Bloomberg/Getty Images News
ECB理事会メンバーが、利上げに対して積極的な姿勢。RBA総裁は、そろそろ利上げを停止することを示唆
次に、ECB(欧州中央銀行)です。
ECB理事会メンバーである、ホルツマン・オーストリア中銀総裁が「景気抑制的な金利は4%からと見込む」として、「3月、5月、6月、7月に50bpの利上げを行うべき」と、利上げに対して積極的な姿勢を示しました。他のメンバーもホルツマンほどではないにしても、さらなる利上げに積極的な発言をしています。
最後に、豪州です。
ロウRBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])総裁は「RBAは利上げ停止に適したポイントに近づいた。インフレ率は低下傾向にあるようだ」と発言し、そろそろ利上げを停止することを示唆しました。米国、EU(欧州連合)などとは対称的な状況となっています。
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今週末の米雇用統計で強い数字が出れば、いよいよ米ドル/円は140円が視野に
ご存じのとおり、為替市場は各国の金利の動きにかなりの影響を受けます。
そういう前提で考えると、米ドル高、ユーロ高が進むとともに、豪ドル安となると単純に想像できます。
日本は当面金融政策をいじる様子はありませんので、米ドル/円、ユーロ/円などは、さらなる上昇を期待できる環境が整ってきたということが言えるのではないでしょうか。
今後についてですが、パウエルFRB議長がここまではっきり、後の指標を注視しているのを示したのは初めてですので、米雇用統計、米CPI、米PPIへの注目度がこれまで以上に高まりました。
まずは、今週末の米雇用統計からです。ここで、強い数字が出てくると、いよいよ米ドル/円は140円が視野に入ってきます。注目をしておきたいと思います。
(出所:TradingView)
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