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フィッチが米国債格下げ。12年前との違いは?
2023年8月2日(水)、格付け会社フィッチが米国債を「AAA」から「AA+」へ格下げしました。
イエレン財務長官は「フィッチの格付け変更は恣意的で、古いデータに基づくものだ」、「強靭な米経済が考慮されておらず、全く正当な根拠がない」と猛烈に反発しました。
JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOも「ばかげている」と一蹴しました。米国の軍事面を含めた国力に依存する他国がより高い格付けを得ているのはおかしなことです。
フィッチの発表後、日本株は4%ほどの急落となりました。米国株も下げましたが、NYダウで1%程度、ナスダックで2%程度です。
米ドル/円は1円ほど下げましたが限定的な動きに留まると、その後は反発し、当日の高値を更新しました。
(出所:TradingView)
ただ驚いたのは、米長期金利が上昇したことです。米10年債利回りで0.18%、米30年債では0.22%も金利が上昇(価格は下落)しました。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
格下げされた債券の価格が下落することは、当然のように聞こえます。しかし、同じようなことは12年前にもあり、2011年8月5日、スタンダード・アンド・プアーズが米国債をAAAからAA+へ格下げしたのですが、その時、米国債は「質への逃避」から金利は急低下(価格は急上昇)したのです。そこは大きな違いです。
(※筆者提供)
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米国債を売る投資主体は考えられない。なぜ、米国債は売られたのか?
しかし、格下げされたとはいえ、ダイモンCEOの指摘を待つまでもなく、米国債は、米国の世界最強の軍事力、覇権国としての力を考えれ
シンガポールは米国を上回る「AAA」ですが、資源も何もない島国であり、水道の供給すら隣国マレーシアに依存しています。敵国の艦船に島を取り囲まれただけで万事休する国の安全性と米国を同列に並べるのはばかげています。また、余談ではありますが、日本の外貨準備のほとんどが米ドルというのも、そういう理由です。
つまり、事実上、格下げを理由に米国債を売る投資主体は考えられません。では、なぜ米国債は売られたのか?
実は、米国債の下落はフィッチの発表前から始まっています。つまり、金利上昇の要因はフィッチ発表前にあるということです。
(出所:TradingView)
よく見ると7月27日(木)からスタートしています。その前日、7月26日(水)に何があったかといえば、FOMC(米連邦準備制度理事会)でした。
FOMCでは市場の予想通り0.25%の利上げを決めました。その後、CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)のFedWatchを見ても、特に気になるような動きはありません。次の利上げはまだ市場には織り込まれてはいないのです。
では、なぜ米国債が売られたのか。
ひとつには、国債の発行が急増するという「供給面」の要因があるでしょう。8月15日(火)の入札では、前回より6%多い1030億ドルが発行されると発表されています(その意味では、フィッチの懸念もわかります)。
米財務省、国債増発へ 利払い費の負担増などに対応
(出所:日経新聞)
とはいえ、この程度の発行増が市場にインパクトを与えるとも思えません。おそらく、FOMCで「リセッション(景気後退)は予想されない」とされたことに影響を受けたのかもしれません。
これまで債券市場のプレーヤーは、長短金利差が逆転すると、その1年から1年半後にはリセッション入りというこれまでのジンクスを固く信じていました。ただ、以前このコラムにも書きましたが、過去、必ずリセッション入りしたとは言っても、5~6回しか起こっていないわけです。
経済学は自然科学とは違い、実験室で実験はできません。実社会で起こる数少ない事例から類推するしかない(だから進歩も遅い)のですが、過去5~6回起こったことが今後も起こると信じるのは、ナイーブ過ぎます。
【※関連記事はこちら!】
⇒なぜ、米国のリセッションは待てど暮らせどやって来ないのか? 米国の政策金利は、今よりもっと高くなってもおかしくない!? そのとき、米ドル/円はどうなる?(6月8日、志摩力男)
つまり、景気認識の変更を迫られたので、これまで「4%で30年債を買っておけば大丈夫」と思っていたプレーヤーが損切りを迫られたということでしょう。
米国経済は非常に強い。アトランタ連銀による最新のGDP NOWは、8月1日(月)にアップデートされましたが、+3.9%です!
(出所:アトランタ連銀)
この表を見ると笑ってしまいますが、多くの金融機関の予測が高くて+1%台後半、低い予測は-0.5%程度なのにも関わらず、GDP NOWは+3.9%です。
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圧倒的な金利差がある限り、日本から米国への資金流出は簡単に止まるとは思えない
最後のダメ押しは、日銀によるYCC(イールドカーブ・コントロール)変更です。
【※関連記事はこちら!】
⇒日銀はYCC修正に動く!しかし、次の引き締めがYCCの完全撤廃、マイナス金利を解除する程度なら、市場は円安方向の仕掛けをやめない(7月31日、志摩力男)
大きな政策変更でもないのですが、これで日本の国債金利(10年金利)は1.0%まで上昇することが可能になりました。まあ、1.0%はないにしても、ゆっくり0.7%程度のところまで上昇はするでしょう。20年は1.5%ぐらい、そして30年は1.7~1.8%程度まで上昇するかもしれません。
これまで日本の投資家は、黒田元日銀総裁により国内の運用先を奪われ、無理やり海外の債券に投資せざるをえませんでしたが、一息つける程度の運用が国内で可能になりそうです。
つまり、これまで巨額の投資をしてきた日本人投資家が米国債市場から撤退するのではないか…そうした懸念が、米長期金利の上昇につながっている可能性はあります。
日銀の政策変更が、むしろ米金利上昇につながるというのは皮肉ですが、それだけ日本の機関投資家の海外における存在感が大きく、そしてYCCという政策が異様だったということの裏返しでしょう。
米金利が上がっても、これまでのところ米ドル/円は上昇していません。むしろ、少し調整気味です。日本人の米国債投資が減少⇒米ドル買いが減少すると、短絡的な連想が働いている可能性もあります。
(出所:TradingView)
多くの機関投資家の米国債投資は、かつてと違い、ほとんどヘッジ付きの外債投資です。その意味では、為替に対する影響はありません。ただ、一部にはヘッジ無しでダイレクトに投資している部分もあるので、そこが減少するなら、米ドル買いが減少するとは言えます。よって、一定程度の影響はありえます。
海外勢が、この「一定程度の影響」を過大視すれば、少し米ドル/円も調整するかもしれません。ただ、それは限定的でしょう。
圧倒的な金利差がある限り、日本から米国への資金流出は簡単に止まるとは思えません。目先調整もあるかもしれませんが、いずれ円安が続くことになると考えます。
ただ、これも余談となりますが、為替ヘッジをしない最大の投資家はGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)です。あまりにも巨大なので、為替ヘッジが不可能です。
将来、日本から米国への資金流出が加速し、為替介入でも円安が止めることができなくなった時、もしかするとGPIFのポートフォリオの比率変更という手に出てくるかもしれません。10%の変更で、20兆円ぐらいの円買いとなります。
これは、神田財務官が昨年(2022年)に行った介入の2倍の金額になります。
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