FOMC、日銀会合の無風通過で株高・円安のトレンドが加速!
FOMC(米連邦公開市場委員会)も日銀会合も無風通過だった。FRB(米連邦準備制度理事会)の金利据え置きや日銀の政策維持は、ともにマーケットの想定どおりであり、その上、ECB(欧州中央銀行)の利上げ継続もマーケットのコンセンサスのとおりだったので、株も為替も従来のトレンドを加速させている。
従来のトレンドといえば、株高・円安のほかあるまい。日経平均の連続高値更新は、大半の市場関係者の想定を遥かに超えたスピードで達成された。
(出所:TradingView)
比較的、出遅れたと言われるS&P500は、昨年(2022年)安値から20%以上の上昇幅を記録し、「強気トレンド入り」というテクニカル上の解釈を得られた。
(出所:TradingView)
マイクロソフト、アップルおよびエヌビディアといった超大型株の上場来高値更新に象徴されるように、米株は実に強く、デフォルトやらリセッションやらと、悲観論をずっと唱えてきたウォール街のお偉いさんを狼狽させた。
(出所:TradingView)
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円安は本流だが、トレンドをフォローするのはたやすいものではない
為替市場の本流といえば円安である。徹底フォローすれば、本来、誰でも利益を計上できるが、連騰してきた日経平均のフォローと同じく、実はたやすいものではない。シンプルな相場ほど、実に厄介な問題を引き起こす。
高値更新して大きなトレンドを形成、また連続して高値を更新していくと、順張り筋さえ、これは行き過ぎなのでは? 買われ過ぎなのでは? と考え、利益確定したくなり、素直にトレンドをフォローできなくなる。
単純に利益確定するだけならまだましだが、利益確定した後、なお続伸していく相場を見ると、悔しい思いが強くなるにつれ、逆張りの「スケベショート」を仕掛けてしまう例も多い。当然のようにその後は踏み上げられ、ブル(上昇)トレンドの「養分」になるわけだ。
そして、最初から逆張りしていた者、特に投資系インフルエンサーの悲観論に踊らされた「ミセス・ワタナベ」(個人投資家)たちは、大型トレンドの途中、往々にして「ナンピン」しがちである。
崇拝しているインフルエンサーたちが「相場は間違っている、いずれ修正してくる」という理屈(本当はファンダメンタルズの我田引水にすぎない)を並べ、それを鵜呑みにせざるを得ない説得力もあって、「間違った相場」に果敢に挑むわけだ。
ダブルインバースにしても、信用売りにしても、東証が発表したデータを見る限り、5月以降株高になるにつれ、ショートポジションはむしろ積み上げられてきた。
ゆえに、少なくとも目先、株急落のリスクは巷で思われているほど大きくない。なにしろ、ショート筋は多大な損失を抱えており、少し調整があれば損切り(買戻し)してくるから、相場の下支えとなる。
皮肉にも、バブル崩壊やら米リセッションやらと悲観論を繰り返してきたインフルエンサーの多くは、一転して押し目買いを主張するようになってきたようだが、相場は大した押し目を見せず、高値を更新し続けている。
英ポンド/円180円、豪ドル/円95円達成。ユーロ/円は155円の節目が目前!
為替市場の事情は、株式市場とは多少違うものの、本質的な部分は大差がない。主要クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の状況を見れば一目瞭然である。
本コラムでは繰り返し、主要クロス円の上昇余地を指摘してきた。直近でも6月2日(金)のコラムの中で、英ポンド/円が180円の大台を打診する可能性に触れていたが、原稿を執筆中の現在(2023年6月16日14時43分)達成されたようだ。
【※関連記事はこちら!】
⇒「株高・円安」の傾向はしばらく続き、目先は円が買われる展開にはならない! 月足で強気サインを点灯している英ポンド/円は、180円があってもおかしくない!(2023年6月2日、陳満咲杜)
(出所:TradingView)
そのほか、豪ドル/円の95円の大台乗せといったターゲットも達成され、ユーロ/円に至っては155円の節目も目の前に来ている。
(出所:TradingView)
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言ってみれば、円さえ売っておけば、クロス円における利益計上は誰でもできるはずだ。しかし、前述の株の話と同様、トレンドが強く、また連続しているだけに、大きな「悲劇」を生み出しているようだ。トレンドフォローという行為は、実に「言うは易く行うは難し」である。
相場自体が本格的な頭打ちのサインを点灯しなければ、トレンドをフォローしていくしかない
ただ、ここまでくると、「天井知らず」の強気相場とはいえ、いずれ頭打ちになるだろうといった反論も推測される。
答えは1つしかない。強い相場だからこそ、相場自体が本格的な頭打ちのサインを点灯してくれなければ、トレンドをフォローしていくしかない。頭でっかちな「予測」は不要だ。
もう1つ重要な側面も指摘しておきたい。英ポンド/米ドルの高値再更新、ユーロ/米ドルや豪ドル/米ドルの強い切り返しが見られたように、現在は米ドル安・円安の局面にある。
(出所:TradingView)
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本日(6月16日)の日銀政策維持を受けて、米ドル/円は再度切り返してきたが、その正体も円売りであって米ドル買いではないことを認識してほしい。
なにしろ、米ドル全体(ドルインデックス)は昨日(6月15日)大きく売られていた。FOMC通過後の値動きとして、当面の基調を決めそうであり、英ポンド/円をはじめ、主要クロス円急騰の背景になったと言える。
米ドル全体が軟調であっても、米ドル/円における円売りの基調は維持され、米ドル全体の反落の受け皿として英ポンドなどの外貨が買われるから、円は強い英ポンドに対してさらに売られるわけだ。どこまで売られるかは目先不明なので、トレンドを追随していくしかない、ということである。
さらに、いわゆるファンダメンタルズ的な解釈も主要クロス円の上昇を支えている。
利上げ継続のユーロ、インフレ高で利上げしてくるだろうと思われる英ポンド、そして、中国景気に関する憶測(悪いから、大型支援政策が近々発動するといった推測)に連動した形の豪ドルと、それぞれ買われる「理由」がある。だから、円売りは一番「確実」なトレードになるわけだ。市況はいかに。
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