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ECBフォーラム開催。FRB・ECB・BOEの焦点はインフレとの戦い、日銀は緩和維持が明確に
2023年6月26~28日、ポルトガルのシントラにおいてECB(欧州中央銀行)フォーラムが開催されました。フォーラムの目玉は最終日のパネルディスカッション。パウエルFRB議長、ラガルドECB総裁、ベイリーBOE総裁、そして植田日銀総裁と豪華メンバーで行われました。
米・欧・英の金融政策の焦点はインフレとの戦い。パウエル議長は年内あと2回の利上げを示唆し、ラガルド総裁もさらなる利上げを否定しませんでした。
英国は0.50%の利上げで市場を驚かせたばかりです。こうした中、「基調的インフレ率は2%を下回る」と植田総裁は金融緩和を辛抱強く続ける方針を明確にしました。
他の主要国が引き締め強化へと向かっている中、日銀は緩和維持なので、円安が続くのは致し方ないでしょう。
(出所:TradingView)
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植田日銀総裁、ユーモアで市場関係者の心をつかむ。米ドル/円は145円を超えると150円へ
前回の当コラムでは、米ドル/円相場は142.50円の重要レジスタンスラインを超えてきたので150円再挑戦も見えてきたと書きましたが、そこから2円ほど上昇し144.60円を付けています。145.00円は心理的に大きな節目ですが、ここをしっかり超えると、次は150円でしょう。
【※関連記事はこちら!】
⇒米ドル/円は重要なレジスタンスライン突破、1米ドル=150円の再挑戦が見えてきた! 円買い介入のタイミングはまだ先、150円を超えてこなければ説得力を持たない(6月23日、志摩力男)
(出所:TradingView)
今回のECBフォーラムですが、多くの市場関係者にとって植田日銀新総裁を眼前で見る初めての機会になりましたが、錚々たるメンバーの中でもっとも聴衆の心を奪ったのは植田総裁でした。
モデレーターを務めたCNBCのサラ・アイゼン氏が、金融政策変更が実体経済に影響を及ぼすタイムラグについて質問すると、植田総裁は「25年前に日銀の政策委員になったとき、日本の政策金利は0.2~0.3%で今は-0.1%、あまり変化はない。その意味では金融政策の実体経済に及ぼすタイムラグは少なくとも25年かもしれない」と発言しましたが、これには私も吹き出しました。会場も大笑いです。
また欧州がデジタルユーロを発行するかもしれないと話しているときには、「他の中央銀行はデジタル通貨を発行することを考えていますが、日本銀行は別の方向に向かっていて、我々は来年新しい紙幣を発行します。これは日銀の信任を高めるでしょう」と発言したのも笑いを取りました。
最後には「中銀総裁になって、こんなにトラベルやコンファレンスがあるとは知らなかった」ともこぼし、そこでも笑いを取りましたが、植田総裁の鮮烈な国際デビューになったと思います。
(※内容については、筆者がコンファレンスを聞いてのものなので、実際には少し違うかもしれませんが、お許しください。細部の確認より、植田総裁がいかに聴衆の心を掴んだかをお伝えしたいと思いました。)
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政府・日銀の介入は近いのか?その成功の鍵を握る3つの条件
さて、神田財務官は介入警戒レベルを上げ、もしかすると本当に近いうちに市場介入があるかもしれません。
ただ、この段階で市場介入しても、あまり効果はないと思います。何より、日銀が超緩和的政策を続ける一方、他の主要中銀が引き締め政策を施行しています。この政策の方向の違いがあると、円安を止めるのは難しい。
個人的には、為替介入が成功するには、
(1)市場に投機筋の米ドル/円ロング(買い)ポジションが巨額に積み上がっていること
(2)介入時に巨額の資金を投入できること
(3)金融政策の変更が行われること
こうした点が成功の鍵になると思います。昨年(2022年)は、(3)はなかったのですが、115円前後から151.95円へと37円近い上昇後に介入となりました。投機筋のロングがかなり積み上がっていたことは確かだと思いますし、2回の介入で10兆円近い金額が投じられました。それで市場の需給バランスが崩れたのだと思います。
今回も(3)が期待できないのであれば、十分に市場のロングポジションが積み上がるのを待たなければなりません。
その意味では、まだ介入のタイミングではないのではないか、150円を超えてからではないかと思います。
【※関連記事はこちら!】
⇒米ドル/円は重要なレジスタンスライン突破、1米ドル=150円の再挑戦が見えてきた! 円買い介入のタイミングはまだ先、150円を超えてこなければ説得力を持たない(6月23日、志摩力男)
(出所:TradingView)
しかし、介入が入ることはいつでも「歓迎」です。それは、やはり、儲かるからです。
円買い介入が入った瞬間は米ドル/円のロングポジションは損失を被りますが、介入に乗っかればショート(売り)で儲かりますし、下がったところで良いコストのロングポジションを作れます。私自身、昨年(2022年)の介入時にはたいへん儲けさせてもらいました。
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⇒5200pips超獲得した「損小利大」米ドル/円トレードの裏側を大公開!志摩力男が語る2022年の米ドル/円トレードと2023年に向けての新たな戦略とは?(2022年12月21日、志摩力男)
介入警戒という言葉が飛び交ってますが、私は「いつでも介入入ってきてくれ~」と思いながら、米ドル/円ロングを維持するつもりです。
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