外国人の日本株買い・為替ヘッジの米ドル/円買い
日米ともに株価が強く、米ドル/円やクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)が上昇しています。リスクオンですね。
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先々週(4月17日~)あたりから、リアルマネーの外国人投資家が日本株を買っていて、為替ヘッジの米ドル/円買いも出ているとの話が出ていました。
この買いが、米ドル/円を底堅くさせていたところへ、日銀会合(金融政策決定会合)では「日銀ピボット(政策転換)」が遠そうだとの感触が伝わり、短期筋の円買いポジションが切らされて急騰した、ということでしょう。
日本株は中長期的な上昇へ
米ドル/円のここまでの高値が136.95円。200日移動平均線が137円ちょうど付近にあります。
米金利の動向次第かもしれませんが、いったん止まってもいいポイントまできていますね。
ここを抜けると、3月8日(水)高値の137.91円が視野に入ってきます。
それにしても、為替ヘッジの円売りは大きなインパクがあるものですか?
(出所:TradingView)
アベノミクスでは、ヘッジの円売りが株買いの2倍、3倍といった金額で入り、「ダブルデッカー(2階建てバス)」と言われたりしました。
今回はダブルデッカーとまではいかないようですが、日本株が強いうちは少なくとも、円買いは控えたいと思います。
日本の3月コアCPI(消費者物価指数)は、前月比3.1%の上昇。
日本はデフレから転換し、インフレですから、海外勢が日本株を買いたくなるのはわかります。
株式だってモノですから、インフレで上がりますし、ましてや日本は金融緩和を続けています。
インフレ軌道を維持できるかどうか、日銀の腕の見せどころですし、日銀が保有するETF(上場投資信託)を売却するようなことがない限り、中長期的な上昇が期待できるかもしれません。
週半ばにFOMC、ECBが政策金利を発表
イベントでは今週(5月1日~)、5月3日(水)深夜がFOMC(米連邦公開市場委員会)、5月4日(水)にECB(欧州中央銀行)が政策金利を発表します。
コンセンサスは、ともに0.25%利上げです。
0.25%利上げの織り込みは80~90%ですから、もし利上げがなかったらサプライズとなり、米ドルは急落するかもしれませんが、その可能性は低いでしょう。
あとは、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長が、どのようなメッセージをマーケットに送るのかが注目ですね。
ECBはもしかすると、0.5%利上げの可能性もあり、その場合はサプライズですね。
欧州のインフレがひどいのは確かですし、ユーロ/円は2014年高値の150円を抜けてきました。
(出所:TradingView)
ユーロで気になるのは、ウクライナ情勢の行方。
先週(4月24日~)は、ウクライナ軍がドニエプル川を渡ったとの情報が注目されたようです。
このところの欧州通貨の強さが、戦争の終結に向けた先行買いである可能性もありませんか?
あると思いますね。
そうだとすると、戦争の終結が見えたとき、セル・ザ・ファクト(事実で売り)でユーロが売られるかもしれません。注意が必要ですね。
スイスフランは「ゲームチェンジ」か
欧州通貨では、スイスフランの上昇も目立ちます。
スイスフラン/円は、1980年の高値以来の高値水準です。
1980年というと、プラザ合意以前の水準ですね。
スイスフラン/円は、100円前後の時期が長かったのですが、昨年(2022年)から崩れてきました。
1980年以来という超長期の節目を抜けて、ちょっとしたゲームチェンジが起きつつあります。
コラム『西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」』で書いたように、ターゲットは1979年高値の159円。この水準が視野に入っています。
【※関連記事はこちら!】
⇒スイスフラン/円を押し目買い! ゴールドの続伸に追随するのはスイスフラン、ゴールドが2075ドルを上抜けるようなら、スイスフラン/円は159円へ向けて上昇か(4月20日、西原宏一)
(出所:TradingView)
今週の戦略はどう考えますか?
スイスフランに対しては、以前から強気でしたが、クレディ・スイスの経営危機があってもなお強い。
高値圏にあるだけに警戒は必要ですが、スイスフラン/円は押し目買いの継続でいいと思います。
(出所:TradingView)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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