先週のコラムで、2つの懸念事項についてご紹介をしました。
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⇒米ドル/円は132~137円程度のレンジを、今後数週間は想定。米国政府の債務上限問題は、かなり深刻化しそう。米地銀の信用不安問題も解決せず、マーケットは不安定に(5月12日、今井雅人)
その2つについて少し動きがありましたので、まずはその話からスタートします。
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米債務上限問題は、見通しがこれまでよりかなり明るくなってきた
最初に、米国政府の債務上限の引上げ問題です。
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⇒米債務上限問題とは? 債務が上限に到達したらどうなるのか、注目されるようになった理由、トレーダーが気をつけるべき点などを、わかりやすく解説!
6月1日(木)にも、政府の資金が枯渇してしまうという状況の中で、政府の債務上限引上げ案に対して、下院で過半数を持っている共和党が反対している、という話は先週お話ししました。
非常に政治的な案件ですので、ぎりぎりまで揉めるだろうと私も予想していました。
バイデン米大統領も、この問題が解決しないために、今週行われる広島でのサミットへの参加を見送るのではないか、という観測まで出ていました。
しかし、バイデン米大統領はサミットに参加するために、来日することになりました。
この事実を見て、「事態はそれほど深刻ではないのかも」という安心感がマーケットに広がったという面があります。
バイデン米大統領はサミットに参加するために、来日することに。米債務上限問題について「事態はそれほど深刻ではないのかも」という安心感がマーケットに広がった。写真は2020年米大統領選時のもの (C)Scott Olson/Getty Images News
さらに、バイデン米大統領は昨日(5月17日)、「共和党との会談は生産的だった。合意に自信があり、米国がデフォルトに陥らないと確信している」と発言しました。
交渉相手である共和党のマッカーシー米下院議長は「合意には依然として大きな隔たりがある」としながらも、「今週末までに合意する可能性はまだある。最終的にはデフォルトにはならない」とかなり前向きな発言をしました。
デットラインまで、まだ時間のあるこの段階で、交渉相手側からこういう発言がでてきたことは少し驚きでした。
まだ合意に達したわけではありませんので、予断は許しませんが、見通しはこれまでよりはかなり明るくなってきたことは事実です。
経営不安がささやかれていたウエスタンアライアンスの預金が増加し、マーケットに安心感を与えた
2つ目は、米国の金融機関の信用不安問題です。
経営不安がささやかれていたウエスタンアライアンスは昨日、5月9日(火)時点の預金が、3月末から18億ドル増の494億ドルだったことを明らかにしました。
経営不安から預金流出が心配されていただけに、この発表はマーケットに安心感を与えたのは当然のことです。
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基本的には米ドル高、円安の流れが続きそう
こうした変化を受けて、為替市場では米ドル高と円安が同時進行しています。
(出所:TradingView)
円安については、日銀の金融政策変更なしをきっかけに、金利差に注目が集まっていることが背景にあることは、すでにご紹介したとおりです。
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⇒ユーロ/円の買いはまだ続きそう! ECBの利上げ観測や日本の機関投資家の外貨投資で、148.40円も視野に。メキシコペソ/円の買いも面白く、7.5円程度は狙える(4月14日、今井雅人)
米ドルに関しては、最近の米国の経済指標が良好であること。特に雇用関係の指標が好調である一方、インフレ関連の指標が高止まりしていることが、米ドル高の背景になっています。
FFレート(※)の先物市場が、今年(2023年)夏以降の利下げを織り込んでいましたので、それを修正する動きが起きて、米ドル高になっているということです。
(※編集部注:「FFレート」とは、フェデラルファンド金利のことで、FF金利とも呼ばれる。米国の政策金利)
今後もリスクオフの原因となるような事象がでてきたときは、反転する局面があるにしても、基本方向は米ドル高、円安の流れが続くとみています。
ユーロ/円は再び151円台、英ポンド/円は175円、豪ドル/円は93円程度まで中期的に期待できそう
クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)では、メキシコペソ/円が8円に向かって上昇していくと予想していましたが、すでにその水準に近づきつつあります。
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⇒メキシコペソのスワップポイントを徹底比較! スプレッドも一覧で比較し、おすすめのFX会社を紹介! メキシコペソ/円の今後の見通しやチャートも確認しよう
(出所:TradingView)
ユーロ/円も再び151円台に向かう局面がくると思っています。英ポンド/円は175円、豪ドル/円は93円程度までは中期的には期待できそうな状況です。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
米ドル/円は、利下げ観測の調整が終わるまで強いと思いますが、そこからはレンジに入ると思います。140円は少し遠いかもしれません。
(出所:TradingView)
米国の債務上限引上げ交渉の行方を注視ながらも、クロス円で円売りを中心にやっていきます。
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