利上げ見送りは「ポーズ」か「スキップ」か
先週(5月15日~)注目されたのは、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長のコメントですね。
「データや変わりつつある見通しを注視して、慎重に分析する余裕がわれわれにはある」とのコメントですね。
ブルームバーグは「6月利上げ休止の明確なシグナル」との見出しで配信しました。
利上げ継続を主張するFRB関係者もいますが、6月FOMC(米連邦公開市場委員会)での利上げは見送りとなりそうですね。
先週注目されたのは、パウエルFRB議長のコメント。「データや変わりつつある見通しを注視して、慎重に分析する余裕がわれわれにはある」とのコメントを受けて、6月FOMCでの利上げ見送りの可能性が高まった (C)Bloomberg/Getty Images News
6月の見送りは「ポーズ(pause、休止)」ではなく、「スキップ」だとの意見が多数。
6月の利上げは見送るが、7月以降にまた利上げする可能性がある、ということです。
経済指標を見なければ判断できないでしょうし、債務上限問題もあります。利上げ停止とは断言しづらいのでしょう。
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1970年代には中途半端な金融政策で、インフレを再燃させた苦い経験があります。
よほど株価が下がって、景気が後退していれば、断言できるかもしれませんが、そうでもないと言いにくいでしょうね。
G7アウトリーチ会合と海外半導体大手の日本投資
バブル後最高値を更新し、盛り上がっているのは日本株です。
(出所:TradingView)
G7(先進7カ国)にあわせて、世界の半導体メーカーから日本への投資提案が相次いでいます。インテル、マイクロン、アプライド・マテリアルズ、TSMC、サムスン――。
また、G7ではアウトリーチ会合(※)にブラジルやインドを招待した一方、中国やロシアは不在でした。
日本が西側に立って、東側と対峙していく姿勢を鮮明にしたように見えます。
半導体は安全保障上も重要ですから、日本が西側の生産拠点として今後、存在感を高めていくのかもしれません。
(※アウトリーチ会合とは、G7以外の国家首脳や国際機関を招いて行う討議のこと)
脅威の勝率100%! 解散前から選挙前までの日経平均
今回のG7では、岸田首相への評価が高まっていますね。支持率も上昇しています。
岸田さんへの追い風が吹いている今、解散総選挙に打って出るのかどうか、ですね。
1969年以降に行われた17回の総選挙で、解散前から選挙前までの日経平均は勝率100%、平均リターンは3.9%と圧倒的です。
早期の解散を見越して、先回り買いしている海外勢もいるのかもしれませんね。
海外勢の日本株買いにあわせた、ヘッジの米ドル/円買いは以前にもお伝えしましたが、まだ続いています。
先週は138円台後半まで上昇しましたが、パウエル発言などで米ドルがフラフラしているため、米ドル/円も一本調子に上がるわけではなさそう。
今月(5月)頭にも、ヘッジの買いで137円台に乗せてから、FOMCで落とされました。
それを思うと、今回の日本株上昇を為替で表現するなら、米ドル/円よりもクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)のロングがいいのでしょう。
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クロス円の押し目買い方針
植田日銀総裁も「拙速な政策転換を行うことで、ようやく見えてきた2%達成の芽をつんでしまうことになった場合のコストは極めて大きい」と発言しており、日銀の政策転換は当面なさそうな印象です。
クロス円を買うとしたら、ユーロ/円などの欧州通貨と、豪ドル/円やニュージーランドドル/円のオセアニア通貨、どちらがいいですか?
1月はオセアニア通貨が強く、2月以降は欧州通貨が強い展開が続いていました。
ずっと弱かったオセアニア通貨ですが、ここにきて切り返す気配が出てきています。
ただ、リスクオフで落とされる通貨でもあり、足もとでは債務上限問題がくすぶっています。
どちらかに決め打ちせず、ユーロ/豪ドルの方向なども見ながら決めていきたいと思います。
いずれにせよ、上値は買わず、丁寧に押し目を買っていきたいですね。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
(構成/ミドルマン・高城泰)
※来週(5月29日(月))と、再来週(6月5日(月))は休載させていただき、次回は6月12日(月)の配信となります。
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