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西原宏一・大橋ひろこの「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」

米ドル/円の押し目買い、ユーロ/米ドルの戻り売りでよさ
そうだが、少し様子を見たい。9月に入って雰囲気が変わ
ることはよくある! 株式市場の急落が警戒されやすい時期

2023年09月04日(月)15:15公開 (2023年09月04日(月)15:15更新)
西原宏一&大橋ひろこ

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米雇用統計で乱高下も結局レンジ

先週(8月28日~)後半は乱高下しましたね。


月末だった木曜日(8月31日)は、ロンドンフィキシングに向けて米ドル/円が売られ、金曜日(9月1日)も米雇用統計で144円台まで突っ込んでから、146円台へ急回復しました。

米ドル/円 1時間足
米ドル/円 1時間足チャート

(出所:TradingView

今日(9月4日)は米国が休日で、米国勢は3連休となりますから、その前に手仕舞いする動きがあったのでしょう。


ユーロ/円やスイスフラン/円などのクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)も、木曜日に長い陰線となり、もう少し調整するかと思ったのですが、戻していますね。

米ドル/円は結局、レンジですね。米金利の影響なのでしょうか?

今春(2023年春)くらいまでの米ドル/円は、米2年債利回りと円金利を見ていればいいという相場でした。


日経平均が上がり始めた4月ころからは、「日経平均が上がれば米ドル/円も買われる」という展開になり、今は中国人民元が売られると、同じアジア通貨である円も売られるといった相関が見られます。


「今はこっち」「次はあっち」と連動する対象が変わるため、ひとつだけを見ているとわかりにくいですね。

【※関連記事はこちら!】
米ドル/円の押し目買いを基本に、ユーロ/米ドルは月末のユーロ買いに注意しつつ戻り売り! ジャクソンホールのポイントは米金利上昇。半年後に1米ドル=155円予想も!(8月28日、西原宏一&大橋ひろこ)

米金融政策と中国懸念、2つのテーマが並走

米金融政策も米景気も、ピボット(政策転換)のタイミングだからでしょうね。


追加利上げがあると見るのか、もう金利は上げられないと見るか――。


「利下げ時期を模索する相場が近いならば売りたい」という投資家も出てきました。

0.75%利上げなんて極端なことをやっているなら、米金利だけを見ていればいいのですが、今はそうではないですからね。

7月には米金利が崩れて、米ドル/円が売られる場面もありました。その再来を狙っている人も多いのでしょうね。


「もう追加利上げはないだろう」と米金利が下がれば、米ドル/円の売りも出てきそうです。

来年(2024年)になれば、米利上げの影響で景気が失速するとの見方は根強いですし、中国経済への懸念も高まっています。


金融政策と中国経済、2つのテーマがありますが、今のステージだと、短期的なインパクトは中国経済のほうが強そうです。

中国経済の悪材料はユーロ売り、豪ドル売り

中国では、政府系インフラ投資会社「融資平台」の債務が、2000兆円まで拡大しているとの推計が出ています。

中国の悪材料だとユーロ売り、あるいは豪ドル売りなのでしょう。


「中国の悪材料が出れば豪ドルを売る」というロジックのAIが走っているのか、中国ネタが出ると、豪ドルはイニシャル・アクション(初動)で大きく動きます。

ユーロ圏ではPMIが悪かったこともあり、9月の利上げ見通しが遠のいています。

ユーロ/米ドルは1.12ドル台からの下落が速かったですね。


もし、9月利上げの見通しが高まるなど、金融政策で買われる場面があれば、ユーロは売ってもいいのかもしれません。

ユーロ/米ドル 日足
ユーロ/米ドル 日足チャート

(出所:TradingView

今週(9月4日~)は9月5日(火)に豪州、9月6日(水)にカナダの政策金利が発表されます。

ともに据え置きの見通しです。


外資系金融機関では、ユーロ/カナダドルの売り推奨も出ているようです。

円買い介入の警戒水準を引き上げる必要がある

先週のコラムで紹介していた「ゴールドマンサックスは半年後1米ドル=155円」との見通しですが、先週は一時147円台へ急騰する場面がありました。


特に材料はなく、ショートカバーで買われたのだと思いますが、最近は円安となっても当局の反応は鈍い


円安牽制発言が出ても、介入警戒感を強めるような表現はありません

【※関連記事はこちら!】
米ドル/円の押し目買いを基本に、ユーロ/米ドルは月末のユーロ買いに注意しつつ戻り売り! ジャクソンホールのポイントは米金利上昇。半年後に1米ドル=155円予想も!(8月28日、西原宏一&大橋ひろこ)

米ドル/円 4時間足
米ドル/円 4時間足チャート

(出所:TradingView

欧米勢の間では当面、介入はなさそうだとの見通しが高まってきました。


去年(2022年)との大きな違いは、円安のピッチ(速度)です。去年は大きな押し目なく145円へと上がってきました。

米ドル/円 週足
米ドル/円 週足チャート

(出所:TradingView

あまりに急な円安だと、企業が対応できませんね。

ところが、今年は147円へ乗せても、144円台へとしっかり戻しています。


そもそも、日米金利差が広がっており、企業としても円安を想定しやすい環境です。


介入がないとは思わないですが、警戒レベルの目線は上へシフトさせる必要がありそうです。

リスクオフ警戒の高まる9月

今週の戦略はどう考えますか?

米ドル/円は押し目買い、ユーロ/米ドルは戻り売りでいいのでしょうが、今日は米国が休場ですし、9月に入ったことで少し様子を見たいと思います。


9月に入って雰囲気が変わることもよくありますし、ここからは株式市場の急落が警戒されやすい時期でもあります。明日(9月5日)あたりまで慎重にいきたいですね。

 

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足チャート

(出所:TradingView

ユーロ/米ドル 日足
ユーロ/米ドル 日足チャート

(出所:TradingView

(構成/ミドルマン・高城泰)

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