米債務上限問題は、いよいよXデーが近づいてきた。市場は楽観しているが、一応最後まで気を抜かないように注意
米国政府の債務上限引き上げ問題は、いよいよXデー(※)が近づいているにもかかわらず、依然難航しており、解決の見通しがたっていません。
(※編集部注:イエレン米財務長官は、早ければ6月1日(木)にもデフォルトに陥る可能性があるとの見通しを示している)
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本来であれば、今頃マーケットは動揺して、リスクオフの動きを見せる段階に入っていてもおかしくないのですが、実際はそういう動きにはなっていません。
市場関係者に聞いてみますと、これは「政治的パフォーマンスで、結局最後は何らかの妥協がされて合意されるであろう」と楽観しており、これがリスクオフを起こしていない原因のようです。
私もちょっと警戒しすぎたのかもしれません。
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ただ、まだ合意しているわけではありませんので、来週(5月29日~)やってくるXデーには、一応最後まで気を抜かないように注意して下さい。
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たった2週間で利下げ予想が利上げ予想にひっくりかえり、米ドル/円は約半年ぶりの140円台に
さて、その上でここ2週間に起きた大きな変化をご紹介します。
以前のコラムで「FFレート(※)の先物市場では、6月FOMC(米連邦公開市場委員会)は政策金利を据え置き、7月FOMCからの利下げを織り込んでおり、これはやりすぎなので修正されるだろう」とお伝えしました。
(※編集部注:「FFレート」とは、フェデラルファンド金利のことで、FF金利とも呼ばれる。米国の政策金利)
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その後、利下げ織り込みは修正されたのですが、それ以上に今度は、さらなる利上げを織り込み始めました。
直近の先物市場を見ると、6月FOMCでの0.25%利上げ確率が50%程度になっていますし、7月FOMCにおいては、さらに0.25%利上げするという確率が25%程度まで織り込まれています。
たった2週間で、利下げ予想が利上げ予想に180度ひっくりかえってしまったということになります。
こうした背景には、最近の米国の堅調な経済指標がありますが、それに加えて、良好な指標を受けて、FOMCメンバーが利上げ継続の可能性に相次いで言及していることも忘れてはいけません。
金利市場でのこうした動きを受けて、為替市場では米ドル全面高となり、米ドル/円はとうとう1米ドル=140円台と約半年ぶりの高値をつけています。
(出所:TradingView)
まだ米ドル高、円安が継続するとの予想を維持。理由は1つで、米国の景気が強いこと
今後の展開ですが、前述の債務上限引き上げ交渉の動向には注意が必要ですが、全体的な基調は、まだ米ドル高、そして円安が継続するとの予想を維持したいと思います。
理由は1つです。米国の景気が強いということです。
これまでの経験値を持っているエコノミストや投資家は、これだけ急速に利上げをすれば、当然景気の落ち込みも早まってくると予想していました。
しかしながら、実際はそういう兆候はほぼ見えていません。
特に雇用環境が非常にしっかりしていて、失業率は低いし、賃金も上昇し続けていることに「どうしてなのか?」と首をかしげています。
私も原因がはっきりとはわからないのですが、ひょっとすると、コロナ対策の巨額な財政出動の影響が、現在も継続しているということなのかもしれません。
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米ドル/円は140.00円を超えて、スルスルとまだまだ上がりそう。オシレーター系でも買われすぎになっていない
こうなってくると、米国の経済指標に悪化が見られるようになるまでは、米ドル強気で見ておくのが妥当だと思います。
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米ドル/円も140.00円を超えてきましたが、これで終わりということではなく、スルスルとまだまだ上がる可能性が高そうです。
週足のチャートを見ると、151円台から127円台へ急落した局面からの半値戻しになっていて、いったんいい水準まできているようにも見えますが、MACDなどのオシレーター系のチャートを見ると買われすぎの状況にはなっていません。
まだ上昇の余地があると思っています。
(出所:TradingView)
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