ジャクソンホール、ポイントは米金利上昇
ジャクソンホールでのパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長講演は、サプライズなく終わりましたね。
目を引いたのが、11月の利上げ確率上昇です。
ジャクソンホール前は「7月で利上げ打ち止め」との織り込みでしたが、パウエル講演で11月利上げの可能性が50%前後まで高まっています。
米金利が上がり、米ドル高が続くのかなというムードになってきましたね。
米2年債利回りも、5.10%手前まで上がってきました。
米短期金利が上がるなら、米ドル/円も上がるというのが、昨年(2022年)の基本的な相関です。
(出所:TradingView)
米ドル/円の相関相手は、時期によって日経平均、中国人民元、米短期金利と変わる
最近は、中国人民元と円の相関を指摘する声も多いですよね。
都合がいいようですが、日経平均が上がっていれば日経と相関するし、中国人民元が下がっていれば中国人民元と、米短期金利が上がっていれば米短期金利と、時期によって米ドル/円と相関する対象は変わっています。
ただ、どんなステージにあっても変わらないのが、円の弱さですね。
今回のジャクソンホールはサプライズこそなかったものの、米短期金利の上昇は大きなポイントとなりそうですね。
中国人民元についてはいかがですか? このところは「中国人民元売り=円売り」で相関していますが。
同じアジア通貨同士ということなのか、相関性が高まっていますね。
米ドル/中国人民元と米ドル/円のチャートを重ねると、同じような形となっています。
(出所:TradingView)
ゴールドマンサックスは半年後、1米ドル=155円を予想
中国人民元安を食い止めるため、当局は米ドル売り・中国人民元買いの介入も行なっています。
一気にドカンと入るのではなく、ジリジリと入っているのでしょうが、エバーグランデやカントリーガーデンなど、不動産大手の経営危機が続いているだけに、介入しても中国人民元安の大きな流れは変わらないでしょう。
介入原資を確保するために、米国債を売却しているとの観測もあります。
米国債を売れば、米金利が上がって米ドル高が進む。矛盾してしまいますね。
世界的な金利上昇で、日本金利も10年債利回りが0.65%を超えています。
(出所:TradingView)
急騰しないかぎり、本邦当局は金利上昇を容認するのでしょう。
「FRBピボット(政策転換)による米金利の低下は来年(2024年)、日銀ピボットによる円金利の急騰も来年」ということになれば、現行水準の日米金利差があと半年程度は続くことになり、米ドル/円もロングでいいということになりますね。
ゴールドマンサックスの、直近の米ドル/円見通しは3カ月後150円、半年後155円、1年後は150円です。
本邦当局としては、介入せずに米金利が下がることで、円安が収まってくれるのがいちばん望ましいのでしょうが……。
「エヌビディア絶好調でも上がらず」の示唆することは
先週(7月21日~)はジャクソンホールとともに、エヌビディアの決算も大きな注目を集めました。
決算自体は絶好調でしたが、株価は陰線です。
(出所:TradingView)
エヌビディアの決算がよかったのに上がらない、中国経済が悪化している、ジャクソンホールでも好材料が出なかった――こうした材料から、株式市場では9月に向けて弱気な見通しが広がっています。
ナスダック総合指数も、ヘッド&ショルダーを作りに行っているように見えます。
(出所:TradingView)
同感です。9月に向けて、日米ともに株式市場が弱含むようなら、中期的な買い場と考えています。
「月末のユーロ買い」に注意しながら、米ドル/円も押し目買い
イベントでは、8月31日(木)に米PCE価格指数、9月1日(金)に米雇用統計が注目でしょうか。
インフレは抑制されてきたとの安心感がありますので、PCE価格指数が予想よりも強いようだと、米ドル高材料となるかもしれません。
今週の戦略はどう考えますか?
基本的には米ドル買いだと思います。
ただ、今週(8月28日~)は月末週。最近は月末のユーロ買いが目立つこともあり、ユーロ/米ドルを低いところで売りたくはない。
米ドル/円の押し目買いを基本に、ユーロ/米ドルもチャンスがあれば戻りを売っていく、といったところでしょうが。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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