植田日銀はコンセンサス重視
先週(3月18日~)は、日銀会合(日銀金融政策決定会合)とFOMC(米連邦公開市場委員会)を通過しました。
日銀会合は事前の観測報道どおり、「マイナス金利解除・YCC(イールドカーブコントロール)撤廃・ETF(上場投資信託)買い入れ停止」の3点セットがそろいました。
サプライズを起こしたい黒田日銀と、事前に情報を流してコンセンサスを醸成していく植田日銀の違いが出ましたね。
リークとも取れる報道について、植田さんは「私どもが発信した情報をもとに各社が示したもの」と説明していました。
政府筋からの情報漏れではないかとの観測もありましたが、日銀からの発信であることを認めたように聞こえます。ブラックアウト期間にあれだけ報道が出るのは問題ですよね。
「材料出尽くし」で日本株買い・円売り再開へ
マーケット目線で言えば材料出尽くしですし、海外勢は日本株と米ドル/円の買うチャンスをずっと狙っていましたから、実際に買い始めたという形です。
注目度がより高かったFOMCですが、ドットチャートでは来年(2025年)以降の金利見通しが引き上げられ、タカ派的だと思ったのですが、市場はハト派的と受け止めましたね。記者会見でのパウエルFRB議長の発言がハト派的だったからでしょうか。
サマーズ元米財務長官も「米金融当局は利下げを開始したくてうずうずしている印象を受ける」と発言していました。
6月12日(水)FOMCでの利下げ織り込みは80%を超えています。
FOMCまでまだ時間がありますし、その間に発表される経済指標で右往左往するのでしょう。
今週、3月29日(金)にはPCEデフレータが発表されます。事前の予想では強めの数字が出る見通しとなっています。
SNBの利下げは欧米利下げ開始のシグナル
市場を驚かせたのがSNB(スイス国立銀行[スイスの中央銀行])の会合です。
先週も話したとおり、サプライズがあるとすればSNBの会合だと思っていましたが、やはり利下げしてきました。
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市場の予想が裏切られるときはトレードのチャンスですね。
それもあって、僕はユーロ/スイスフランの買いポジションを持ったまま、SNBの会合に臨んでいました。
主要国で先頭を切っての利下げとなったのは、ECB(欧州中央銀行)より先に利下げしたかったためでしょう。
SNBの会合は年4回しかなく、次回は6月20日(木)。6月6日(木)のECB理事会で利下げされるとの確信を深めていて、その前に利下げしたかったのだと推測しています。
6月6日(木)のECB理事会、そして6月12日(水)のFOMCと利下げが続く公算が強まっています。
(出所:TradingView)
中国人民元急落でよぎるチャイナショックの記憶
先週気になったのがゴールドの値動きです。FOMC後に史上最高値を更新していましたが、急反落。
何があったのかと調べると、どうやら中国人民元の急落が原因のようです。今朝(3月25日朝)は下落幅を半分くらい取り戻していますが、2015年には中国人民元切り下げがチャイナショックを起こしました。
中国人民元安を裏返すと、米ドル高です。中国人民元の動向に気を配ったほうがいいかもしれません。
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(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
結局、米ドル高になるのかなというイメージはありますね。
米ドル/円はいずれ152円を抜ける。押し目買い継続
米ドル/円は今朝、神田財務官の円安牽制発言でやや下げました。
この水準、このスピードでの為替介入はないと思っています。今週(3月25日~)か来月(4月)かはわかりませんが、152円は抜けるのだろうな、と。
ただ、アナリストの目線がこぞって円安に向き始めましたし、政府・日銀の介入に対しても油断しきっているようにも感じます。
日銀も金融政策のベクトルを転換させましたから、足もとをすくわれないよう警戒もしておきたいですね。
そうですね。
ただ、よほど急速に円安が進まないかぎり、口先介入などで下げたところは拾ってもいいだろうと思います。今週も米ドル/円の押し目買いは継続です。
(出所:TradingView)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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