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西原宏一・叶内文子の「FX&株 今週の作戦会議」

米ドル/円は138円に向けて戻り売り継続! トランプ政策
のもとになる論文が「米ドル高是正」を提案。今週は「ベ
ッセント財務長官と赤澤経済再生相の会談」に大注目!

2025年04月14日(月)15:03公開 (2025年04月14日(月)15:03更新)
西原宏一&叶内文子

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日経平均は米関税政策をめぐり、5日連続で4桁動く鯨幕相場に

西原宏一(以下、トレーダー西原)叶内文子(以下、MC叶内) みなさん、こんにちは。

トレーダー西原 先週(4月7日~)も、マーケットはトランプ関税の報道に振り回される展開でした。

 年初に「今年(2025年)は為替の年だ」とご紹介させていただきましたが、じわじわとそういう展開になっています。

先週の米ドル/円の安値は142.07円と、今年の高値158.87円からあっさり10円以上下落しており、注目が高まっています。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足チャート

(出所:TradingView

 それでは、まずリスクアセットである株をチェックしていきましょうか?

MC叶内 はい、よろしくお願いします。

 週末の日経平均は3万3585円、3週連続で下落しました。終値だけをみると、先週末比195円(0.6%)安とあまり動いていないように見えるのが不思議なほど。5日連続で日経平均が4桁で動いたとんでもない相場でした。

 米関税政策をめぐって日替わりで大幅な上下、チャートで言うと陰線と陽線が交互になる鯨幕相場でした。鯨幕は、方向感を見いだせない気迷い相場の時によく出ると言われますが、今回はトランプさん次第で方向感を決められないといったところでしょうか。

 週初に3万円割れ目前まで急落する場面があり、週半ばには米国債の急落で世界に緊張が走り、米国はトリプル安となりました。その後、4月9日(水)にトランプ大統領が相互関税の一部停止を決め、一気に買い戻しが入りました。

 米国では、金曜日(4月11日)に各国との貿易交渉が「良好に進んでいる」と伝わったことや、ボストン連銀のコリンズ総裁が「必要であれば市場を安定させる準備がある」と発言したことで株価は上昇し、週間ベースでも大幅上昇で終わりました。

 S&P500は先週末比5.70%高となり、3週ぶりの反発。上昇率は約1年5か月ぶりの大きさです。2月19日(水)につけた最高値からの下落率を12.71%まで縮小しました。NYダウは4.95%高、ナスダック総合指数にいたっては7.29%の上昇、半導体株指数SOXは10%高で8週ぶりの上昇です。エヌビディアが17%高などマグニフィセントセブン(※)もそろって週次大幅上昇で終え、いったん安値は見たのではないかとの声も聞かれました。

(※マグニフィセントセブンとは、米株式市場を代表するテクノロジー企業であるアルファベット、アップル、メタ、アマゾン、マイクロソフト、テスラ、エヌビディアの7社を指す)

 ただ、「恐怖指数」と言われるVIXは37.56といぜん高く、長期金利も4.5%前後で高止まりしています。

 為替市場はいかがでしたか。

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トランプ政策のもとになる論文が「米ドル高是正」を提案している

トレーダー西原 為替市場も、トランプ大統領の関税に関するコメントで右往左往している展開。

 ただ、海外短期筋はあまり惑わされることなく、円ロングをキープしたまま。メルマガでも米ドル/円のショートをキープしたままです。

 その理由はいろいろとあるのですが、海外勢で注目されている論文があり、それに従って円ロングをキープしているとの側面もあるため、ご紹介します。

【※関連記事はこちら!】
米ドル/円は138円を引き続き目指す! 相互関税90日停止でも、トランプ政策のバイブルとなる論文が米ドル高是正を提案し、米財務長官が「円高進行は自然なこと」と発言(4月10日、西原宏一)

 その論文とは、スティーブン・ミランの論文です。

 スティーブン・ミランは現在、トランプ政権下で大統領経済諮問委員会(CEA、Council of Economic Advisers)の委員長を務めています。

 この役職は、経済政策に関する助言を大統領に提供し、経済戦略の立案に重要な役割を果たすものです。

 その経済政策に関する助言を大統領に提供しうる立場にあるスティーブン・ミランが執筆した論文「A User's Guide to Restructuring the Global Trading System(グローバル貿易システム再構築のユーザーガイド)」がマーケットで注目を集めています。

 内容を要約すると、下記のようになります。

(A)問題の診断:ドル高と貿易不均衡
スティーブンは、米ドルが世界の準備通貨として機能することで恒常的に過大評価されていると指摘します。このドル高は輸入品を安くする一方で、アメリカ国内の製造業を弱体化させ、経済的不満を引き起こしています。この不均衡が、現在の貿易システムに対するナショナリスト的な批判の根源であり、貿易赤字や雇用の海外流出に繋がっていると分析します。

(B)解決策としての関税の活用
関税を主要な政策ツールとして提案し、これを戦略的に使用することで貿易条件を改善し、アメリカの競争力を高めると主張します。2018-2019年の対中関税を例に挙げ、関税が通貨相場の調整(例:ドル高に対して人民元安)を引き起こし、インフレを抑えつつ貿易赤字を是正する「通貨オフセット効果」をもたらしたと説明します。関税は単なる税ではなく、貿易相手国との交渉レバレッジとして機能し、アメリカ市場へのアクセスを「特権」と位置づけます。

(C)通貨政策と金融市場への影響
ドル高是正のために、外国為替介入や連邦準備制度による金利上昇の抑制など、関税以外のツールも検討しています。これらの政策が金融市場に与える影響(ボラティリティの可能性など)を分析し、段階的な導入や事前ガイダンスで不確実性を軽減する案を示します。

