「あと1回の利上げ」の可能性を残す
先週(5月8日~)から、米ドル高ですね。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 4時間足)
テクニカルにはそう思います。
5月3日(水)のFOMC(米連邦公開市場委員会)が最終利上げとなることを確認して米ドル安へ、との見方が多く、実際に直後のアクションは米ドル安でしたが、続いていません。
理由はどう考えますか?
バイデン米大統領の支持率が、37%と低迷しています。
いちばんの理由はインフレ。米CPI(消費者物価指数)は5%前後とまだ高水準にある中で、利上げ停止を正当化できるか、議論が起きています。
5月が最後の利上げとはならず、あと1回利上げする可能性もあります。
金利先物市場だと、米金利はトップアウトする見通しのままですが、これが正しいのかどうか。
ユーロ/米ドルはラウンドトップで下落か
1カ月近く、1.10ドル前後でもんでいたユーロ/米ドルは、下抜けてきました。
チャート形状はラウンドトップのように見えます。
(出所:TradingView)
米金利が下がりきらないですし、いったんは米ドル高になりそうですね。
長期的には、ドルベア(米ドル安)目線のままですが、しばらくは調整が入るのかもしれません。
ボーイングの航空機が売れているようです。
先日も、アイルランドの航空会社から約400億ドル(約5兆4000億円)の受注があった、との報道が出ていました。こうした実需が米ドルを底堅くしているのかもしれません。
ドルインデックスのチャートもボトムアウトしたような感じがあります。米ドル/円はいかがですか?
(出所:TradingView)
米ドル/円は、長く連動していた米2年債利回りとも連動しなくなってきて、乱高下しているだけに見えます。
テクニカル分析での短期トレードに徹したほうがよさそうな相場ですね。
(出所:TradingView)
米石油戦略備蓄の売却が進む
気をつけたいのが原油です。WTI原油は70ドルを割ってきました。
米エネルギー省は、70ドル前後まで下がれば、SPR(戦略石油備蓄)を補充するとしていました。
ただ、現在は議会の決定に従って、2600万バレル分の売却を進めています。6月までに売却を完了し、その後は備蓄を積み増すために買い戻す方針です。
「SPRが70ドルで買ってくる」と思い込まないほうがいいですね。
(出所:TradingView)
米債務上限問題も要注意ですね。
恒例行事のようになっており、「今年(2023年)も大丈夫だろう」というのがコンセンサス。
あまりに楽観され過ぎていると、足をすくわれるかもしれません。
【※関連記事はこちら!】
⇒米債務上限問題とは? 債務が上限に到達したらどうなるのか、注目されるようになった理由、トレーダーが気をつけるべき点などを、わかりやすく解説!
今週はユーロ/米ドルの戻り売り。ベストなマクロトレードは、マクロでトレードしないこと!?
今週の戦略はどう考えますか?
バンク・オブ・アメリカのマイケル・ハートネットは「ベストなマクロトレードは、マクロでトレードしないことだ」と書いています。
それだけ今年は、ファンダメンタルズに従ってトレードするのが難しくなっています。
株式市場であれば、米株は「GAFA(※)買い・ラッセル(小型株)売り」、日本株では外国人が好みそうな銘柄、たとえば「大型株・低PBR銘柄・わかりやすいビジネスモデル」といった特徴の銘柄を買っておけば、良さそうに思えます。
(※「GAFA」とは、米国の主要IT企業であるアルファベット(旧グーグル)、アップル、フェイスブック、アマゾンの4社を指す言葉。4社の頭文字をつないだ造語)
為替市場だと、時間軸を短くしてトレードするのがよさそうですね。
今週(5月15日~)であれば、米ドル安の調整を狙って、ユーロ/米ドルの戻り売りでしょうか。
(出所:TradingView)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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