昨日の海外市場でドル円は、161円台半ばでの狭いレンジ取引に終始した。ユーロ円などクロス円の下落につれた売りが出た半面、対ユーロなどでドル買いが進んだ影響を受けたため、ドル円自体は大きな方向感が出なかった。ユーロドルは米連邦準備理事会(FRB)による利上げ観測が高まる中、全般ドル買いが優勢となり一時1.1376ドルと昨年6月以来約1年ぶりの安値を更新した。
本日の東京市場でも、ドル円は米連邦準備理事会(FRB)の利上げ観測によるドル高と、高市政権の財政運営や経済政策に対する市場の警戒感を背景とした円安地合い、本邦通貨当局による円買い介入への警戒感で上値が抑えられる展開となりそうだ。
22日にドル円が161.93円まで上昇し、1986年以来の水準に接近した局面で、片山財務相とベッセント米財務長官がオンライン会談を行ったことが確認されている。高市政権発足後の経緯を振り返ると、日本政府がこれまで以上に米財務長官の意向を意識していることは明らかだろう。
昨年10月28日のベッセント米財務長官と片山財務相の会談後、米財務省は「ベッセント長官は協議の中で、アベノミクス導入から12年が経過し状況が大きく変化していることを踏まえ、インフレ期待の安定と為替レートの過度な変動を防ぐ上で、健全な金融政策の策定と適切なコミュニケーションが重要な役割を果たすと強調した」と公表した。その翌月の11月18日には、高市首相と植田日銀総裁が初めて会談を実施。植田総裁は2%の物価目標実現に向けて「徐々に金融緩和の度合いを調整している」と説明し、高市首相もこれに理解を示したと報じられた。そして、そのわずか1カ月後の12月19日には25ベーシスポイントの利上げが決定された。
今年も同じ構図が繰り返されている。5月11日から13日にかけて来日したベッセント氏は、片山財務相だけでなく高市首相とも会談。その後、22日に高市首相と植田日銀総裁が会談し、6月16日には再び25ベーシスポイントの利上げが決定された。金融政策だけではない。為替政策でも、1月23日に行われたレートチェックはベッセント氏の主導によるものとされている。
このように見ていくと、日本の金融政策や為替政策の重要局面でベッセント氏の存在感が際立っていることは否定し難い。実際、日経新聞では「影の総裁はベッセント氏」とまで評されている。そのベッセント氏と片山財務相が、ドル円が1986年以来の高値圏に達した局面でオンライン会談を行い、為替について協議したのであれば、市場が円安進行時の対応についても話し合われたと推測するのは自然なことだろう。
したがって、本日もドル円が一段の円安に進むようであれば、円買い介入への警戒感は高まることになりそうだ。逆に、当局が円安進行を容認するような姿勢を示すのであれば、それは米国側がドル売り介入に難色を示した結果との見方が市場で広がる可能性もあるだろう。
なお、本日日本時間15時40分には全国信用金庫大会で植田日銀総裁のあいさつ文が、氷見野日銀副総裁の代読で行われる。サプライズとなる発言が出た場合は市場の動意がつくことが予想される。
円以外では、豪州から5月の消費者物価指数(CPI)が発表されることで、豪ドルの値動きに注目したい。月次のCPIは四半期CPIバスケットの6割から7割程度しか含まれていないことで、ブロックRBA(豪準備銀行)総裁も「月次データだけで反応するのは早計」と発言している。しかしながら、15−16日に行われたRBA理事会では全会一致だったものの、タカ派的な声明文でもあったことでインフレの加速が確認されれば、利上げ期待が高まることにはなりそうだ。
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