昨日はドル円の買い材料が並んだ一日となった。東京で金融関連の国際会議がいろいろと開かれており、G7財務相会議などもそのひとつとして予定されていたのだから、それに向けて「円高は許さない」といったトーンの日本勢からの主張は週初から聞こえてはいた。だからそのような発言が出て来ても何の驚きもないはずなのだが、財務相も新しくなっていることもあるのだろうか、その発言には若干なりとも関心を集めることとなった。
欧州序盤にはドル円は77円台にかすかに突入することもあったのだが、78円ちょうどを踏み固めることとなった。前原国家戦略相もなお過激に「アメリカの合意なしに日本は単独介入できる」といったものだから、ドル円は78円台の中盤まで戻されていく。
なかでもソフトバンクによるアメリカ携帯会社の購入のトピックは、久しぶりに1兆円規模の資金移動が起こるとの連想を呼んで、純粋なドル円の買い材料になるかとも思われた。1990年代までだったら、これで大きくドル円は上がってしまったところだが、最近のしょぼいドル円の値動き(笑)を見せつけられていると、これだけの材料では買い進んでいけないようだ。
短期的なポジションのショートカバーを呼び込んだだけで終了したとも思える。ドル円の買いは欧州時間までで終わってしまい、78.58まで。そもそも考えてみると、昨年から日銀が20兆円近くもドル円の買い介入をやっているというのに、現状の円相場が78円台であるという事実を考え合わせると、1兆円だからといっていかほどの効果があるのか、たいへん疑わしいものがある。それを頼りに自分の大切なお金を賭けていく人間は少ないだろう。
そもそも企業買収に必要な資金を、すべて為替を起こして捻出するというのはバカげているというものだ。そのほとんどはドル資金の借り入れで賄うであろう。そして将来の返済もドルで行う。それでも大型の外資買収の話はあまりにも久しぶりだったので、私もドル円を買っていこうかと思ったほどである。
やはり1980年代や1990年代での買収で、どれほどドル円がメクリ上げられたかをちょっと思い出したからだ。手を出さなかったのはドル円の上昇に勢いがなかったからでもあり、また私の興味がドル円よりもユーロ円やユーロドルのほうに移っていたからでもあった。
その肝心のユーロだが、スペインが格下げされたにも関わらず、ユーロドルはアジア時間から堅調そのもの。下げるべきはずのところが下げないのは、格下げによってOTMの発動が早まるという解釈がされているからだと言う。つまりはスペインの支援要請も早期に執行され、ECBも債券買い取りに動き出すというもの。確かに欧州序盤からスペイン債の利回りは低下に向かっている。
ニューヨーク勢が参入してくる頃にはユーロドルは1.29台に乗せてきた。ここまで来ると、ここ最近のコアレンジと思われる1.2850から1.2950の上限のほうを意識してしまう。コアレンジをはみ出しても、1.3000は超えないという前提で、私は噴き値売りの態勢で待っていたのだが、なかなか超えず。
アメリカの経済指標のうち、失業保険がたいへん数字が良かった。雇用の改善を裏打ちするものという見方で、米国株は上昇へ。それにともなってクロス円もあげてきた。しかしユーロドルは思いのほか上がらなかった。私は1.2975で売り注文、その損切りを1.3005で置いて寝てしまったが、ニューヨーク時間の午後には米国株も下がってしまい、したがってユーロも反落して、注文はダンにならなかった。
このように急速に米国株が萎んでいったのは、アップルがかなり足を引っ張ったようだ。一度はサムスンに勝訴したはずなのに、控訴審で覆されたということらしい。ハイテクセクターを中心にリスク回避が進んだ結果のようだ。
今晩はJPモルガンとウェルズファーゴの決算発表が20時から21時の間に出る。大型の金融株として注目を集めているが、マーケットが動くのはこの前後までかもしれない。その後はミシガン大学の景況調査しかなく、ニューヨーク時間の午後は静かになるものと思われる。私としては昨日の後半の米国株の値崩れの方を重視しているので、クロス円ショートで構えていようと思う。
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