ADPサプライズが象徴した米ドル/円の下落
先週(7月3日~)、象徴的だったのは、木曜日(7月6日)に発表されたADP雇用統計ですね。
予想22万人に対して結果は49.7万人。予想を大幅に上回るサプライズでしたが、米ドル/円の買いは続かず、下げていきました。
あれを見て「もう上がらないな」と感じた人は、多かったのではないでしょうか。
(出所:TradingView)
日経平均が下げると、米ドル/円も下げてしまいますね。
145円をブレイクする場面では、強いプライスアクションがありましたが、145円を超えてバンバン上がっていくことを期待していたトレーダーもいないでしょうし、このあたりを一気に上抜いていくのは難しいのでしょう。
米金利は上がっているのですが、米ドル/円がついてきません。
日経平均はダブルトップか。ネックラインの3万2300円を割っている
米ドル/円はこれまで、米2年債利回りと強く連動していましたが、今は日経平均と連動しています。
その日経平均は、3万3700円を高値としたダブルトップを形成しつつあり、調整色が強まっています。
(出所:TradingView)
たしかにダブルトップのように見えますね。
ネックラインとなる3万2300円を、今日(7月10日)は割っています。
先週の日本株下落は、ETF(上場投資信託)の換金売りの影響もあったのでしょう。
換金売りはほぼ終わったと思いますが、いちおう今日までとされています。
これでセンチメントが変わるのかどうか、今日は日経平均の動向を注視しています。
日経平均が1000円調整したとすると、米ドル/円はどのくらいの下落を見込んでいますか。
3月安値からフィボナッチ・リトレースメントを引くと、38.2%押しが139.18円、50%押しが137.35円ですが。
(出所:TradingView)
140円程度でしょうか。クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の調整のほうが大きいかもしれませんね。
1米ドル=136円か152円か。日銀の政策変更期待も高まる
先週、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)から、7月のYCC(イールドカーブ・コントロール)修正を予想するレポートが出て、日銀の内田副総裁のインタビューもあり、日銀の政策変更期待が高まっていますね。
日本の10年債利回りも、上限の0.5%へ向けて上がってきました。
(出所:TradingView)
海外勢を中心に、日銀への思惑が高まると、金曜日(7月7日)のように、円が買われやすくなりますね。
日銀会合(日銀金融政策決定会合)が近づくと、政策変更期待が高まり、日銀が動かなければ、円安が再開するといったことが続くのかもしれません。
日銀が動いても、YCCの修正程度ならば、2、3円下げてから、再び円安なのではと思っています。
中長期だと、MUFGのレポートでは9月末時点で136円と予想されている一方、JPモルガンの予想は年末152円。見方が割れています。
7月12日にイベント集中。米CPI、ニュージーランド、カナダの政策金利
水曜日(7月12日)にはイベントが集中します。
11時にニュージーランドの政策金利、21時30分に米CPI(消費者物価指数)、23時がカナダの政策金利です。
米CPIのコンセンサスは+3.1%(前年比)。前回が+4.1%でしたから、そこまで下がるだろうか、とも思いますが……。
3.1%まで下がると、日米のインフレ率が逆転することになります。円が買われるきっかけになるかもしれませんね。
ニュージーランド、カナダの政策金利はともに据え置き予想です。
先週は世界的に金利が上がりましたが、この2カ国が据え置きとなると、「利上げサイクルの終わり」が意識されるかもしれません。
サプライズがあるとしたらカナダ。金利先物市場では利上げの可能性も示唆されています。
日経平均が3万2000円をクリアに割っていけば、米ドル/円やクロス円の調整色も強まりそう
今週の戦略はどう考えますか?
注目はダブルトップを形成しつつある日経平均。3万2000円をクリアに割っていくようだと、米ドル/円やクロス円の調整色も強まるでしょう。
年末には結局、円安となっている予想は変わりませんが、月末に控えた日銀会合も気がかりです。
このところ日銀会合前は、ヘッドラインで下がったり上がったりしやすく、追撃売りするとやられやすい。日経平均の様子を見てから、戦略を決めていきたいと思います。
(出所:TradingView)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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