パウエルFRB議長の想定以上のタカ派ぶりに市場もビックリ!
3月7日(火)、8日(水)に行われたパウエルFRB議長の議会証言。米国の経済指標は強い内容が続いていたので、現状追認的にタカ派にシフトするのだろうとは見られていましたが、想定以上のタカ派ぶりに市場も「ビックリ」しました。
注目されたパウエルFRB議長の議会証言は想定以上のタカ派ぶりで、市場も驚いた (C)Bloomberg/Getty Images News
先日のFOMC(米連邦公開市場委員会)後の会見では「ディスインフレーション」という言葉を使い、経済をオーバーキルしない配慮に満ちあふれていたパウエル議長でしたが、実体経済の強さに方針転換を迫られたのでしょう。
昨年(2022年)8月のジャクソンホールにおいて「俺はポール・ボルカーになる」と宣言したばかりでしたが、最近、実際に行ったのは、利上げペースを0.75%→0.5%→0.25%と段階的縮小させたことだけです。
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米ドル/円は再び140円を試すコースに入るか。警戒すべき水準に戻ってきた
その結果、このところの米経済指標は、NFP(非農業部門雇用者数)が51.7万人の雇用者増となった米雇用統計をはじめ、好調な数字ばかり並びます。1月CPI(消費者物価指数)は+6.2%予想のところ+6.4%、コアの数字も+5.5%の予想を上回る+5.6%でした。FRB(米連邦準備制度理事会)が特に重視しているPCEコア・デフレーターは予想の+4.3%を上回る+4.7%となりました。
3月7日(火)の議会証言では、ディスインフレという言葉は封印し、“We will stay the course until the job is done”「(インフレ退治という)仕事が終わるまで(引き締めの)コースから外れない」と、ジャクソンホールで使った言葉で、覚悟を表現し、タカに戻りました。
3月22日(水)のFOMCでは、再度0.50%利上げのコースに戻ると市場は予想しています。最終的な利上げの到達点は6月FOMCで5.50%に上昇しました。
これは今年(2023年)の始めに、最終的なターミナルレート(最終的な政策金利水準)が4.75%と予想されていたことと比べると、0.75%も上昇しています。5.50%になるのであれば、米ドル/円もそれに合わせて上昇し、再度140円を試すコースに入るのではないでしょうか。
米ドル/円は137円から138円にかけては、多くのレジスタンスラインがあります。黒田日銀総裁がYCC(イールドカーブ・コントロール)のバンド幅を拡大した時、米ドル/円は137.10円でした。200日移動平均線は137.45円。昨年(2022年)12月15日の高値は138.17円です。警戒すべき水準に戻ってきたとも言えます。
(出所:TradingView)
しかし、米国の政策金利が5.50%となるなら、ちょっと米ドル/円は下がりようがないのではないでしょうか。円安水準にあっても、貿易赤字が続くことが見込まれ、輸出ドライブがかかりません。
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日米金利差拡大で、キャリートレードによる米ドル/円上昇の展開を予想
また、ここまで日米金利差が開き、その金利差が年内は縮まりそうもないのであれば、キャリートレード的な投機も復活するのではないでしょうか。5.50%の金利は大きいです。
一部には、5.50%という高い政策金利となれば、米国のリセッション(景気後退)入りは避けられないと考える人も増えてきました。リセッションとなれば、インフレは鎮静化するでしょうが、それはまだ先のこと。金利差を享受するキャリートレードが米ドル/円相場を持ち上げる展開を予想したいと思います。
(出所:TradingView)
米ドル/円は138.17円を超えた時、昨年(2022年)10月22日高値151.95円と1月16日安値127.22円の半値戻しが139.585円、心理的なレジスタンスラインが140円、61.8%戻しが142.50円となります。その辺りまで上昇する可能性が少なくともあるのではないかと思います。
(出所:TradingView)
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