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6月1日までに債務上限を引き上げる法律を成立させないと、米国がデフォルトを起こすかもしれない事態に

 ここにきて、また新しい懸念材料が出てきました。米国政府の債務上限問題です。

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⇒米債務上限問題とは？ 債務が上限に到達したらどうなるのか、注目されるようになった理由、トレーダーが気をつけるべき点などを、わかりやすく解説！

 この問題は、古くて新しい問題で、過去にも何度も市場を混乱させてきました。

 米国では、国の予算を組むにあたって、借金できる上限を法律で定めています。

 現在の上限は、2021年12月に2兆5000億ドル引き上げる法案が議会で可決され、その翌日、バイデン米大統領が署名して成立したものです。

 この改正により、法定上限は現在31兆4000ドルとなっていますが、今年（2023年）1月に政府の財務残高が法定上限に達したため、米国政府は一部の公的年金への資金拠出を制限するなどの特定措置を講じて、やりくりしてきました。

 しかし、こうした措置も限界に近づき、早ければ6月1日（木）にも資金が枯渇する可能性がでてきました。

 そのため、それまでに債務上限を引き上げる法律を成立させないと、米国がデフォルトを起こすかもしれない事態になっています。

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大統領選を来年に控えて、合意への道筋はまったく見えていない。一時的に政府の行政サービスが停止したり、リスクオフとなる可能性も

 ところが、現在、米国の議会では上院は民主党が過半数を確保している一方、下院では共和党が過半数を持っていて、いわゆるねじれ状態になっています。

 共和党は、バイデン政権の気候変動対策などの目玉政策への予算を削減する法案を提出していて、そうしたものを政府が吞まなければ、政府案には賛成できないと主張しています。

 来年（2024年）、大統領選挙を控えていますので、両党とも選挙をにらんで、さや当てを続けているため、チキンレースになっています。

 先日、バイデン米大統領がみずから、調整のために交渉に乗り出しましたが、交渉は難航しています。

米国政府の債務上限問題の解決に向けて、先日、バイデン米大統領がみずから、調整のために交渉に乗り出したが、交渉は難航している。写真は2020年米大統領選時のもの (C)Scott Olson/Getty Images News

 本日（5月12日）には、2回目の交渉が行われる予定でしたが、これも週明けに延期になるのなど、合意への道筋はまったく見えていないのが実態です。選挙が絡むと、こうした交渉が非常に難しくなるのは、古今東西どこの国でも一緒です。

 この問題は、かなり深刻化する可能性があることを意識せざるを得ないと思います。

 最悪の場合、米国がデフォルトを起こすという事態になるわけですが、そこまでいかなくても、一時的に政府の行政サービスが停止したりすることもありうるので、マーケットもリスクオフの反応を見せる可能性があります。

 正直言って、この交渉がどうなっていくかを現時点で予想することは難しいですが、簡単には解決しないだろうということは想像できます。十分注意が必要です。

預金流出により、経営危機に陥る米国の地銀はまだ出てくる。そのたびに短期的にリスクオフに

 また、米国の地銀の信用不安問題も解決していません。

 大手の金融機関の経営が安定していますので、リーマンショックのときとは明らかに違います。

 しかし、まだ他にも預金流出により、経営危機に陥る地方銀行はでてくると思いますので、そのたびに短期的にリスクオフになり、株安、円高となる可能性も考えておく必要があります。

 通常の市場環境では、すんなりと円安が徐々に進むと思うのですが、こうした懸念材料があるために、マーケットは不安定になってしまっています。

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米ドル/円は、今後数週間のレンジを132～137円程度で想定。今まで以上に難しいマーケットに

 ここから3～4週間は、今まで以上に難しいマーケットになってくると思います。

 当面は米ドル/円、ユーロ/米ドルなどの米ドル相場も、クロス円（米ドル以外の通貨と円との通貨ペア）も、上下動を繰り返す展開となる可能性が高いと考えていますので、方向を決めてトレードするのではなく、１日の中で、短期的な動きについていくというやり方を繰り返していきたいと思います。

 米ドル/円は、今後数週間のレンジを132～137円程度で想定しています。

米ドル/円 日足

（出所：TradingView）

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