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西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

【2023年後半の為替見通し】米ドル/円は高値を追わず、
1米ドル=140円~150円の間で徹底的に押し目買い!
1ユーロ=165円に向けて上昇するユーロ/円にも注目

2023年06月29日(木)17:50公開 (2023年06月29日(木)17:50更新)
西原宏一

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2023年前半は急伸する日経平均に注目が集まった

 みなさん、こんにちは

 早いもので、今週は月末であり四半期末です。

今年前半のテーマは引き続き、インフレ

 インフレといえば、まずゴールド(金)。前回のコラムを参照していただきたいのですが、ゴールドの次にグローバルで注目されているのが、4万円に向け続伸する日経平均株価です。

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米ドル/円は140~143円へレンジがシフトするも、当局の牽制とオプションを考慮しながら押し目買い方針を継続!短期的には、日経平均が3万4000円を回復するかにも注目(2023年6月22日、西原宏一)

 その日本株は、今週は年金基金のリバランスとETFの換金売りも話題となり、反落。

 四半期末に向け調整がおきており、節目の3万4000円を目前にして調整が入っています。

日経平均株価・日足
日経平均株価・日足

(出所:TradingView

 そのため、筆者も含め今週は下落を見込む人が目立ちます。

 ただ、「下がったところは拾いたいと考えている投資家も多いため、大きく崩れることもないのでは?」と考えていましたが、明日の月末を待たず、日経平均はあっさり反発。

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米ドル/円は円安牽制発言や日本株の調整で下がったところを拾っていい。節目の145円は一気に抜けないだろうが、いずれショートが切らされて上がらざるを得ないイメージ(2023年6月26日、西原宏一&大橋ひろこ)

 本稿執筆時点では3万3500円と、再び節目の3万4000円超えを目指し反発しています。

欧米参加者の日本株に対する興味は衰えず、3万4000円超えに一定の時間を要するも、今年の後半は4万円を目指して続伸すると想定しています。

 欧米勢が日本株の買いに入る時は、ヘッジで米ドル/円の買いも構築します。

 では次に、米ドル/円を中心に年後半の通貨の動向を探ってみましょう。

2023年もクロス円の上昇が続くのか?

 まず、年前半の為替の動向を確認してみましょう。

 日経平均株価の上昇は基本リスクオンで、クロス円の上昇を誘引するため、クロス円に注目してチェックします。

 下図はいつもの主要通貨の対米ドルの騰落率(年初来)です。

主要通貨の対米ドル騰落率(年初来)
主要通貨の対米ドル騰落率(年初来)

 最も上昇しているのが英ポンド。

 次にカナダドル、スイスフラン、そしてユーロと続きます。

 このコラムで注目しているスイスフラン/円は当初のターゲットである160円台に到達しており、史上最高値を更新中。

 今年後半もこのクロス円の上昇が続くのかが注目されます。

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米・欧・日の中銀総裁のコメントから動向を予測

 一方、今週はポルトガルのシントラでECB(欧州中央銀行)フォーラムが開催されています。

 主要中銀の総裁も出席していることから、彼らのコメントと各主要通貨の動向をあらためてチェックしてみまししょう。

 まずパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長。

パウエル議長は、「大半の当局者は年内にあと2回の利上げを見込んでいる」「(7月、9月の)連続利上げの可能性を選択肢から排除しない」とコメント。

 これは米ドル高要因です。

 次が、植田日銀総裁。

 植田日銀総裁は「基調的インフレ率が目標の2%を下回っているため、金融緩和を続けている」と述べ、緩和維持の正当性を主張。

 これが日米金融政策の違いを改めてマーケットに意識させる展開となり、米ドル/円は一時144.62円と22年11月以来の高値に反発しています。

 ただ、米ドル/円相場について聞かれると、植田総裁は「円はここにいる3中銀の政策を含め、日銀の政策以外にもさまざまな要因から影響を受けている」とし、「動向を極めて注意深く監視する」とコメントしたことからも、急速な円安を警戒していることが伺われます。

 結果、日本株が上昇するに連れヘッジでの米ドル/円の買いを誘引し、米ドル/円の基調は上昇トレンドで変わりはないものの、本邦当局からの円安牽制、そして介入懸念があり、米ドル/円はどうしても急伸できません。

米ドル/円・日足
米ドル/円・日足

(出所:TradingView

米ドル/円はあくまでも高値を追わず、年後半は140円~150円の間で押し目買いに徹するという方針です。

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スイスフラン/円が牽引して上昇するユーロ/円に注目

ラガルドECB総裁は、基本シナリオが続くなら7月に利上げを実施する考えを示したようです。

 現時点では利上げ休止は考えていないことも明らかになりました。

 結果、ユーロ/米ドルも底堅く推移することが想定されます。

 この米国、欧州、日本の中央銀行総裁のコメントからは、年後半もユーロ/円が続伸することが想定されます。

 節目である3万4000円を超えるには一定の時間を要するも、年後半も4万円に向けて上昇する日経平均。

 日本株上昇により、「米ドル高、円安基調」は変わらずも、介入警戒感のある米ドル/円は140~150円のレンジで徹底的に押し目買い。

 本コラムで注目しているスイスフラン/円は、半年ですでに24円も上昇しているため調整もあるのでしょうが、スイスフラン/円が牽引する形で、165円に向けて上昇するユーロ/円にも注目です。

スイスフラン/円・日足
スイスフラン/円・日足

(出所:TradingView

ユーロ/円・日足
ユーロ/円・日足

(出所:TradingView

 では、年後半もよろしくお願いします。


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