OPECプラスのサプライズ減産で、原油急騰
OPECプラス(※)は4月2日(日)、減産を発表しました。
このサプライズで、今朝(4月3日朝)のWTI原油は窓を開けて急騰。先週末から8%ほど上昇して始まりました。
(※編集部注:「OPECプラス」とは、OPEC(石油輸出国機構)にOPEC非加盟の主要産油国を加えた枠組みのこと)
(出所:TradingView)
もともと、クレディ・スイスの経営危機で精算を余儀なくされたポジションがあったようで、レンジを下抜けていたのですが、今朝の上昇で下落分を取り戻しました。
ただ、本質が需要の強弱にあるとすると、これで上昇トレンドになるかどうか、まだ悩ましいところです。
米ドル/円も先週(3月27日~)、リスクオフの巻き戻しに加え、期末要因による買いも出たようで、133円台を回復しています。
(出所:TradingView)
新年度入り、植田体制の開始とYCC解除の思惑
今日から新年度に入りました。本邦勢からのフローも出ますか?
新年度入りですぐに買う人もいますが、米雇用統計を見てから方針を決めたり、あるいは最近は減ったようですが、第1週に方針を決めて第2週から動き始めたりと、パターンはさまざま。まだなんとも言えないですね。
いずれにせよ、本邦勢の外債投資は年々パワーが弱まっている感があります。
米ドル/円は、一時は130円を割っていた先週と比べて高いレベルにありますし、普通に考えれば、期末にあれだけ買われると、期初には出にくいのでは。
黒田日銀総裁は今週末、4月8日(土)で退任。来週(4月10日~)からは植田体制が始まります。
YCC(イールドカーブコントロール)解除を見込んで、日本国債のショートを仕込んでいるヘッジファンドもあるようですね。
早期のYCC解除を見込む、海外勢は多いようですね。
豪州、ニュージーランドの政策金利発表。利上げ打ち止めへ
先週の金利を見ても、日本は上がっています。
クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)を中心に、円が買われる材料となるかもしれませんね。
今週は4月4日(火)に豪州、4月5日(水)にニュージーランドの政策金利が発表されます。
ニュージーランドは0.25%の利上げ予想ですが、豪州の見方は割れています。
金利先物市場では据え置き予想ですが、モルガン・スタンレーなどは、今回0.25%利上げして打ち止めとの予想。
いずれにせよ、利上げ局面の終了は近いですし、現地の友人に言わせると、今回の利上げはやり過ぎで、景気を後退させる懸念が高い、とのこと。
豪ドルが利上げで買われたところは、売り場となるかもしれません。
(出所:TradingView)
意外な底堅さを見せた欧州通貨
欧州通貨はいかがですか?
意外と底堅いという印象。
ユーロ、英ポンドとも、悪材料が多かった割には下がっていません。
まだレンジ内にあり、すぐに買おうとは思いませんが、これから1、2週間の動向を注視したい、というところ。
4月7日(金)には米雇用統計が発表されます。
先週発表された米PCEは、インフレの鈍化を示していました。
米雇用統計でも低い数字が出てくるようだと、米ドル売り材料にされそうですね。
大きな流れとしては米ドル売りなのでしょうが、問題はスピードですね。
ここから一気に1米ドル=125円といった水準へ向かうには、リーマンショック的なサプライズが必要。
そうしたイベントがなく、インフレがじわじわ鈍化してピボット(政策転換)へ向かう、ということだと、急落はないのではないでしょうか。
去年(2022年)の円安のような、わかりやすい相場ではなさそうです。
4月7日は米雇用統計発表も、主要市場が休場
米雇用統計が発表される4月7日(金)はイースター(復活祭)のため、主要市場は休場でもあります。
市場の流動性が薄いところでサプライズな数字が出ると、乱高下する可能性があります。気をつけたいですね。
今週の戦略はどう考えますか?
後ほど公開される動画で詳しく話していますが、SVB(シリコンバレー銀行)やクレディ・スイス、ドイツ銀行など、金融不安のニュースはノイズだったと考えています。
米ドル/円の行方を決めているのは、米2年債利回り。
足もとでは、3月に下げすぎた反発で上がっており、つられて米ドル/円も上がっていますが、長期的には下げていくのでしょう。
今週はまだ反発局面が続く可能性がありますが、丁寧に戻りを売っていきたいと思います。
【※関連記事はこちら!】
⇒米ドル/円の戻り売り継続! 金融不安で欧米は利上げを停止し、消去法で買われるのは円。米2年債利回りが5%へ戻ることはなく、米ドル/円の一時的な戻りは売り場に(3月27日、西原宏一&大橋ひろこ)
⇒米ドル/円を戻り売り! 米ドルを売るなら、クレディ・スイスの問題がある対スイスフランではなく、米2年債利回りとの相関が高い対円。リスクオフの円買いも復活気味(3月20日、西原宏一&大橋ひろこ)
⇒米ドル/円は、米2年債利回りが4%に再び接近すれば、130円を割ってもおかしくない! 「次に潰れる銀行は」の不安でリスクオフなら、米ドル/スイスフランの売りもいい(3月13日、西原宏一&大橋ひろこ)
(出所:TradingView)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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