本日のアジア・欧州時間のドル円は、前日の高値159.19円を僅かに上抜けたところで一服。その後はもみ合いになっている。NY時間は引き続き、イラン情勢を巡る報道に振らされる展開となる見込みだが、トランプ政権の思惑通りに戦局が進んでいない現状を踏まえれば、リスク回避のドル買いが優勢となる可能性が高い。
今週に入り、トランプ米大統領はイラン戦争の早期終結へと舵を切りつつある。23日にはイランとの対話進展を背景に、「発電所やエネルギーインフラへの攻撃を5日間延期する」と表明。翌24日には「1カ月間の停戦に向けて取り組んでいる」との報道も流れた。一方で、今回の戦争方針についてはヘグセス米国防長官の判断によるものと明言し、責任の所在を側近へと移し始めている。仮にこの流れのまま休戦に持ち込めば、これまで進んできた原油高・債券売り(金利上昇)・株安・ドル高の巻き戻しが一気に進む可能性がある。
もっとも、市場の見方は冷静で停戦進展には懐疑的な声が多い。理由は大きく2点ある。第一に、イラン側が停戦に前向きではないことだ。2月28日の攻撃前日、米国とイランはオマーン仲介のもとで協議を行い、米国は進展を強調したが、翌日には攻撃が実行された。過去にも中東諸国は米国の政策転換に翻弄されてきた経緯があり、イランが容易に停戦に応じるとは考えにくい。実際、12日にペゼシュキアン大統領は停戦の条件として、「正当な権利の承認」「賠償」「将来の侵略に対する国際的保証」を挙げており、合意へのハードルは極めて高い。これに対し、トランプ政権が提示したとされる「15項目の停戦案」にはイラン側への補償は盛り込まれておらず、「核開発の放棄」「ウラン濃縮の停止」「主要核施設の破壊」「ホルムズ海峡の開放」「代理勢力支援の停止」など、米国側の要求が前面に出ている。イランへの見返りは制裁解除や民生用原子力支援にとどまり、均衡を欠く内容だ。第二に、イスラエルが停戦に積極的な姿勢を示していない点も大きい。
本日もトランプ大統領をはじめとする米政権要人の発言や観測報道により、為替市場は振れの大きい展開が続くだろう。ただし、これまで米国側が主張してきたイラン政府との協議についても、イラン側が即座に否定する場面が見られるなど、発言の信頼性には疑問が残る。加えて、23日の「攻撃延期」に関するSNS投稿直前に約6億ドル規模の原油先物が売却されていたことも判明しており、市場の信頼を損ないかねない状況だ。こうした環境では、米国発の一方的な情報に依拠した取引はリスクが高い。今後はむしろ、イラン側の情報に対する市場の感応度が高まる局面に入る。
・想定レンジ上限
ドル円の上値めどは、23日高値159.66円。その上は18日高値159.90円から節目の160.00円。
・想定レンジ下限
ドル円の下値めどは、23日安値158.02円。その下は19日安値157.51円。
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