予想をはるかに上回る米経済指標が、2つ連続して出たことで、マーケットの雰囲気が一気に変わった
為替相場はすっかり混迷の中に入ってしまいました。
きっかけとなったのは、先週金曜日(2月3日)に発表された2つの経済指標でした。
まず、米国の1月雇用統計ですが、失業率が3.4%と予想の3.6%より良好な結果となったことに加え、非農業部門雇用者数も前月比51.7万人の増加と、こちらも予想をはるかに上回る結果となりました。
その後、発表されたISM非製造業指数ですが、これも55.2と予想の50.4からは大幅な上振れとなりました。
最近では、ここまで予想より良い結果となったのは記憶にありません。ましてや、それが2つ連続して出たということで、マーケットの雰囲気が一気に変わってしまいました。
金利市場を見てみると、例えば、米長期金利(米10年債利回り)は、先週の金曜日に急上昇して以来、高止まりしています。
(出所:TradingView)
為替相場も指標発表後、2段ロケットで米ドル高になった後は、高値圏での乱高下となっています。
(出所:TradingView)
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パウエルFRB議長の発言も、マーケットの判断を難しくしている。2月14日の米CPIが予想どおりになれば、ますます方向感がなくなりそう
また、FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長の発言も、マーケットの判断を難しくしています。
パウエル議長は、先日行われた対談の中で何度も「ディスインフレ」という言葉を使い、インフレが収まってきているとの認識を強調していました。
しかし、一方、現在市場が先に織り込んできている、「年内の利下げ」を完全否定しました。
前者は米ドル安要因、後者は米ドル高要因ですので、これまたマーケットは混乱してしまいました。
こうした状況になっていますので、方向感がまったくなくなってしまいました。
パウエルFRB議長は、先日行われた対談の中で、何度も「ディスインフレ」という言葉を使った一方、「年内の利下げ」を完全否定した。前者は米ドル安要因、後者は米ドル高要因で、これまたマーケットは混乱してしまった (C)Bloomberg/Getty Images News
ここからどちらかに抜け出すには、何か材料が必要です。
可能性としては、来週、2月14日(火)の米CPI(消費者物価指数)ということになると思いますが、そこで予想どおりの結果となってしまうと、ますます方向感がなくなってしまうと思います。
米ドル/円は130円台から132円台での上下動が続く可能性がもっとも高い
米ドル/円のチャートを見ると、中期的な下方向のトレンドを上に抜けてきています。
しかし、上の方は一目均衡表の雲が控えていて、頭を抑える形になっています。それもあり、133円直前で失速したのだと思います。
今後ですが、130円台から132円台での上下動が続く可能性がもっとも高いと考えています。
(出所:TradingView)
ユーロ/米ドルも中期的な上昇トレンドを下に抜けていますが、一目均衡表の雲が1.05ドル台後半にありますので、下の目処はそのあたりではないかと思います。
(出所:TradingView)
難しい相場が続きますが、自分でレンジを決めて、逆張りトレードを継続するしかないのかなと考えています。
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スワップを稼ぐ戦略も有効に。メキシコの政策金利は10.75%へ
なお、こういう相場になってくると、スワップを稼ぐという戦略も有効になってきます。
本日(2月9日)、メキシコ中銀の政策会合がありますが、0.25%の利上げが予想されています。そうなると、政策金利は10.75%となります。
最近、メキシコペソ/円は6.7~7.0円程度のレンジに入り込んでいますので、それを想定してスワップを稼ぐのも面白いと思います。
(出所:TradingView)
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