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今井雅人の「どうする? どうなる? 日本経済、世界経済」

米ドル/円は上昇しても137円あたりまでか。その後は
133~136円程度のレンジを想定。負のスパイラルに
入る可能性は低いが、米ドル高には限界がありそう!

2023年03月17日(金)12:05公開 (2023年03月17日(金)12:05更新)
今井雅人

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 先週(3月6日~)から、世界中の金融システムに激震が走っています。

 発端は、米国のシリコンバレー銀行(SVB)が経営破綻に陥ったことでした。もちろん、この銀行が破綻したこと自体が問題でしたが、さらに金融市場を不安にさせたのは、その破綻の原因でした。

シリコンバレー銀行(SVB)が経営破綻した真の理由は?

 新型コロナの感染拡大を受けて、世界中の中央銀行は異次元の金融緩和を行い、資金を市中にばらまきました。米国でも、FRB(米連邦準備制度理事会)が政策金利をゼロにするだけでなく、大量の量的緩和を実施しました。

【※関連記事はこちら!】
米国や、主要各国の政策金利の推移をグラフでチェック!

 ばらまかれた資金は銀行にも流れ込み、シリコンバレー銀行でも、この期間に預金が積みあがっていきました。銀行は、その資金を融資などで運用しなければいけないのですが、景気が大きく落ち込んで、銀行の貸出基準に適した融資案件が不足し、運用先に困った銀行は、余った資金で米国の国債を購入しました。

 そうした状況の中、今度は金融緩和の副作用でインフレが加速したために、FRBは金融の引き締めを加速し、その結果、長期金利は上昇していき、米国の国債の価格は急速に下落していきました。

米長期金利(10年物国債利回り) 週足
米長期金利(10年物国債利回り) 週足チャート

(出所:TradingView

 シリコンバレー銀行は、こうした市場環境の劇的な変化に対応できず、3月9日(木)までに保有している債券の売却を完了させて、巨額の損失を出しました。つまり、売却して損失を確定させる、ロスカットをしたということです。

 シリコンバレー銀行はその損失をカバーするため、アクションプラン(行動計画)を作成して資金を調達しようとしましたが、これが上手くいきませんでした。ここから信用不安が起きて預金の引き出しが殺到し、その資金が手当てできず、とうとう経営破綻という結果になったのが経緯です。

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シグネチャー・バンクの経営破綻、クレディ・スイスの危機で
金融システム不安の第2弾が発生。市場の不安心理がシンクロ

 以上のことからわかるように、今回のシリコンバレー銀行の経営破綻は、FRBのマクロ金融政策がもたらしたものである、ということもできる事案であるため、他の銀行でも同じようなことが起きるのではないか、という懸念が広がることは、容易に想像できると思います。

 事実、米国の地方銀行の株価は軒並み急落し、さらには資産規模で全米29位のシグネチャー・バンクが経営破綻(閉鎖)するということも起きました。

 悪いことは連鎖するもので、今度はスイスの金融大手クレディ・スイスの筆頭株主であるサウジナショナルバンクの会長が、同行に「追加出資するつもりはない」と発言。株価が急落し、金融システム不安の第2弾が起きました。

 この、米国での金融不安とクレディ・スイスの経営悪化に、直接の関係ありません。クレディ・スイスはこれまで、何度も破綻するのではないかという噂が流れてきており、その流れの中での今回の騒動です。

クレディ・スイスグループの株価 月足
クレディ・スイスグループの株価 月足チャート

(出所:TradingView

 しかし、タイミングがあまりにも同じだったため、市場の不安心理がシンクロしてしまいました。

市場は不安定な状態へ。ただし、負のスパイラルに入る
可能性は 低く、それほど時間はかからず落ち着きそう

 リーマンショックのときからもわかるように、金融システムが不安定になると、この問題に金融市場は全集中となり、ほかのことは横に置かれてしまいます。

 ですから、この問題がある程度落ち着くまでは、市場はかなり不安定な状態が続きます

 一般的に言って、こういうときのパターンは、危機的な話が出てリスクオフとなり、それに対する当局の救済策などが発表されると戻り、また次の悪いニュースが出てリスクオフになり、それに対する対応策の発表で戻る、ということを繰り返します。

 結果、マーケットは乱高下するということです。今回も、そうした動きになっています。

 今後についてですが、今回の金融当局の対応を見ていますと、どちらの案件に対しても、かなりのスピードで対応しています。リーマンショックのときの経験が、生きているのだと思います。

 ですから、負のスパイラルに入ってくる可能性は低いと見ています。

しばらく不安定な状況は続くかもしれませんが、それほど時間がかからず、マーケットは落ち着いてくると思います。

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米ドル高に限界あり。米ドル/円は137円ぐらいまで上昇する
可能性はあるものの、その後は133~136円程度のレンジか

 その後はどうなるかという問題ですが、パウエルFRB議長が注目していると表明した、雇用統計やCPI(消費者物価指数)、PPI(生産者物価指数)を見てみます。

 米国の2月分の雇用統計は、失業率と平均時給は市場予想よりも悪かった一方、非農業部門就業者数は予想以上というまちまちの結果でしたが、全体的にはそれほど強いものではありませんでした。

 また、2月分のCPIは前年比で+6.0%と予想どおりでしたが、確実に低下傾向にあることは確認できました。そして、PPIは予想を下回っています。

 ですから、金融システム不安が去ったあとも、米国の金利はそれほど上がっていかないと思います。

 ということは、米ドル高にも限界があるということです。

ドルインデックス 週足
ドルインデックス 週足チャート

(出所:TradingView

米ドル/円も、137円ぐらいまで上がる可能性は、まだ多少あるとは思いますが、そのあたりが限界ではないでしょうか。

落ち着いたあとの想定レンジは、133~136円程度としておきます。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足チャート

(出所:TradingView

 当面は、やや勇気がいりますが、米ドル/円は悪いニュースが出てリスクオフで下がったところを恐る恐る買って、救済策などが発表されて戻るのを待つ、といったやり方が有効だと思います。


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