パウエル議長は年内あと2回の利上げを示唆。金融市場ではあと1回の利上げ見通しで、高いインフレ指標には米ドル高で反応しやすい
先週(6月19日~)の為替市場は、目立った材料はなかったものの、円安・豪ドル安の動きとなりました。
米ドル/円では143.87円まで上昇しています。
(出所:TradingView)
先週のイベントとしては、FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長の議会証言があり、年内あと2回の利上げが示唆されています。
利上げペースは減速されるが、利上げスタンスは継続され、インフレが鎮静化するにはまだ時間を要するという、6月14日(水)のFOMC(米連邦公開市場委員会)のときの発言とほぼ同じでした。
FRBは2回の利上げ見通しを示していますが、ただ、金融市場ではあと1回の利上げ見通しのため、今後のインフレ指標が高い数字が出るようであれば、米ドル高に反応しやすいことになります。
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実弾介入の可能性がやや高まり、YCC「早い段階で見直しを検討すべき」との内容からも、円売りへの安心感は徐々になくなってきている
為替市場は円安が続いているため、日本の要人から口先介入が多くなってきました。
神田財務官は「足元の動きは急速で一方的。適切に対応していく」「あらゆるオプションを排除しない」と発言しており、松野官房長官は「高い緊張感を持って注視する」と、実弾介入の可能性もやや高まってきたように思います。
さらに、前回の日銀会合(日銀金融政策決定会合)のときの主な意見では、YCC(イールドカーブコントロール)について「早い段階で見直しを検討すべき」との内容があったことも公表され、円売りへの安心感は徐々になくなってきているように思います。
ECBフォーラムで植田総裁からタカ派的な発言が出てくる可能性。月末と四半期末も重なり、月末フローに注意
今週(6月26日~)の注目イベントは、ECB(欧州中央銀行)フォーラムでのパウエル議長と植田総裁の発言になります。
日本以外の主要国は、根強いインフレによってさらなる利上げへ向かっていますが、日本だけは緩和策が継続されており、ただ、日銀内でもYCC見直しの可能性が出ているのであれば、植田総裁からはタカ派な発言が出てくる可能性もあります。
そして、金曜日(6月30日)はユーロ圏・米国・日本のインフレ指標が発表され、さらに月末と四半期末も重なることから、月末フローにも注意する必要があります。
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ここまで円安が続いてきましたが、今週前半もまだ米ドル/円やクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の上昇が続いているようであれば、実需の買い遅れもあることから、期末に向けての実弾介入が出てくる可能性も高まるのではないかと思います。
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ユーロ/円はまずは6月20日安値154.05円に向けて下げそう
チャートからは、ユーロ/円は2014年の高値149.78円を超えたことから堅調な推移が続いており、156.93円まで上昇してきました。
(出所:TradingView)
ただ、上昇が速いことから、オシレーター系で買われすぎとなっているシグナルもいくつか出ています。
ローソク足では、先週金曜日(6月23日)に下ヒゲのある足が出ました。
下ヒゲが長いため、底堅く強いというような感じにも読み取れますが、ただ、この足形は首吊り線でもあります。
その足の場合は、下落するというサインにもなります。
(出所:TradingView)
日銀はまだ緩和策を継続し、ECB理事会はまだ利上げを継続していくため、金融政策面からはユーロ/円は上昇となります。
ただ、チャートからは反転の可能性が出始めており、まずは6月20日(火)の安値154.05円に向けて下げるのではないかと考えています。
(出所:TradingView)
今週は四半期末になるため、月末フローが影響することになりますが、ユーロ/円などのチャートは下げる可能性が出始めてきました。
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