16日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、内田日銀副総裁の金融政策決定会合後の記者会見を受けて、日銀の早期利上げ期待が後退したことで一時160.48円まで値を上げた。ユーロドルは、WTI原油先物価格の下落や米10年債利回りの低下を受けて一時1.1620ドルまで上昇した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、日銀の早期利上げ観測の後退や米連邦公開市場委員会(FOMC)でのタカ派据え置き観測などから堅調推移が予想されるものの、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性には警戒しておきたい。
ドル円は、中東有事のドル買いや原油価格高騰を背景にした買い要因が薄れつつあるものの、内田日銀副総裁が、今後の利上げに関して慎重かつ無難な見解を示したことやFOMCでのタカ派据え置き観測などから、4月30日の高値160.72円に迫りつつある。ドル円が160.72円を超えて161円台を窺うドル高・円安局面になった場合は、本邦通貨当局による円買い介入の可能性が高まると思われることで、警戒しておきたい。
6月9日時点のシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の通貨先物市場での非商業部門(投機筋)の円のネット売り持ち高は、145818枚(円買い持ち:121520枚・円売り持ち:267338枚)と2024年7月の184223枚以来の大きさを記録していた。円買い持ちは、円買い介入を警戒したものであり、過去最大規模の267338枚の円売り持ちは、日銀の政策金利1.0%程度や介入では円売りに歯止めがきかない、という相場観によるものだと思われる。
日銀金融政策決定会合では、政策金利を0.75%程度から1.00%程度まで引き上げることを、賛成7・反対1の賛成多数で決定された。声明文では、中東情勢の影響で「経済が大きく下振れるリスクは一頃よりも低下している」としており、これが利上げ決定の背景の一つとなったことがうかがえる。そして、「引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」と明記し、追加利上げを進める方針を維持した。内田副総裁は、現在の金融環境は引き続き「緩和的」との認識を示しつつも、今後も経済・物価・金融情勢に応じて利上げを継続していく方針を示すに留まった。
日銀は中立金利水準を1.10-2.50%程度と示唆しているが、1995年以来31年ぶりの政策金利1.0%でも下限を下回ったままである。市場では、ターミナルレート(政策金利の最終到達水準)は1.75%程度との見方が示されているが、年内の利上げ観測が+0.25%程度では円売り圧力は弱まることはないと思われる。
FOMCでは、イランと米国の和平合意を受けた原油価格の下落を受けて、政策金利(※FF金利誘導目標3.50-3.75%)の据え置きが見込まれている。注目ポイントは、まず4月FOMCで緩和バイアスに反対した3名(ハマック米クリーブランド連銀総裁、カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、ローガン米ダラス連銀総裁)の主張通りに、修正あるいは削除される可能性や利上げを支持するメンバーの数となる。そして、ウォーシュFRB議長が「フォワードガイダンス」「ドット・プロット(金利予測分布図)」「記者会見」などで将来の金融政策を示すことに対して否定的な見解を示していることで、ドット・プロットで予測を提出しない可能性、記者会見では、フォワードガイダンスを示さない可能性などとなる。
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