当局のドル売り介入は警戒よりも期待へ!
みなさん、こんにちは。
先週前半まで、当局によるドル売り介入警戒感は米ドル/円の152円台では後退し、介入警戒レベルは154~155円というのがコンセンサスになっていました。
(出所:TradingView)
ところが、今週に入って、介入レベルが152円台に再び降りてきました。
その要因が、下記の報道。
為替レンジをドル高方向に突破すれば介入あり得る-山崎元財務官
出所:Bloomberg
この元財務官の山崎達雄国際医療福祉大学特任教授は、2003~04年の円高局面で為替市場課長として35兆円の大規模円売り介入に携わっていました。
現在の神田財務官は当時、課長補佐として山崎氏の右腕を務めています。
その山崎氏が前述のようなコメントをしたため、152円超えの介入警戒感が一気に高まったわけです。
これだけマーケットに介入警戒感が高まると、マーケットのセンチメントは警戒感から、期待感に変わってきます。
米ドル/円の注文状況に変化あり!
マーケットのセンチメントの変化が、米ドル/円マーケットの注文状況に表れています。
まず、ドル買い注文について。
過去の当局の介入後の米ドル/円の推移から考えれば、だいたい3~5円急落する公算が高いと想定されます。
そのため、米ドル/円の148~145円に関しては、徐々にドル買い注文が増えてきています(体力のあるヘッジファンドなどはそこまで待たず、150.00円割れからドル買い注文を出しているところが増えているようですが)。
(出所:TradingView)
一方、ドル売り注文はどうか?
介入は、神田シーリング(=152.00円)が決壊して、急騰した場合に入るという見方がコンセンサス。
そのため、153~155円にドル売り注文が並び始めています。
これだけマーケットに介入待望論が高まると、当局も介入の効果を出すのに苦労しそうですね。
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神田シーリングが決壊すれば米ドル/円のボラティリティが一気に高まる
今週金曜日の米雇用統計発表後に、仮に米ドル/円が152.00円を超え急騰した場合、当局は金曜日の薄いマーケットでも介入を実施するのではないかとの見方も増えています。
ただ、こうした流れで当局が介入を実施すると、マーケットの思惑どおりとなり、“せっかくの"実弾介入の効果は限定的となります。そのため、もう少し、マーケットが想定していないタイミングで当局は行動してくるのかもしれません。
個人的には、介入に備えて、149円レベルから少しずつドル買い注文を出しています。
本稿執筆時点での米ドル/円は151.70円レベルで推移。
神田シーリングが決壊すれば、一気にボラティリティが高まる米ドル/円に注目。
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調達通貨は日本円からスイスフランへ
一方、当コラムで注目しているスイスフランは引き続き軟調に推移しています。
スイスフランが軟調に推移している要因のひとつが、SNB(スイス国立銀行[スイスの中央銀行])の連続利下げ。
SNBは3月21日にサプライズで0.25%の利下げを行いました。これで政策金利は1.50%に低下。
金利先物市場では、年内あと2回の利下げが織り込まれ始めています。
実際にSNBが連続利下げを行うと、政策金利は1.00%となり、主要通貨の中でも極めて低金利となります。
一方、日銀は慎重ながらも金融政策を徐々に正常化すると予測されています。
そのため、マーケットでは、キャリートレードとしての調達通貨を円からスイスフランへとシフトさせる動きが拡大しています。
こうした動きから、スイスフランの下落トレンドは変わらず。
スイスフランは対米ドルでも値を下げていますが、マーケットの注目はユーロ/スイスフラン。
(出所:TradingView)
ユーロ/スイスフランは年初からすでに550pips急騰しています。まず1.00スイスフランまで反発すると想定しています。
米ドル/円の注文状況に変化あり。マーケットの介入に対するセンチメントは警戒よりも期待感が高まっています。
この状況で当局はどの程度の規模とタイミングでドル売り介入を行うのか?
調達通貨は日本円からスイスフランへ! 値を下げ続けているスイスフランにも引き続き注目です。
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