「年内米利下げ」の織り込みが低下
先週(2月20日~)は、RBNZ(ニュージーランド準備銀行[ニュージーランドの中央銀行])会合もあったのですが、「マーケットは米金利の動向しか見ていない」という印象ですね。
気になるのは、米国のインフレ率ですね。
先週発表された1月分の米PCEデフレータは、前年比5.4%の上昇と予想を上ブレ。12月分では、鈍化していた伸びが再加速しています。
経済指標にはブレがありますから、なんとも言えないですが、事実としてあるのは米金利の上昇です。
米2年債利回りは昨年高値を抜いてきました。
FEDウォッチだと、3月、5月、6月と、あと3回の利上げを織り込んでいますね。
金利先物市場を見ると、7月の5.4%前後がピークです。
ずっと気にしていた「年内利下げ」の織り込みもやっと低下してきました。
「ディスインフレ」発言はなんだったのか?
年内利下げの織り込みが低下したということは、長期的に高金利が続きそうということですよね。
先週は、JPモルガンのジェイミー・ダイモン氏が「米金利は6%に達する可能性がある」と指摘し、学会やエコノミストは最高6.5%までの利上げが必要との提言を行ったそうです。
6%はともかく、「FRB(米連邦準備制度理事会)ピボット(政策転換)」はまだ先、という流れになってきたのはたしか。
パウエルFRB議長が「ディスインフレ」と連呼した、FOMC(米連邦公開市場委員会)が2月1日(水)。
米2年債利回りはその直後に底を打ちして、米ドル/円やユーロ/米ドルも同時に米ドル高方向へ動いています。
「ディスインフレとはなんだったのか」という感じですね。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
直後の米雇用統計を筆頭に、ディスインフレ発言後の経済指標は強い数字が続いています。ミスリード的な発言でしたね。
FEDピボットも日銀ピボットも遠のく
「日銀ピボット」への懸念が上値を抑えていた、米ドル/円も上がってきました。
日銀次期総裁候補の植田和男さんの所信聴取は、海外勢も注視していましたが、無難に通過したことが要因のひとつでしょう。
金融緩和の副作用を強調した見出しも一部では出ていましたが、全体としては黒田路線に寄り添った印象でした。
政府・日銀の共同声明についても、ただちに見直す必要はない、と話していましたね。
急激な円高へ持っていかれないようにと、マーケットへの配慮もあったのでしょう。
これが終わるのを待ちかまえていた海外勢が、米ドル/円を買っていったようです。
米ドル円、136.67円をクリアに抜ければ139.59円が見えてくる。米2年債利回りの水準からしても、上値余地がある
この先の値動きはどう見ますか?
昨年(2022年)10月からの下落に対する38.2%戻しが136.67円。先週の高値とほぼ同水準です。
このあたりでは、輸出企業の売りや利益確定売りも出やすいでしょうから、ここをクリアに抜けるかどうか。
抜ければ、半値戻しの139.59円が見えてきます。米金利の水準から考えれば、そのあたりまで上がってもおかしくありません。
(出所:TradingView)
今週(2月27日~)はイベントが少ないですが、来週、3月10日(金)は黒田体制での最後の日銀会合(日銀金融政策決定会合)、そして米雇用統計です。
1月分の数字はブレが大きくなる傾向があるとして、2月分の数字へ注目する向きもあります。
いずれにせよFEDピボット、日銀ピボットともに可能性が遠のいたことで、米ドル/円の上値は軽くなった印象。
米2年債利回りの水準からしても、米ドル/円は上値余地がある。
月末の米ドル売りに気をつけながら、米ドル/円の押し目買い方針でいいのではないでしょうか。
(構成/ミドルマン・高城泰)
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