トランプ関税が日本経済に与える影響は？
トランプ関税の日本経済に与えるインパクトについて考えてみましょう。
まず関税について、輸入側、輸出側、どちらが負担するか読者のみなさんはおわかりでしょうか。
例えば輪島塗の箸のような小さいものは、日本からの輸出価格は変わらず、米国の輸入業者が関税を負担するでしょう。それを消費者にどのように価格転嫁するかは、輸入業者が決めると思います。
ただ、一定の売上を維持したいと輸出側が考えれば、交渉により、輸出価格を下げて販売価格を維持するケース等もあるでしょう。
しかし、自動車のようなケースでは、輸出業者はトヨタ、輸入して販売する側もUSトヨタと、同一会社です。販売価格はトヨタ、つまり輸出業者側が決めることになります。
どちらの業者が価格を決めるかというのは、大きな問題ではなく、結局それを消費者にどの程度価格転嫁するか、それが問題なのです。
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多くの自動車メーカーは関税分を丸呑みしている！
いまのところ、多くの自動車メーカーは輸出価格を抑えて販売価格を維持しています。関税を日本側で丸呑みしている格好です。しかし、転嫁率はいずれ変化していく可能性あります。
価格転嫁が0％の場合、日本側が100％関税を負担します。販売台数は変わりませんが、日本側の利益は大幅減です。その場合、5.2兆円ほど日本側の負担増になります。
価格転嫁が100％の場合、米国側（米消費者もしくは米輸入業者）が関税を負担しますが、そのとき、販売台数がどうなるかは、製品の価格競争力によります。価格と販売台数の関係、価格弾力性をどのように推測するか、製品ごとにすべて違うと思います。
25％の値上げで販売台数がどうなるか、価格競争力がなければゼロ台になってしまうでしょう。競争力があれば売上は減りません。個々のケースに応じて最適な上乗せ価格を決めるのでしょうが、あらゆる製品に一律の数字はありません。
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25％価格転嫁で25％売上減！GDPへのマイナスインパクトは大きい！
そこで、多くのアナリストは、簡易的に、1％の値上げで販売が1％減るという安直な設定で試算すると思います。
「25％価格が上がると、25％売上が減る」
ということです。
価格転嫁が50％のケースであれば、12.5％値上げすると12.5％売上が減るので、本当は、もっと販売が減るかもしれません。
この安直な試算では、25％価格転嫁したケースを考えると、販売が25％減ります。日本から米国への総輸出は21兆円ですが、「21兆円×0.25＝5.2兆円」輸出が減り、マクロ的な計算では日本の貿易黒字が5.2兆円減るので、GDP統計的には「5.2兆円÷600兆円（GDP)＝0.86％」GDPが減少することになります。
これは、あえて同じにしている前提の計算ですが、価格転嫁がゼロでも100でも、同程度GDPがマイナスになります。
本来であれば、ここからさらに、波及効果を考えます。
販売減ということは、工場の稼働率が落ち、下請けへの注文が減り、下請け業者の業績も落ちます。給与が減る、雇用が減る、その結果消費が減るなどのマイナスの乗数効果があるので、生産減はその金額以上にGDPへのマイナスのインパクトがあります。
そうしたことを考えると、正確な推計は難しいのですが、実際はもっとGDPへのインパクトは大きくなります。
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