 本論文は政策提言ではなく、可能な政策オプションの分析であるとスティーブンが強調していることもあり、この内容に懐疑的なマーケット参加者もいます。

 ただ、この論文をチェックすると、トランプ大統領が推し進める相互関税は、スティーブンが執筆した論文をもとに進められている政策だということがわかります。

 そうなると、米ドル高是正といった手段もとってくるのではないかといった発想もできるわけです。

 「米ドル高是正」、言い換えれば「マールアラーゴ合意(※)」といったものは年初から言われていました。

(※マールアラーゴ合意とは、スティーブン・ミランが提唱する新たな多国間通貨合意の枠組みのこと)

 「米ドル高是正」については、このコラムでも何度かご紹介させていただいていますが、あくまでもブラックスワン(※)の存在でした。

(※黒い白鳥のようにありえないと思われるが、実際に起きるとインパクトの大きなイベントのこと)

【※関連記事はこちら!】
2017年に起こり得るブラックスワンとは? 日本株の「掉尾の一振」は期待できるのか?(2016年12月26日、西原宏一&大橋ひろこ)

 ただ、4月に入り、ブラックスワンではなくそのリスクが高まっているといえます。

 為替の相場を展望する前に、今週(4月14日~)のスケジュールをチェックしましょうか?

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株式市場は安値圏という意識が出てきたが、関税をめぐるニュースや決算発表に注意

MC叶内 はい、今週のスケジュールを確認します。

 米国では、4月15日(火)に3月の輸出入物価指数、4月16日(水)に3月の小売売上高と鉱工業生産指数、4月17日(木)に3月の住宅着工件数などが公表されます。

 そのほか、海外では4月14日(月)に中国3月貿易収支、4月16日(水)に中国1~3月期GDPなど、4月17日(木)にECB(欧州中央銀行)理事会が開催されますトレーダー西原 ECB理事会では0.25%の利下げが織り込まれています)

 国内で、4月14日(月)に2月の鉱工業生産指数(確報値)、4月15日(火)に2月の商業動態統計(確報値)、4月16日(水)に2月の機械受注、4月17日(木)に3月の貿易統計(速報値)、18日に3月の全国CPI(消費者物価指数)が発表されます。

 4月18日(金)は、欧米やアジアの一部が復活祭(イースター)前の聖金曜日(グッドフライデー)の祝日で休場になります。

 また、決算発表が増えてきます。海外で4月14日(月)はゴールドマン、4月15日(火)にバンカメ、4月16日(水)に蘭ASML、シティグループ、4月17日(木)に台湾TSMC、ネットフリックス。国内では4月14日(月)にJ.フロント、高島屋、4月15日(火)にHIOKI、4月17日(木)にディスコなどがあります。

 今のところあまり影響を与えない経済指標ですが、米小売売上高は一応注目です。市場予想は+1.4%と前月の+0.2%から大きく伸びる見込みです。自動車販売台数はすでに発表されているメーカーのもので、前月比+11.1%と大きく伸びていて、これが寄与するとの予想。関税前の駆け込みと見られます。

 ただ、関税に伴う値上げを警戒し、消費者マインドは委縮しているため除く自動車は2月並みの+0.3%という予想になっています。

トレーダー西原 なるほど。それでは、こうした材料を背景に、今週の株式市場をどうご覧になりますか?

MC叶内 週末の反発を見ると、このあたりが「安値圏」という意識は出てきたように思います。

 ただ、週末にも相互関税の対象からスマホや一部半導体製品、ノートPCなどを除外すると伝わりましたが、これもまたひっくり返されました。引き続き関税をめぐるニュースに注意です。

 先週決算を発表したJPモルガンは、貸倒引当金を大幅に積み増していました。景気悪化に備えた形です。今週は半導体受託生産の世界最大手台湾TSMCの決算発表があります。企業側がどう対応していくのかにも注目です。

 為替市場はいかがですか。

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米ドル/円は138円に向けて戻り売り継続! 為替の話し合いもありそうな「ベッセント財務長官と赤澤経済再生相の会談」に大注目

トレーダー西原 短期筋が日々のヘッドラインに右往左往するのは変わらずですが、相場の鍵を握るのはベッセント財務長官です。

 そのベッセント財務長官は、赤澤経済再生相との会談を日本時間4月17日(木)に控えています。

 報道によれば、その会合で「為替」についての話し合いも行われると言われています。


日米互恵に打開探る…赤澤経済再生相「非関税障壁や農産品、為替の関心を具体的に確認したい」
(出所:読売新聞)


 日本側は、米ドル/円の150円台で「米ドル売り・円買い介入」をしているぐらいですので、ラフにいえば、高い関税を受け入れるより円高のほうが受け入れやすいと考えています。

 ただ、その方法はどうするのか?

 今の状況で大規模介入などすれば、効きすぎてしまう危険性があるため、難しいところ。

 日銀の早期利上げもあまり急ぎすぎると、日本株の下落を誘引してしまうので、このあたりが難しいところ。

 いずれにせよ、米ドルの行方はベッセント財務長官が握っているので、今週は「ベッセント財務長官と赤澤経済再生相の会談」に関する報道に大注目

 中期では、先程のスティーブン・ミランの論文から考えれば、米ドル安トレンドは基本変わらないと考えているため、米ドル/円も下落トレンドは変わらず。

米ドル/円は138円に向けての米ドル下落過程で変わらないと考えており、戻り売り継続です。

米ドル/円 週足
米ドル/円 週足チャート

(出所:TradingView

トレーダー西原MC叶内 それでは、今週も株と為替のトレードを楽しんでいきましょう。


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