終わらない「米ドル高、円安」に対し、本邦当局が動く!
みなさん、こんにちは。
先週末(~9月8日)までの米ドル/円相場は、多くのマーケット参加者の思惑どおり、続伸。一時、147.87円と年初来高値を更新しています。
(出所:TradingView)
この「米ドル高、円安相場」に対し、ついに鈴木財務大臣が円安牽制コメントを発動しました。
1.為替市場の動向を高い緊張感を持って注視
2.過度な変動にはあらゆる選択肢を排除せず対応
この財務大臣からのコメントで米ドル/円は一時146.60円まで急落。
しかし、この「牽制効果」は一時的で、9月8日(金曜日)のNY市場は年初来高値を更新し、148円を伺う展開となっています。
ここで筆者にはひとつの疑問が。
鈴木財務大臣のコメントは最終警告!?
先週のコラムでふれましたが、米ドル売り介入は、保有している米ドルに限界があるため、当局は介入に対し慎重になっており、150円台に乗せないと介入できないというのがマーケットのコンセンサス。
JPモルガン銀行の佐々木融さんは155円にならないと介入できないと指摘しました。
【※関連記事はこちら!】
⇒円安は終わらない!? 介入警戒感は高まるも、米ドル/円は、1米ドル=152円に向けた押し目買い! 中国経済の急減速がユーロ下落を誘引、ユーロ/米ドルは1.05ドルへ(2023年9月7日、西原宏一)
一方、前述の鈴木財務大臣の「過度な変動にはあらゆる選択肢を排除せず対応」というコメントは、最終警告ともとれます。
言ってみれば、「介入がいつ入っても不思議でない」ということ。
その米ドル/円の水準は150円台ではなく、147円台後半。
(出所:TradingView)
その結果、米ドル/円の水準から考えれば、政府日銀の介入という手段は取れないものの、翌週の東京市場では本邦当局からなんらかの円安抑制政策が取られるのではないかと危惧していました。
そこで米ドル/円のロング(買い)をスクエアにして週末へ。
そして9日(先週土曜日)、当局による「円安抑制政策」が何か、明らかになります。
それは「植田日銀総裁のコメント」でした。
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植田日銀総裁のマイナス金利解除を示唆するコメントをきっかけに、米ドル/円は調整
9日付けの読売新聞で報道された植田日銀総裁のコメントで、今週の米ドル/円は大きく値を下げてスタートします。
1.物価上昇に確信を持った段階で「マイナス金利解除」も選択肢。
2.年末までに判断するデータがそろう可能性も
この植田日銀総裁のコメントは、金利に関することなので、ある意味、介入より効果があります。
このコメントにより、今週の米ドル/円は一時145.91円まで反落しています。
(出所:TradingView)
そして、今週米ドル/円の上値を抑えている要因がもうひとつあります。
それは中国人民元。
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日本と中国の当局が通貨安政策に動く!米ドルの調整に警戒
繰り返しになりますが、今年の米ドル/円は中国人民元との相関性が極めて高くなっています。
下図は、米ドル/円と米ドル/人民元の日足の相関チャート。
(出所:TradingView)
米ドル/円は中国人民元との相関性が極めて高いことが確認できます。
その人民元ですが、11日(月曜日)、中国人民銀行(中国の中央銀行)は投機的投資家に対し人民元を不安定化させないよう強い警告を発しており、人民元が反発しています。
結果として、11日の相場は、中国と日本の中央銀行が防衛線を張り、米ドルの記録的な上昇にブレーキをかけた形になります。
視点を他通貨に向けると8週連続で陰線をだしたユーロ/米ドルにも調整の可能性が高まっています。
これらを総合すると、一方的に値を上げてきた米ドルが、アジアの中銀による協調した行動によって調整局面に入るのではないかと想定しています。
フランス大手の銀行のストラテジストも同様のコメントをしています。
ドルの記録的な上昇にブレーキ-中国と日本が防衛を強化
(出所:Bloomberg)
日本と中国の当局が通貨安政策に動き始めたことをきっかけとした米ドルの調整に警戒です。
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