今年のユーロ/米ドルは上げ下げのサイクルが3回起きており、これが予想を難しくさせている
先週(8月28日~)まで、基本方向は緩やかな米ドル高、そして円安が進むという予想をしてきました。
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米ドルが全般的に強いという状況は当たっていましたが、円相場は予想どおりの動きをしてくれませんでした。
今回は、まずユーロ/米ドルを見たいと思います。ユーロ/米ドルの週足のチャートを見てください。
今年(2023年)のユーロ/米ドルの相場は、上げ下げのサイクルが3回起きていることが分かります。これが、予想を難しくさせています。
(出所:TradingView)
ユーロ/米ドルは3回目のサイクルの下落の中。下落の目処としていた1.06ドル台まで落ちて、下げサイクルは終焉か
昨年(2022年)は、先に米国が利上げを本格化し、最初に米ドル高(ユーロ/米ドル下落)となっていましたが、後半に入ると、今度はECB(欧州中央銀行)が利上げを加速させたため、ユーロ/米ドルは反転して上昇しました。
米国もEU(欧州連合)も、昨年までの時点でかなり金利を上げてきたため、今年は利上げのペースが目まぐるしく変わり、そのたびにトレンドが変化するという展開になってきたことが分かります。
そして、現在は3回目のサイクルの下落の中にあります。
そのサイクルの中で、1.06ドル台当たりを下落の目途としてきましたが、大体その水準まで落ちてきました。
IMM(国際通貨先物市場)のポジションを見ると、まだマーケットはロングのようですので、もう少し下落の余地はあるかもしれませんが、ほぼ下げサイクルは終焉に近づいていると考えておきたいと思います。
(出所:TradingView)
クロス円のレンジは何か新しい材料が出るまで抜け出せなさそう。押し目買いを継続
また、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)はまちまちの動きになってきました。
ユーロ/円はここ1カ月、157円台から159円台のレンジに入りこんでいます。
(出所:TradingView)
英ポンド/円も183円台から186円台のレンジ。
(出所:TradingView)
豪ドル/円も93円台と94円台をうろうろしています。
(出所:TradingView)
結局、現在は米ドル相場だったということ。
このレンジは、何か新しい材料が出るまでは抜け出せないのではないかと思います。
引き続き、クロス円の押し目買いを続けたいと考えています。
メキシコペソ/円は下落したが、そろそろ下げ止まる可能性
メキシコペソ/円は、この1週間は下落しました。
メキシコ中銀の為替ヘッジプログラムの段階的縮小の影響が、私の想定以上に長引いています。
それだけマーケットに、メキシコペソ買いのポジションがたまっていたということだと思います。
チャート的に見れば、一目均衡表雲の上限にまで下落してきているので、そろそろ下げ止まる可能性があると思います。
(出所:TradingView)
昨日(9月7日)発表されたメキシコの8月消費者物価指数は、前年比4.64%とほぼ予想どおりでした。
この結果を見る限り、年内の利下げはなさそうだと思いますので、下落は限定的ではないでしょうか。
米ドル/円は148円が近くて遠いが、何かのきっかけで上に抜ける可能性
最後に米ドル/円ですが、こちらは高値圏で神経質な動きになってきました。
米ドルは強いのですが、最近、日本の通貨当局から円安けん制の発言が続いていることもあり、148円が近くて遠い水準になっています。
ただ、輸入の米ドル買いは断続的に発生していますので、下値は堅く、何かのきっかけで上に抜ける可能性があると考えています。
(出所:TradingView)
全般的に難しい相場となっていますので、とにかく追いかけてポジションを取らないことです。レンジを決めて、エントリーを考えてください。
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