止まらない円安! 日本以外の諸外国の、金融の引き締め傾向が鮮明に
円安が止まりません。
米ドル/円では、それほど円安のペースは速くはありませんが、それ以外の通貨では、円安のスピードが加速しています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 4時間足)
この円安の背景は非常に明確です。日本以外の諸外国で、金融の引き締め傾向が鮮明になっていることです。
いくつか紹介していきましょう。
RBAとBOCは利上げをいったん停止したが、利上げを再開した
まず、豪州。RBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])は、4月の会合で利上げをいったん停止しましたが、インフレが収まらないため、5月に利上げを再開し、6月も0.25%の利上げを決定しました。
また、BOC(カナダ銀行[カナダの中央銀行])も一時利上げを停止していましたが、今月(6月)からまた利上げを再開しています。
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FOMCは利上げを停止したが、年内利上げ再開の可能性が高い。ECBはさらに利上げする余地が十分にある
今週(6月12日~)、米国はFOMC(米連邦公開市場委員会)が開催されました。
この会合で、FRB(米連邦準備制度理事会)は利上げを停止することを決定しました。
しかし、同時に発表された2023年末のFFレート(※)予想の中央値が前回の5.1%から5.6%に引き上げられました。
(※編集部注:「FFレート」とは、フェデラルファンド金利のことで、FF金利とも呼ばれる。米国の政策金利)
現在のFFレートは5.00~5.25%ですので、年末の予想が5.6%ということは、年内にまた利上げを再開する可能性が高いということを示唆しています。
また、昨日、6月15日(木)にはECB(欧州中央銀行)が定例理事会を開催し、政策金利を0.25%引き上げ4.00%としました。
理事会後の会見で、ラガルドECB総裁は「7月も利上げの公算が極めて高い」と発言すると同時に、「年後半には経済成長が強まる可能性がある」との見方を示し、さらに利上げをする余地は十分にあることを匂わせました。
日本だけは、かたくなに金融緩和を継続。円全面安になるのは、極めて当たり前
このように、各国はインフレ傾向がまた続いていること、ここまで継続的に利上げをしてきた割には、景気がしっかりしていることなどを背景に、まだまだ利上げをする可能性が高い状況にあることが明確になってきました。
一方、日本だけは、かたくなに金融緩和を継続しています。結果として円全面安になるのは、極めて当たり前のことと言えるのではないかと思います。
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米ドル/円の動きが鈍いため、「為替介入の警戒警報」は、「警戒注意報」程度に修正する必要
さて、以前のコラムで「為替介入の警戒警報発令」ということをお伝えしました。
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⇒米ドル/円は目先、137円台程度を最大の視野にショート! 3者会合をきっかけに調整が入ってもおかしくない状況。142~145円あたりまでの上昇で、いよいよ介入に現実味(6月1日、今井雅人)
ここは「警戒注意報」程度に少し修正をする必要があります。
というのは、米ドル/円の動きが鈍いからです。
本来であれば、円相場というのは、あらゆる通貨に対しての動きを見る必要があります。
ところが、歴史的に日本の当局は、米ドル/円の動きしか注視しない傾向があります。
それは、米ドルが基軸通貨であることや、その結果、貿易取引は米ドル建てで行われることが多いことなどが影響しています。
現在の米ドル/円相場は、若干の円安傾向にはありますが、動きは比較的安定しています。
昨年(2022年)は、米ドル/円の上昇スピードがかなり速かったので、介入をしやすい環境でしたが、今のように米ドル/円の動きがゆっくりであるときは、通貨当局も正直、動きづらくなってしまいます。
現状のように、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)で円安が急激に進んでも、米ドル/円が安定していると、介入リスクは低いということが言えると思います。
クロス円中心の円安はまだまだ続く。クロス円での円売りを継続
以上のことを考えると、現在のクロス円中心の円安はまだまだ続くと考えられます。
日銀が金融政策を変更する、あるいは何か地政学リスクや金融危機のようなものが起きて、リスクオフの動きが一気に進むという状況にならない限り、この円安は止まらないと思います。
当面は、クロス円での円売りを継続していきます。
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