しかし、この会議で合意されたのは「財政協定」を結ぶといったもので、具体策として期待された「ユーロ共同債」の発行などは時期尚早ということで見送られました。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足)
加えて、ECB(欧州中央銀行)による大胆な国債の「買い増し」も控えられるようで、市場関係者の期待は大きく裏切られることになりました。
そのため、EU首脳会議を終えて、12月のユーロ/米ドル、ユーロクロス(米ドル以外の通貨とユーロの通貨ペア)相場は、再び下落基調が鮮明になっています。
■ユーロ/米ドルだけでなく、ユーロクロス相場にも注目!
さて、前回のコラムでご紹介したとおり、2011年のユーロ/米ドルは「長い上ヒゲの陰線」で終わりそうです。これは、2012年も下落しそうだということを示唆しています(「欧州問題まったなしで、クリスマスも注意!ユーロは年初来安値を更新して1.1ドルへ」を参照)。
そして、ヘッジファンドがユーロ/米ドルよりも注目しているのが、ユーロクロスの動向です。
その中で、最近メジャーになりつつあるのがボラティリティ(変動幅)の高いユーロオージー(ユーロ/豪ドル)です。下にその月足チャートを示しましたので、ご覧ください。
(出所:CQG)
ユーロオージーは2008年10月に2.1130ドルの高値をつけた後、一貫して下落しています。現在は1.3000ドルを割り込んでおり、この間に8000ポイント以上も急落しています。
主要通貨ペアで、注目度の高い米ドル/円やユーロ/円はボラティリティが低下しています。そのために彼らは、こうした通貨ペアに関しては、オプションを含めて利益を取りに行くという戦略に変更しつつあります。
逆に、キャッシュでのトレーディングは、上記のユーロオージーやオージースイス(豪ドル/スイスフラン)といった値動きの大きい取引通貨に移行しているようです。
個人で取引をされているみなさんも、2012年はこうした通貨ペアを取引対象の1つに組み入れられると、戦略が多様化して収益に寄与するかもしれませんね。
2011年も残りわずかです。たいへんお世話になりました。
良い年をお迎えください。
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